オペラは器楽曲ほど音楽形式は重要視されませんが、レチタティーヴォとアリアという形式は長々と使われてきました。レチタティーヴォはセリフをしゃべっているような部分で、アリアはもっと歌らしい部分です。
オペラは演劇ですので、普通の会話も必要になります。「おはよう」「元気?」といったような会話は音楽にならないので、セリフにしたいところですが、オペラでは基本的にそれらのセリフにも作曲します。これがレチタティーヴォです。
ミュージカルではレチタティーヴォはあまり無く、普通に演劇のように会話をします。ではなぜオペラにはレチタティーヴォがあるのでしょうか?しゃべるときのピッチは、大抵その人の音域の低い部分のみを使います。この高さで大きな劇場でも聞こえる声でしゃべると喉に負担がかかり、高い声で歌いにくくなってしまいます。頭声でしゃべる訳にもいかないので、音符にしたわけです。ミュージカルでは普通の会話はより自然に聞こえるように演劇のスタイルで表現されますので、ソプラノの役であっても胸声を多く使います。そのまま歌に変わる時に突然頭声に切り換えると不自然ですので、高い声の人も胸声をオペラよりも多く使います。そのため胸声から頭声へのチェンジの位置が高くなってしまいます。男性はそうでもないのですが、女性はやや難しいですね。
燃えるような恋をしないとオペラなんか歌えない説について~声楽曲15
レチタティーヴォはしゃべるところに無理矢理音符を付けたものですので、とても不自然になります。それを自然に聞かせるためには、言葉がよく分かっていなければなりません。だから慣れない外国語でのレチタティーヴォは難しくなってしまいます。CD等での歌い方をまねることも大切です。音楽学生は人の演奏をまねるのではなく、楽譜から自分の演奏を見つけるように習いますが、楽譜を見つめるだけでは分からないところも多いですので、まずは真似をするところから始めた方が良いでしょう。
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