喉が締まったような感じの時に、「口を縦に開ける」というのも、よく言われるアドヴァイスの一つです。前回の(喉が締まる)でも書きましたが、原因は声帯の伸展不足ですので、口を縦に開けることは直接的には関係ありません。
ただし、口を縦に開けることによって、声帯の伸展機能が少し刺激されることも確かです。だとしたら悪くはないのかもしれません。では口を縦に開けることに問題はないのでしょうか?
口や舌は言語の発音にとても重要な役割を持っています。口を縦に開けたまま5つの母音を発音してみます。「アエイオウ」のように。すべての母音が「オ」と混ざったような響きになり、不自然であり、さらに明瞭ではなくなります。口や舌は発音のために自由であるべきです。
さらにもう一つ。声帯の伸展機能は、働き続けようとすることで、音に伸びが出てきて、声そのものの心地よさを作り出しますが、無理矢理口の形で声帯を伸ばそうとすると、それ以上の広がりはなくなり、音の伸びや広がりはなくなってしまいます。
しかし、ほんの短い時間口を縦に開けようとすることで、声帯の伸展運動を見つけるヒントになることもあるかもしれません。くれぐれもそれに頼って長期間やり続けないようにしてください。
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