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明るいと言われる音の正体~常識を疑う 16

明るい音、暗い音

 「暗い音明るい音」でも書きましたが、明るい音は良く、暗い音は悪いという事はありません。しかしながら明るい音が良いとされることが多々あります。これは声楽だけではなく、ピアノでも他の楽器の演奏でもそうです。本来の音の明るさ暗さは音楽の要求に合わせて変化するもので、そもそもどちらが良いとか悪いとかいうものではありません。では良い音とされる明るい音の正体は何なのでしょうか?「明るい音」という言葉を使うことが本質をわかりにくくしています。

「声高に」は音程ではなく音量

 私事ですが、子供の頃理数系は得意だったのですが、文系はどうもなじめませんでした。今思うと言葉は論理的な顔をしながら、非論理的なことが多いことにもその理由があったのではないかと思っています。子供の頃に気付いていればもっと違っていたように思います。例えば「声高に」という言葉は大きな声を指します。決して高い音ではありません。言葉はすべてを表してはいない、もしくは真意は別のところにあることも多い、といったことを考える必要があるのかもしれません。

明るい音の正体ははっきりした音

 音楽で良いと言われている明るい音の正体は「はっきり」した音のことです。本来の明るさ暗さとは全く関係がありません。「はっきりした音」という言葉もすべてを表現してはいませんが、音の中心がしっかりしてよく聞き取れ、音程や音の立ち上がりが明確な音です。発声的には十分に喉が開いた前提でより声門閉鎖のしっかりした音です。ピアノだと鍵盤にしっかりと重さをのせられ、スピードのある打鍵で出された音です。クリアな感じです。これが出来ると音に向かって力を集中できますので、演奏において基礎的な力が付いてきたという証拠になります。

横隔膜の自覚~レッスンで 24

 このような意味での明るい音は重要な音ではありますが、これだけだと表情の乏しい演奏になります。テクニックはあるのに面白くない演奏につながっていきます。「明るい音」を出さなくてはいけないという呪縛から解放された方が良いこともたくさんあります。また指導者からもっと明るい音を出して下さい。と要求されたら少しだけ力を入れて、はっきりした音にするとOKが出ます。

例えば、まず喉を開けるようにという指示があったとします。上手くいくと声帯がしっかりと引き伸ばされるし、上手くいかないと声帯の隙間が大きくなります。どちらにしても声門閉鎖は足りなくなり、先生からもっと明るい音を出しなさいという指示が来て、声門閉鎖が要求されることになります。しかし、声帯の隙間が多い状態が喉が開いた状態だと勘違いしてしまったら、これと声門をしっかり閉じることは同時には出来なくなってしまいます。迷ってしまいますよね。

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