メロディーの分解作業~音楽について 19

 和声を例に挙げて音楽の分解作業について前回書きました。今回は歌を歌う時に一番重要なメロディーの分析をしてみます。すべての音を4つの性質に分類していきます。

 一番多いメロディーの形です。始まったら発展していきながらピークの音にたどり着きます。その後減退を始め落ち着いた音にたどり着くとまた発展して次のピークに向かいます。落ち着いた音のところでブレスになることも多いですが、基本的にはこのように 1,「緊張」に向かい 2,「ピーク」に達し 3,「弛緩」して 4,落ち着く(ボトム)といった形を繰り返しながら進んでいきます。

 この形がわかりやすい曲もあるし、わかりにくい曲もあります。この形のわかりやすい曲とわかりにくい曲の分類も分析の一つですが、取りあえずできるだけ分解してみます。ピークとボトム(落ち着いた音)が見つかれば、ピークに向かう部分は緊張、ボトムに向かう部分は弛緩となります。

 演奏は緊張していく部分はクレッシェンドとアチェレランドを組み合わせ、逆に弛緩していく部分はデクレッシェンドとリタルランドを組み合わせていきます。そして、ピークとボトムは転換点ですので、緊張と弛緩の両方の性質を持ちます。ピークの音全体で緊張を感じた方が良いものもあるし、後半では弛緩し始めるように演奏した方が良い曲もあります。ボトムは特に注意が必要で、弛緩してきて終わりを迎える音の要素が強いことも、すぐに次の緊張に向かって動き始めることもあります。

 演奏のスタイルは多彩です、強弱とテンポだけ書きましたが、その他にも音色の変化などもあり、色々な可能性から選択することになりますす。しかし、先ほどの4つの分類はほぼ同じ結果になります。音楽表現というとても曖昧に感じられるものの中に統一した解釈が成立することがとても重要だと思います。表現は個性が大切で何でも良いということでもなく、また決まったスタイルに合わせなければならないのでもなく、骨組みが分かったらそれをどのように演奏するのかは自由だという事です。