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リップトリルで横隔膜の発見~練習例14

 リップトリルは今大流行の練習法です。以前にもいくつか書いていますので、そちらもご覧ください。喉を開けることと、声門閉鎖の両立に便利な練習ですが、横隔膜の動きを実感できる練習でもありますので、今回はこれについて書いてみます。

リップトリル~練習例 5

横隔膜のわかりにくさ

 歌に限らず声を使う人たちは横隔膜について何かしら考えたり、指摘されたりすることは多いと思います。場合によっては声帯のことには全く触れずに、お腹から声を出すようにだけ言われ続けることも多いかもしれません。しかし、大事なことは分かってもどうしたらよいかは分かりにくいものです。お腹に力を入れていてもだめだと言われたり、もっと力を抜くように指摘されたり、お腹にいっぱい息をためてみたら苦しくなってしまったり、お腹から息を出そうとしたら、不安定な声になったり、息が続かなくなったりといろいろな問題に直面することもあります。

リップトリルと横隔膜の関係

 リップトリルが出来る人はリップトリルしながらお腹を観察してみてください。まずはできるだけ長く出してみてください。最初からお腹に力が入るのが分かると思いますが、長く伸ばしているとだんだんにお腹の緊張が増していくのが分かると思います。同じ音をリップトリルでは無く、アーと伸ばした時にはそれほどお腹に力を入れなくても出来ます。また今度はだんだん音程を上げていきます、できるだけ高い音を出してみると、さらにお腹に力が入ることが分かります。

リップトリルの練習方法~練習例13

 つまりリップトリルで歌うと、それだけでいつもより強く横隔膜を使っていることになります。ですので、練習にリップトリルを入れると、自然に通常よりもしっかり横隔膜を使いますので、普通に歌った時にもより横隔膜の生かされた音になっていくのです。また、音を長くしたり、高くしたりした時に強さが変化するのも分かりやすいので、お腹をどう使ったら良いか分からない時に、どの方向にどのくらい力を入れれば良いかが分かりやすくなります。

 結局お腹を使って声を出す時には、お腹が膨れるでもお腹から息を出すでも無く、お腹の中心に向かってやや下向きに力が集中していくような感じが分かると思います。音を高くするとより集中が強くなる感じになります。これが横隔膜の運動です。鍛えていくのはこの集中する感じですので、腹筋を鍛えるのと少し違うというのも分かると思います。

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