初心者が歌うのに最も適した曲の一つです。
Caro mio benと違って、中間域から始まりだんだんと高くなり、
ピークを迎えるとだんだん下がって終わりになる形のフレーズ(アーチ状)が多用されています。
5小節目から始まる2小節ずつの3つのフレーズを見てもらうとこの形のフレーズがよく分かると思います。
2つめのフレーズのみがmi(私を)が強調されるためこの音だけやや高い音が使われています。
規則的な動きからずれるものを見つけられると、
作曲家がどの言葉を大切に感じていたかが分かることがあります。
フレーズの山に当たる言葉をたどってみるとcrudele(残酷な) languir(やつれる) fedele(誠実な)
と本来の詩の中で大切な言葉が強調されているのも分かると思います。
前述のCaro mio benの場合は大切な言葉が各詩行の冒頭にあることが多く、
この曲の場合は大切な言葉は途中にあることが多い。
つまりこの曲の自然なメロディーの形も、
Caro mio benの特殊なメロディーの形も元々の詩の形から来るものです。

中声用の楽譜では最初の音はラ、
次のフレーズはもしmiの強調がなければおそらくソ、
3つめのフレーズはファ♯、最後はミという風に2度ずつ下がっていきます。
しかし、4つめのフレーズ(11小節目から)は4小節で一つのフレーズになり、
大きな山を作っています。
音が下がっていくことによって、落ち着いていく音楽を表現しながら、
最後に大きなフレーズになり、上手くドラマの移り変わりが作られています。
19小節目からの部分は最初の音がラ、
次のフレーズはシという風に今までとは違って、上行形を取っています。
音楽ははっきりと発展をしていきます。
そしてついに23小節目、今までのアーチ状のフレーズを壊して、
最初が一番高い音のフレーズになり、
4小節かけて一挙に1オクターブ下に落ちるドラマティックなメロディーになっています。
この特別なメロディーの形はsempre(常に)という言葉の強調ではありません。
今までと違った劇的なメロディーが必要だったのです。
言葉による表現と音楽による表現はこの様に複雑に絡んでいきます。

35小節目からの音楽も変形されるところもありますが、
基本的にアーチ状のフレーズで、再度壊されるのは45小節目からのフレーズとなります。
これは曲全体の山場とは関係ありませんが、
音楽が再現される前の最後の高まりとして使われています。
再現される部分は「ほっ」とする部分です。
その前に最後の緊張があるほど、「ほっ」とさせる効果は増します。
最後の81小節目の歪なリズムはピアノのリズムと一緒になって初めて意味をなします。
歌のパートだけの音取りではしっくりこないと思いますが、
是非ピアノのリズムを想像しながら練習してください。

さて、アーチ状のフレーズは良い発声を作るのにも好都合です。
たいてい発声練習に使われる形も中間域から始まりだんだん高くなりピークを迎え、
その後下がって最初の音に戻るアーチ状になっています。曲の中で発声練習を生かすのに都合の良い曲です。
最後に外国語を歌うことに抵抗のある人は日本歌曲から始めたいと思うことも多いと思いますが、
このシンプルなアーチ状の曲が少なく、跳躍が多かったり、
アーチ状ではあっても音域がとても広かったり(早春賦など)、
もしくはフレーズが長かったり(荒城の月など)、
高い音に向けてデクレッシェンドが必要なものもあり、
歌いやすくはないものが目立ちます。
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