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最初から上手く歌える人とそうでない人の違い~発声のしくみ46

自然歌手

 誰もが「歌を上手く歌えたら」と思うものだと思いますが、残酷な現実があって、ごく少数のほとんど練習しなくても上手に歌える人がいる一方、自分で一生懸命練習してもなかなか上手くならない人もいます。そこにはどんな違いがあるのでしょうか?

 もちろん音程感覚やリズム感覚の細やかさや音楽性なども関与してきますが、今回は発声に絞って考えてみます。日常の喉や体の状態と歌う時のそれはほとんどの部分で同じですが、少し違うところがあります。この違う部分をたまたま上手くコントロールできていると上手に歌え、そうでないと上手く歌えないことになります。もし日常で声を使うことが全くなかったとしたら、歌うことはとてつもなく難しいことだったのでしょう。無理することなくしゃべることが出来るおかげで、歌は私たちにとってとても身近な存在になっています。

高い音

 しゃべることと歌うことの大きな違いは二つです。一つは高い音。しゃべる時は、その人が持っているだろう音域の最低音に近いごく狭い音域しか、日常では使っていません。最近は子供の声が以前よりも低くなったという意見をよく聞きます。体が急激に変わってきたとは考えにくいので、おそらく高い声をあまり出していないからだと考えられます。外で遊ぶことが少なくなったことや、残念なことですが、公共の場所で子供が大声を出すことに社会の寛容さがなくなってきたことなども影響しているように思います。とにかく高い声に慣れていない人にとっては、歌う時に特別なことをしなければならない、それが上手くいかなければキレイに歌えないことになります。

最初の状態も、進む速度も個人差がありますが、根気よく練習することで絶対に誰もがよく歌えるようになります。

長い音

 もう一つは長い音です。しゃべる時は一息でそれほど長く出さないし、さらに一定のペースで音を伸ばすこともありません。これは10秒くらい続くようなとても長い音の話ではありません。3~5秒くらいの音であっても持続させることは容易ではなく、さらに日常ではそのようのことはほぼ必要ないものです。もちろん3~5秒を一息でしゃべることはありますが、音程や音質を保つのは別です。

音程を保つ(安定感)

 さて音を伸ばす時にまず必要なことは声帯を閉じ続けることです。これが上手くいかないと音が途切れてしまうので、しっかりと声帯を閉じなければならないのですが、これがどうしてもだんだん声帯を厚くしてしまいますので、そのままだと音程が下がってしまいます。

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 ということで、一生懸命声帯を閉じ続けながら音程を保つために下がり易い音程をなんとかそうならないようにするといったことが必要になります。高い音を出すことと音程が下がらないようにキープする2つのことは、実は1つの要因をクリアできれば解決します。特別なトレーニングなしに上手く歌える人はこれをおそらく無意識に使っていけるために、音程を保つこともやや高い音を出すことも苦労なく出来るので、音程が定まり、結果音程も良くなり、音程を定めることに苦労がなければ、リズムも良くなり、音楽的なことを感じるゆとりも出てきます。この一つの要因によりいろいろなことがつながり、上手に歌えることになっていきます。

 この要因が、レッスンでもよく指摘される「喉を開ける」ということです。つまり声帯の伸展筋が上手くコントロールできるということです。高い音を出すためには当然声帯を薄くすることは不可欠です。また、音を長く伸ばす時には声帯をしっかりとじ合わせようとする力がどうしても声帯を厚ぼったくする方に働いてしまいますので、それに逆らって、伸展筋が働き続けて音程を下げないようにする必要があります。レッスンでしつこく喉を開けるように言われることも多いのですが、音色のためや共鳴のためではなく、根本的な発声のためにどうしても必要なことなのです。

まとめ

 特別なトレーニングなしに上手に歌える人は、声帯を引き延ばす筋肉の、特に声帯の振動する部分に近いところの感覚を、何らかの原因でコントロールするテクニックを身につけられたのだと思います。ただ皆さん安心してください。これは練習することにより、誰でも身につけることが出来ます。また最初から出来た人がその後もどんどん成長できるかというとそうでもありません。最初は上手くいかなかった人が後々びっくりするぐらい素敵な歌を歌うこともたくさんあります。スタートの少しの差は実はそれほど大きいことではありません。課題を一つずつしっかりと取り組んでいくことにより、誰でも歌えるようになりますので、諦めずに繰り返すことが何よりも大切なことです。

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