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明るいと言われる音の正体~常識を疑う 16

 「暗い音明るい音」でも書きましたが、明るい音は良く、暗い音は悪いという事はありません。しかしながら明るい音が良いとされることが多々あります。これは声楽だけではなく、ピアノでも他の楽器の演奏でもそうです。本来の音の明るさ暗さは音楽の要求に合わせて変化するもので、そもそもどちらが良いとか悪いとかいうものではありません。では良い音とされる明るい音の正体は何なのでしょうか?「明るい音」という言葉を使うことが本質をわかりにくくしています。

 私事ですが、子供の頃理数系は得意だったのですが、文系はどうもなじめませんでした。今思うと言葉は論理的な顔をしながら、非論理的なことが多いことにもその理由があったのではないかと思っています。子供の頃に言葉は論理的な風貌をしているが、そうでもないと気付いていればもっと違っていたように思います。簡単な例では茶碗はお茶を飲むよりご飯を食べるのに使われる(元々はお茶を飲むための器だったのでしょう)とか、お湯を沸かす(水を湧かしてお湯にする)とか現代では「やばい」はとても良いという意味だったりします。少し脱線しましたが、言葉はすべてを表してはいない、もしくは真意は別のところにあることも多い、といったことを考える必要があるのかもしれません。

 音楽で良いと言われている明るい音の正体は「はっきり」した音のことです。本来の明るさ暗さとは全く関係がありません。「はっきり」した音も言葉ですのですべてを表現してはいませんが、音の中心がしっかりしてよく聞き取れ、音程や音の立ち上がりが明確な音です。発声的には声門閉鎖のしっかりした音です。ピアノだと鍵盤にしっかりと重さをのせられ、スピードのある打鍵で出された音です。クリアな感じです。これが出来ると音に向かって力を集中できますので、演奏において基礎的な力が付いてきたという証拠になります。

 基礎力の確認や、演奏の自然さを取り戻すにはとても良いのですが、表現力のある音かと言われるとそうではありません。「明るい音」を出さなくてはいけないという呪縛から解放された方が良いこともたくさんあります。指導者からもっと明るい音を出して下さい。と要求されたら少しだけ力を入れて、はっきりした音にするとOKが出ます。 

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