とても人気のある曲の一つです。息の長さと声の安定が必要な曲ですので、決して簡単ではないのですが、深い音楽の世界に連れて行ってくれる曲ですので、是非挑戦してみて下さい。特に一番最後のフレーズは15秒くらい一息で歌いますので、大変になります。新版では選択譜が書いてあり、amoreを2回発音することにより、途中でブレスができるようになっていますので、よっぽど長いフレーズに自信のある人以外はブレスを入れた方が良いでしょう。
この曲では長い音が目立ちます。音楽に於いて長い音は基本的に大事な音になります。大事な音の見つけ方に書きましたが、この曲ではどう書かれているでしょうか?長い音と言葉のアクセントを比較してみます。
言葉は音節に分けられます。例えば最初のAmarilliはA-ma-ril-liの4音節からできています。楽譜を見るとそれぞれの音節に1つずつ音が当てはめられているのが分かります。アクセントのある音節と楽譜上の音の長さを比較します。
2分音符以上の白い音符を中心に書きますので、楽譜を見ながら読んで頂ければと思います。最初の音は言葉のアクセントはありません。いきなりずれています。次のrilは言葉のアクセントと白い音符が一致しています。次のbelも一致、4小節目のcreには言葉のアクセントが付きますが、音符は長くありません。corはフレーズの終わりではありますが、「心」という言葉に付けられたとも言えます。dolも一致、siも一致、esserは英語のbe動詞に当たりますので、強くはないのですが、そうであるとか存在の確実さをいいたい時には強くなります。d’esは一致でしょう。tu(あなた)も一致、miも一致。creも一致、pur強調を表しますので一致、saも一致、vaも一致、Aも一致、petも一致、coも一致、その後何度も出てくるrilもすべて一致しています。
このあとは繰り返しで、最後だけ今までとは違うものが出てきます。しかしその部分も長い音と言葉のアクセントは一致しています。
いくつかの例外はありますが、言葉と音楽が寄り添っていることがよく分かります。言葉というと意味を考えたいところですが、アクセントと音楽の関係性もとても大切です。言葉を感じながら歌っているのに、言葉をもっと大切に歌うようにと指摘される時は、このようなアクセントが音に表れていないことが多いですので、言葉の中の緊張の移り変わりもみていけると良いかもしれません。
最後になりましたが、アクセントである長い音をしっかり味わえるように歌うことでこの曲は生き生きとしてきます。試してみて下さい。
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