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イタリア語は母音で、ドイツ語は子音で歌うとは?~言葉と発音7

伊語は母音、独語は子音で歌うと言ったあり得ない説は考える必要がある

 たまに「イタリア語の歌は母音で歌う」そしてそれに反して「ドイツ語の歌は子音で歌う」という表現をされることがあるようです。基本的にこのような言葉は文字通り受け取らない方が良いです。言語によって全く違う感覚になってしまうことなどあり得ません。しかし、このことから言語と発音について考えてみます。

イタリア発声とドイツ発声~常識を疑う 2

 同じようなアルファベットを使う言語で、一つは母音で歌う、もう一つは子音で歌うなど変なことです。どちらも母音も子音も大切に歌うと言うことに間違いがあるはずはありません。しかし、このような事柄に対して、無条件に受け入れてしまうのも、変だと思って無視してしまうのもどちらもあまり賛成できません。この言葉から何が考えられるかが重要な気がします。

 言語による発音の差は確かにあります。例えばどの言語にもアクセントはありますが、英語はどちらかというと音の高低がより強調され、ドイツ語は強弱がより強調されます。だからといって、英語に強弱は無いかというとそんなことはありませんし、ドイツ語にも高低は有ります。(言語とアクセントについてはまたいつか書いてみます。)これと同じようにイタリア語は他の言語に比べてやや母音を大切に発音するとイタリア語らしく聞こえ、ドイツ語の場合は子音をしっかり発音しないとそれらしく聞こえません。それでもイタリア語の子音、ドイツ語の母音ももちろん大切です。比較すればと言うだけです。

言語が違っても母音をしっかり歌うことが基本

 ます母音を歌うことについて考えてみます。個人差はありますが、声楽を始める時にイタリア歌曲から始めることが圧倒的に多いです。理由の一つにこの言語の特性もあります。発声練習は大抵母音を中心に行われます。子音はそれをやりやすくするためにほんの少し使われる程度です。イタリア語を使って母音を丁寧に歌っていくことが理想の発声に近づけるのにとても都合が良いのです。そして他の言語の曲に挑戦する時も、同じように母音を丁寧に歌うことにより、良い発声で歌えるようになっていきます。ドイツ語だからと言って最初から子音子音と思って、母音を丁寧に歌うことを忘れてしまうと、ドイツ語になると途端に歌えなくなってしまいます。母音を丁寧に歌うと言うことはどの言語でも最初に大切にしなければならないことなのです。

言語が違っても子音は言葉の意味を強調する

 次に子音です。歌の場合必ず母音に対して音を付けていきますので、子音はおまけのようにも感じられますが、このおまけがとても大きく表情を持ちますので、どの言語でも子音は大切な要素です。例えばFの子音は上の歯とした唇の間で強い緊張感のある音を作れます。イタリア語のforte(強い)はFがとても大きな役割を果たしています。英語のforce(力)もこのFが使われています。イタリア語は母音で歌うと言うことだったら、このFは重要では無いことになってしまいますが、当然とても重要です。イタリア語であっても子音もちゃんと歌わなければなりません。

ドイツ語は他の言語に比べて子音が長いので注意して発音する必要がある

 ただ、例えば「痛み」はイタリア語はdolore(ドローレ)、英語はpain(ペイン)、ドイツ語はSchmerz(シュメルツ)です。(他の単語もありますが、この3つを上げてみました)これだけですべてが分かるわけではありませんが、明らかにドイツ語は子音が多いと感じられると思います。他の単語を比較してもこのような例は結構多いです。イタリア語をずっと歌ってきた人がドイツ語の曲を歌い始める時には結構意識して子音をはっきり歌わないと、聞こえないことがあるのも事実です。

 どの言語でもまずは母音を丁寧に歌うことが最初の作業になります。そして母音に子音がつくことで言葉の意味に深みが出てきますので、どの言語であってもその子音の役割をはっきる伝えることが次に大切になっていきます。また、イタリア語は母音で歌うといわれることから、一番歌に適した言語はイタリア語だという意見も聞いたことがありますが、そんなことはありません。言語が変わったくらいで歌いにくくなるような発声は練習不足なだけです。ただ初心者には練習しやすい言語だというのも確かです。

その他の例

 極端な分類の言葉は力強いものです。ドイツ発声はお腹に堅く力を入れるとか、合唱のソプラノは胸声は使わないとか、声が無い人はドイツ歌曲を歌った方が良いとか、逆に深い音楽が分からない人はオペラを歌った方が良いとか、バッハは高い音に向かってデクレッシェンドしなければならないとか、他にも色々ありますが、はっきりしている分、強く支持したり、強く反発したりしやすいです。文字通り受け取らない方が良いのは確かですが、賛成反対では無く、見つめることで本質に近づいていけるきっかけになるような気もします。

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