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声帯は容易に見ることは出来ないので、見える部分をどの状態にした方が良いのか考えることも多いかと思います。その一つにのど仏があります。特に男性はわかりやすいので、のど仏を下げなさいといわれることも良くあるようです。果たしてのど仏はほんとに下げる必要はあるのでしょうか?

無理して下げてしまうと高い音が出しづらくなりますし、重たいモコモコとした声になります。

のど仏は甲状軟骨という骨で、この中に声帯が入っています。つまり声帯はこの甲状軟骨(のど仏)で守られているような形になっています。そしてこの甲状軟骨の下に輪状軟骨があり、ものを飲み込むときにはこの両方の軟骨が一緒にあごの下まで持ち上げられます。

さて声帯は、適度な伸展と適度な閉鎖が必要で、その度合いで様々な音程音量を作り出します。そしてこの2つの軟骨は声帯の伸展機構に関与します。(閉鎖には無関係です)ただし、全体が下にあるか上にあるかではなく、甲状軟骨が輪状軟骨に引き寄せられていくと、声帯はより薄く引き延ばされていきます。この運動は見ても分からないし、指で触ってみてもほとんど分かりません。

つまりのど仏の見た目は、発声の善し悪しの判断にはならないということです。レッスンにおいてこの輪状甲状軟骨の動きはいつも注意してみています。見ると言っても音で判断するのですが、この運動に問題があるときには他の重要な練習を後回しにしてでも先に取り組む課題となります。

高音が苦しくなるときに、のどが上がっているから良くないんだと思い、もしくはそう言われ一生懸命下げようとすることも多いようですが、特にソプラノやテノールの方が一生懸命のど仏を下げようとしすぎると、声は厚ぼったくなり、苦しいだけではなくだんだんと高音が出なくなる原因にもなります。歌う姿勢も含めて、あまり見た目にとらわれすぎない方が良いと思います。

それでも甲状軟骨は胸骨甲状筋によって鎖骨の方に引き寄せられるので、ある程度以上に高い位置にはなりません。極端にのど仏が上がってしまう時には少し対処した方が良く、それほどでもなければ無視してかまいません。無理矢理のど仏を下げようとすると、お団子声になりやすいです。

あくびののど~常識を疑う 13
力を抜くこと(あごの力)~常識を疑う 10
響きを前に持ってくることの問題点~常識を疑う 11
のど仏は下げるべきか?~常識を疑う 4
姿勢について~常識を疑う 5
鼻の付け根に響きを持ってくることの長所短所~常識を疑う 12
常識を疑ってみる 1
「顎に力を入れてはいけない」を考える~常識を疑う18
頬骨を持ち上げる~常識を疑う 14
頭声は頭に響かせるから出来るのではないということについて~常識を疑う19
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