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息を流すことの意味~発声の仕組み27

 発声において、息を流すとか息にのせて歌うとか言われることがありますが、このことを考えていきます。

音を飛ばすことは息を飛ばすことではない

 当然のことですが、音が伝わっていくのは歌手の口から出た息が届くわけではなく、歌手が出した音の振動が周りの空気を振動させて聞き手の耳に届いていきます。ホールの一番後ろまで息が届いているのだとしたら、大型送風機以上の送風能力を歌手が持っていなければならなくなりますが、当然そんなことはありませんし、そうであれば客席には結構な風が常に届いているはずです。

息が流れるのではなく音が流れるという方が正しいのですが、音が流れるイメージを息の流れだと勘違いしやすいですね。

息はできるだけ少ない方が良い

 そんなことは誰でも分かるでしょうが、ではなぜ息にのせてとか、息を流すと言われるのでしょうか?息は声帯を振動させる動力のようなものですので、絶対に必要です。そしてそれは安定して無理なく流れ続けることが必要になります。息の量も速さも必要ではありません。というより息の量が多すぎたり速すぎたりすると、息はすぐになくなってしまいますし、声帯を乾燥させてしまいますので、安定した息ができるだけ少しずつ流れ続けるのが一番良い状態です。この感覚を息にのせるといっているのであって、息の量を増やすことではないということは理解しておく必要があります。息にのせてと言われたとしても、決して量を増やしてはいけません。

たくさん息を吐く~発声の考え方4

息の圧力、空気柱について

 通常息を長く吐こうとしたら唇をすぼめて小さな穴にすることで長い息を作ります。歌を歌うときには声帯が唇の役割をします。声帯の隙間が少ない状態を作ることにより、呼気に圧力がかかり、少しずつ吐くことができるようになります。この圧力のイメージから空気柱といった考え方も出てきました。音圧という考え方でも書いていますが、少し危険な考え方にも感じられます。確かにある程度圧力はかかりますが、圧力をかけようとすると、喉もおなかも硬直しやすくなります。

 息を流すというのは間違いではありませんが、正しく捉えないと間違ってしまうかもしれません。

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