Schöne Fremde
Es rauschen die Wipfel und schauern,
Als machten zu dieser Stund
Um die halbversunkenen Mauern
Die alten Götter die Rund.
Hier hinter den Myrtenbäumen
In heimlich dämmernder Pracht,
Was sprichst du wirr wie in Träumen
Zu mir,phantastische Nacht?
Es funkeln auf mich alle Sterne
Mit glühendem Liebesblick,
Es redet trunken die Ferne
Wie vom künftigem,großem Glück.
美しい異郷
梢はざわめき、震えている、
まるでちょうど今
半ば崩れ落ちた城壁の周りを
昔の神々が巡回しているように。
このミルテの木のうしろ、
密やかな薄明かりの中で、
何を夢見るように話しかけるのだ、
幻想的な夜よ。
すべての星達が私に向かって輝いている、
燃えるような愛のまなざしで。
遠くのものがうっとりとしたように語りかける、
未来の大きな幸福を告げるように。
星の輝く夜。何とも幻想的で美しい景色が広がっています。この風景の中で、未来への大きな幸福の予感が、時間的にも空間的にも遠いところから感じられていきます。
幸福の予感が昔の神々、また遠い星々から伝わることによって、徐々に心の中深く、しっかりとした実感を持って感じられていきます。
曲全体を通して細かい16分音符がピアノのパートで聴かれます。木々のざわめきであり、風の音であり、また何らかの予感に対する心の震えでしょう。
前曲のホ長調の属調(#が一つ増える調)であるロ長調で書かれています。属調に変わることにより、積極的な方向に音楽が進んでいきます。しかし、最初はロ長調で考えると三度の和音から始まり、やや遠くから、しかし確実にロ長調を目指していきます。
4小節目でやっと主和音にたどり着くと、すぐに3回続けて2拍目にアクセントがありこれから始まる何かに対して心は「どきっ」と動きます。
8小節目から少し調性が動きます。下属調のホ長調、嬰ニ短調と落ちていき、これから始まる何かを慎重につかみ取ろうとしているようです。
15小節目で嬰ヘ長調(ロ長調の属調)に落ち着いた後、17小節目からは嬰ヘ長調の主和音がロ長調の属和音(同じ和音)に 変換されて、24調節目で主和音に解決されるまで、音楽は長く一直線に動いていきます。ここで音楽は迷い無く最後の言葉Gluck(幸福)に向かって進ん でいきます。リズムも今まであったシンコペーションはなくなり、強く確信を持ったアクセントに変わります。長く待ち続けた幸福の到来です。
22小節目の4拍目に減7の和音(短三度の積み重ねで出来た不安定な和音)が使われ、その後後奏で、25小節目、27小節目にも出てきますが、不安が顔を出すのではなく、おそらく歓喜の強烈な爆発をこの力強い和音で表現したのではないでしょうか。
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