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体が浮き上がること~呼吸法31

体が浮くこと 

 良くない発声として、「体が浮いている」とか「重心が上がっている」と言われることがあります。この場合には本当に少し背が高くなる方に体が動いています。見て分かりやすいので、よく指摘されますが、今回はこのことについて考えてみます。

体が沈むこと 

 最初にこれと反対の運動を考えてみます。「体が沈む」とか「重心が下がる」と言ったことになりますが、この場合には「力が入りすぎる」とか、「音が重い」と言われることが多いように思います。結局、背が伸びる方向に動いても縮む方に動いてもどちらも良いとはされません。しかし、良い音が出ていると背が伸びるように動いていても、背が縮むように動いていても全く問題にされません。ここで一つの結論を出しておきます。体が沈む方が良いとか、上がる方が良いとかはありません。つまり見た目の上下の運動はどちらかが良くてどちらかが悪いということではないので、鏡を見て背が伸びる方に動かないようにとか縮む方に動かないように頑張る必要はありません。

違いを考える

 体が上がること下がることに関してどちらが良いとか悪いとかはありませんが、レッスンの場などではよく指摘されます。合唱部の練習の時に先輩から「体が浮いているよ」と言われた経験のある人も少なくはないと思います。今度は良し悪しではなく違いを考えます。

体が浮く時に起こること

 音は軽くなり、音離れが良くなります(遠くに届く感じ)。高い音が柔らかく出せて、上手くするといつもよりも高い音が歌えます。しかし、やや不安定になり、息が続きにくくなることもあります。

 この時声帯は伸展されやすくなります。しかし横隔膜の関与が少なくなってしまいますので、閉鎖が弱く、過度にこの状態が強調されると、とても不安定な声になってしまいます。この時に「体が浮いているよ」と指摘されてしまいます。

体が沈む時に起こること 

 音は重くなり、力強くなります。音量も増えますが、ややフラットしやすくなります。高音の限界が早く来てしまい、長くのこ状態で歌っていると、だんだんと高い音が出なくなっていくこともあります。

 この時声帯は横隔膜の収縮とともに強く閉鎖され、厚い振動をします。結果重い力強い声になりますが、声帯の伸展が弱くなり易いので、音が低くなったり、伸びの無い音になったりしやすくなります。

上手く利用する

 声帯を伸ばす筋肉と締める筋肉は別のものですので、同時に働かせることが出来ます。これらが最大限に働くと力強い高音を出すことが出来ます。ドラマティコの声はこのようにして作られます。しかし、なかなか簡単ではなく、声帯を厚く閉鎖させると伸展筋が追いつかずフラットしやすくなります。

 体の上下を利用して、声帯の伸展と閉鎖の補助が出来ると、有効な練習方法になります。声帯の伸展が悪ければ背が伸びる方向の運動をし、横隔膜の働きが悪ければ重心が下がる方向の練習をします。はじめから体が上がってはいけないとか下がってはいけないとか思うのではなく、それぞれの特性を踏まえ上手く利用することが大切です。