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伴奏合わせは難しい1~声楽曲16

 伴奏合わせの経験が少ないと、どのように進めたら良いか分からなくなることもあるかと思います。伴奏をお願いするピアニストによってどのように合わせが進んでいくか変わります。ピアニストも不慣れな場合慣れたピアニストの場合で考えてみます。

 まずはお互い不慣れな場合です。大学での最初の学内試験などがこれに当たりますし、そうでなくとも知り合いにピアノを弾ける方がいらっしゃって、初めて伴奏をお願いするときもこのケースです。

 ズレてしまうところの修正など、明確な目標があるうちは順調に合わせは進んでいきます。しかし大学生くらいになると、数回合わせれば双方ともほぼミス無く、最後まで演奏できるでしょう。さてその後が問題です。どのように進めたら良いか分からなくなって、時間だけが過ぎてしまうことになることも少なくありません。よくある例ですが、特に目標も無く何度も繰り返して通したり、歌の方がリードしなければと思い、もう少し速くとか遅くとか、間を空けてとか注文を出すものの一向に良くならず、ピアノもどんどん弾きにくくなって、苦しくなってしまったり、ピアノに完全に頼ってしまい、音程の修正などをしてもらっているうちに、今度は歌の方が歌いにくくなってしまったり、等々やってみると結構うまくいかないことも多いものです。

 最短の時間で最大の効果を出せる合わせが出来るようでしたら、指揮者や指導者の才能があるかもしれません。とても難しいということをまずは知っておくことから始めましょう。

 双方が不慣れな時の合わせの一例です。テンポが両方ともしっくりくるというのは結構難しいものです。ある程度妥協できるテンポが見つかったら、そのテンポで進めていきます。そしてまずは明らかに問題があるところから手をつけます。音程が取りにくかったり、自信が無いところなどを繰り返して弾いてもらい安心して歌えるようにしていきます。本来は各自で練習しておくべきものですが、あまりピアノを弾けない歌い手の場合は伴奏のある状態で練習することが合わせの時しかないので、付き合ってもらいます。早いパッセージで音程が不安な時も同じです。少しゆっくり弾いてもらい、場合によっては歌のパートを弾いてもらい正確に歌えるようにしていきます。ピアノが入った方が練習がはかどるのですが、だからといって、何度もこのような練習にピアニストを付き合わせるのも良くありません。出来れば1回の合わせでこれらの練習のこつをつかみ、2回目の合わせの時にはこの手の練習は必要なくなっていると良いですね。

 ある程度自信のある歌が歌えるようになったら次のステップです。いよいよ本格的に音楽作りをしていきます。ここでは違和感のあるところを探していきます。違和感というのは実はとても重要で、例えば私がレッスンをする時に、止めるところはこの違和感のあるところです。最初に感じるのが違和感で、その後違和感の理由を考え、その対策を考えます。瞬時にやってしまいますが、始まりは違和感なのは間違いが無いです。最初から頭の中に理想の音楽を作ってそれに合致しないところに手を加えるわけではありません。もしそうでなければ、生徒さんが一生懸命音楽を考えて演奏して下さっているのに、それを全く理解しようとせず、自分の思っているものを無理矢理押しつけるものになってしまいます。これは音楽を窮屈にしていく作業であって、音楽の中で演奏者の思いが広がっていくことを邪魔してしまいます。

 この時歌い手だけの意見ではなく、ピアニストの意見も聞きます。テンポの移り変わりに違和感があるとか、気持ちがつながらないとか、流れが変な感じに思うとか、フォルテで演奏したいのにフォルテの表情になっていない、逆にピアノで歌いたいのに、苦しくなってしまう等々。どう違和感があるのかとか、どうしたら解決できるかは置いておいて、場所だけを抜き出します。その部分が練習すべきところですので、ここで話し合いをします。どこがおかしく、どのようにしたら良いかを突き止めていきます。これが的確に効率よく出来るのが良い指揮者や指導者です。いろいろ試していくうちに効果的な方法が見つかるものです。それまでは二人で一緒に考え工夫していきます。このようにどちらか一人の音楽に合わせるとか、指導するといったものではなく、共に作っていくことが大切です。歌い手が歌いたいように伴奏してもらうのではなく、一緒に音楽を作っていくということです。

 長くなってしまいましたので、続きは伴奏合わせは難しい2で。