マスケラで歌うというのは、
鼻の付け根付近に音を感じて歌うことになります。
手で目と鼻両方を塞ぐように当てた部分です。
フースラーのアンザッツでは3番です。
アンザッツについてはこの記事で。
イタリア語でレッスンを受けると、
マスケラで歌うようにと言った指示が来ることがあります。
マスケラは仮面の意味です。
そして、マスケラで歌うというのは鼻の付け根に響きを感じるということになります。
日本人から考えると、仮面は顔全体に付けるのに、
鼻の付け根だけというのは少し変な気もしますが、
仮面舞踏会では目と鼻だけの仮面をよく付けていましたので、
イタリア人にとっては鼻の付け根という方が自然なのだと思います。

このようにあまり聞き馴染んでいない用語が出てくると
とても特別なことのように思えるものですが、
初心者の歌のレッスンで
まず最初に鼻のところに響きを感じてと言われるのと同じことです。
ですので、しばらくレッスンを重ねた人がマスケラに音を感じてといった指導をされるとしたら、
全く出来ていないということではなく、
さらに強化しようといった意味合いになります。
全く出来ていなければ歌うことがとても困難になりますので。
マスケラで歌うと言うことはとても基本的なことですので、
レッスンで何も言われなければ、
ある程度は最初から出来ているということになります。
出来ていなければ、マスケラという言葉では無いにしろ、
何らかのマスケラのための練習が始まります。

ところでこのマスケラには2つの違った意味があります。
1つは位置として鼻の付近の高さにあること(場所)。
2つめは鼻の付近に音を集めるということ(強さ)。
この2つは似ているように感じられるかもしれませんが、
明らかにに違う機能ですので、分けて考える必要があります。
ある程度声楽の経験のある人は簡単に感じられることだと思いますが、
しゃべるときの声は口から出ているように感じられるのに対して、
歌の声はそれよりも高く、鼻の付近に響きを感じられます。
そして特別の声楽の経験はなくても、
同じように感じる人は多いのではないでしょうか。
これは声楽の世界では「喉を開ける」と言っていますが、
声帯が良く引き伸ばされたときに感じられる現象です。
そしてこの機能は初心者であっても絶対的に必要なものです。
これが出来ないと歌うための楽器が出来ていないようなものです。
初心者でもこれに問題がある場合は
まず最初にクリアしなければならない課題になります。
これに対して鼻の付近に音を集めるのは音量の問題になります。
声帯が強く閉じられると大きな声が出ます。
この時に鼻の付近に音が集まったように感じます。
これも大事なことではありますが、
最初にクリアしなければならない課題ではありません。
大きな声が出なくても音域が広ければ、歌は歌えます。
順番は大切です。

順番は大切です。
マスケラの話が出ると、一生懸命鼻の方に音を持っていこうとしますが、
声帯が引き伸ばされると自然に鼻の方に響きを感じるようになるのです。
マスケラの練習が十分に出来た人はマスケラに音を持っていこうと頑張ることはありません。
どんな声を出しても既に音はマスケラにありますので、
それ以上にもっとマスケラに持っていこうとする必要などないのです。
逆にまだ上手く出来ない人にとって
鼻の付近に響きを持っていこうと練習をしたときに
上手く行くかどうかはよく分かりません。
上手くいかない例としては「鼻にかかった声」になることが挙げられます。
鼻にかかった声はなんとなく想像できるかと思いますが、
マスケラに音を持っていこうとして上手くいかないとき、
声帯を短くした状態のまま無理に引き伸ばそうとすると、
浅く薄っぺらな音になってしまいます。
ただ、そのような状態でもしっかりとした音量自体は結構出ます。
このような声を鼻にかかった声といっていますが、
問題がある状態の1つです。
ですので、本来なら喉の開いた声を出せるようにトレーニングし、
その結果として鼻の付近に響きがきているか、
確認のために(マスケラの概念を)使うのが一番良いように思います。
ただし鼻のところに声を持っていこうとしつつ、
先生の声をまねして練習すると、上手くいく事も十分にあります。
先生の声があってはじめて成立することもあるので、
知識だけでなんとかなるものでもないところもあります。
良い発声が出来ているかどうかの確認にマスケラの考え方はとても有効です。

ちなみにフースラーの中ではアンザッツとして表現されていて、
マスケラは3番のアンザッツになります。
マスケラの2種類を3Aと3Bで表しています。
マスケラは特別難しいものでも常に注意しなければならないものでもありませんが、
なんだかよく分からないままでは不安に思うことも多いかもしれません。
その他にも基礎的なことがちゃんと出来ているのか等、
個人レッスンでははっきりすることも多いと思います。
ご興味のある方はぜひレッスンにいらっしゃってください。
- マスケラは常に意識した方が良いのでしょうか?
- 全く必要ありません。
発声がうまく進んでいくと意識せずにマスケラに音が来ますので、考える必要はありません。
逆にまだ良い発声が出来ないときには声帯の伸展機能が十分に働くように、
そして横隔膜が声門閉鎖をリードしてくれるような練習が出来ると、
自然にマスケラに音を感じることが出来ます。
つまりマスケラに音を感じられるように努力するよりも、
良い発声が出来てきたかの確認に使うのが良いと思います。
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