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純正律と平均律~音楽について59

 純正律と平均律について今まで何度も使ってきましたが、一度詳しく書いておきます。音の高さは周波数(Hz)で表します。オーケストラのチューニングの音がラの音で440Hz位です。1オクターブ高い音はちょうど2倍の周波数になりますので、1オクターブ高いラの音は880Hzになります。完全5度高い音はきれいに溶け合う音にするためには1.5倍の周波数にします。例えばA(ラ)=440Hzにしたら、E(ミ)=660Hzになります。完全5度を1.5倍の周波数で考えるのが純正律です。周波数が簡単な整数比で表されるほどきれいにハモった音になりますので、それを元に調律していく方法です。

 平均律はすべての半音を同じ幅にする調律の仕方になります。先ほどの440Hzのラの音から1オクターブ上のラの音(880Hz)が440Hzの差がありますので、440/12=36.667Hzずつ足していくと良さそうですが、そう簡単ではありません。880Hzの1オクターブ上は1760Hzですので、この1オクターブは880Hzの差です。半音の幅が変わってしまいます。実際の計算はややこしく、半音高い音の周波数は2の12乗根(12回かけたら2になる数)をかけていくことになります。計算すると約1.056です。そうすると先ほどのE(ミ)=659.522Hzになります。この差が問題になるわけです。わずかですがきれいに溶け合わない音です。きれいにハモるようにすると、半音の幅が均等ではなくなり(純正律)半音の幅を均等にするときれいにハモらなくなってしまうのです。(平均律)それでも純正律で良さそうにも思えますが、転調してしまうと、少しハモらないくらいではなく、大きく壊れてしまいますので、やはり基本的には平均律が必要になります。

 純正律は単純な整数比で音程を作っていきます。例えば完全5度は2:3(1.5倍)、長3度は4:5(1.25倍)、短3度は5:6(1.2倍)といった感じです。下に完全5度を積み重ねた周波数表を次の規則で作ってみました。

  • ラの音を440Hzにしてスタートします。
  • ラの音から完全5度高い音を周波数を1.5倍にして計算していきます。
  • ドの音を超えたら、周波数を半分にして1オクターブ下げます。
  • 小数点以下は小数第4位を四捨五入して第3位までにしました。
  • 純正律はハ長調でラの音が440Hzになる場合の一般的な例です。また、#のついた音は計算の仕方で変わります。
音名完全5度上 Hz平均律 Hz純正律 Hz
440440440
330329.628330
495493.883495
ファ♯371.25369.994369.6
ド♯278.438277.183275
ソ♯417.656415.305412.5
レ♯313.242311.127309.38
ラ♯469.863466.164469.33
ファ352.397349.228352
264.298261.626264
396.447391.995396
297.335293.665293.33
446.003440440

 完全5度の音をどんどん重ねていくと、すべての半音をたどって、最後に元の音にたどり着きます。とてもきれいに出来ています。なぜ12の半音があるのかが完全に納得できるものなのですが、そこに少しのゆがみがでています。最後にラの音が440Hzに戻ると何の問題も無いのですが、6Hzほど高くなってしまいます。純正律の場合このズレが大きくならないように、基準の音からあまり多く5度を重ねないで出来るように、基準の音に近いところで完全4度、5度、長短3度を組み合わせて作ります。その結果半音はすべて同じ幅ということではなくなります。音の世界が完全な数学的な世界と一致しそうで、微妙なズレがあることが、より音楽を深い世界にしているようにも思います。

 半音階で平均律と純正律を並べ替えてみました。

音名平均律純正律
261.626264
ド#277.183275
293.665293.33
レ#311.127309.38
329.628330
ファ349.228352
ファ#369.994366.7
391.995396
ソ#415.305412.5
440440
ラ#466.164469.33
493.883495

 調律が容易ではない、ピアノ、オルガンなどは現代では平均律で調律されます。調が変わるたびに調律をし直すことは不可能だし、転調してしまうと少しハモらなくなる程度では無い音のひずみが出来てしまうからです。その他の大多数の楽器では微妙な音程の調整は割と簡単な場合が多いです。もちろん歌の場合も音程は自在に変化できます。その場合音程は溶け合っているかどうかで判断されることが多いので、自然に純正律に近い音程で演奏しています。逆に音の溶け合っている状態を無視して、平均律で歌い続けることなど不可能です。平均律ではなく純正律で歌うようにしなければいけないなどと考えることなど必要ではありません。和音の響きを感じながらその響きに溶けるように歌おうとするだけで、理想的な純正律に近い音程で歌うことが出来るのです。ミの音を少し低めに歌うとか、ソの音を少し高く歌おうとする必要は全くないということです。