発声の状態が大きく変化するところを声楽の世界ではパッサージョとか、チェンジとかいう用語で呼んでいますが、4度の音程の幅があればはっきりと分かるくらい発声の状態は変わります。そしてこの変化が非常に強く表れるところを特別にパッサージョ等の用語で呼んでいるわけです。
2度高い音にレガートでうつるときに、のどの奥が広がるのを感じられるでしょうか。きれいにレガートがかかっているとき、大きな跳躍音程でなくてもはっきりとのどの奥の広がり(声帯の伸展)を感じられます。つまりレガートがきれいにかかるということは声帯の周辺で動くべき筋肉が自然に柔軟性を持って活動しているということになります。
例えば音と音の間に休符があるのに、音楽的には つながった感覚がほしいとき、上に書いたように、休符の時ものどの広がりをなくさないようにして次の音に入っていくと音楽的なつながりを持つことが出来ま す。
またロングトーン(一つの母音でも、同じ音の中で言葉をしゃべるときでも)は苦しく聞こえたり、音楽的ではなく聞こえたりしやすいのですが、レガートのような音の性質(いつでも他の音になめらかにつなげられそうな音)を持つと、出した音に常に広がりを感じられるようになります。これがうまくいったとき初めて、何の変化もないロングトーンは音楽の音として意味を持ってきます。
単音にまでレガートの感覚を広げてしまうと、音楽用語としては正しくはないのですが、このように意味を広げたレガートを考えると、どんな音でもレガートの要素を無くさないように発声されるべきだと言えるでしょう。
わかりにくい書き方になってしまって申し訳ありません。後述の声帯の伸展が正しく行われるとレガートの問題は解決します。逆に声帯の伸展筋のコントロールが悪いと根本的なレガートの問題は解決しません。レガートに関してよく注意を受ける方は良く開いた喉(=声帯の伸展筋がしっかりと働いている)を練習してみて下さい。
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