共鳴の話になると必ずスペースをどう広げるかという話になっているように思います。固い壁で囲まれた部分が一番共鳴に有効なので、そこに関節などがない限り、広げることも狭くすることも出来ませんが、不思議なことにスペースを広げることが大切だという説に賛同する人が多いようです。しかし、どうせ変化しないのであれば、有効では無くても害はないので、問題にすることはないように思えますが、実は害もあるという話です。
喉を開くという言葉が発声においては多用されていますが、これは何度も書いていますが、声帯を引き伸ばすということです。ただ、喉を開けると言われると、スペースを広げると考えやすくなります。しかし、声帯は閉じていなければ絶対に声は出ません。さらに強く閉じなければ強い音は出ません。こうなるととても矛盾をはらんだ言葉ですが、喉は開いて閉じることに向かって頑張っていかなければならなくなります。まずは何をしたら良いのか分からず、とても混乱してしまいます。
例えば窓を開きながら閉じてと指示された場合、それは出来ないと誰もが思うでしょうが、それでもそうしなければならなくなったらおそらく、ほんの少し隙間を残しつつ窓を閉じるのではないかと思います。結局窓はちゃんと閉じなくなってしまいます。声もそうなりやすく、喉を極力開きながら閉じようとすると、たとえ声帯は閉じるけれど喉の奥は開けるといった少し違う部分だと思ったにしても、結果声帯の閉鎖の悪い音、つまり息混じりになったり、ぼやっとした感じのクリアでは無い音になったり、長く伸ばしづらい、広がりの無い音になったりします。良い音にはならないので何か手を打たなくてはなりません。
それでもスペースを広げることに固執してしまうと、別のことをしなければならなくなります。例えばお腹に力を入れるとか、声を前に出すとか、頬骨を上げるとか等、これらはすべて声帯が閉じるように働きますが、根本的に声帯が強く閉じないように頑張ってしまっているので、苦労の割には効果が出ず、さらに力を入れなければならなくなって、もっと脱力してと言われ、頑張ってきたものをすべて放棄しなければならなくなってしまいます。
これまでの話は声帯はしっかりと閉じられなければならないのに、スペースを広げなければということで、十分にそれが出来ないというところから始まっていますが、逆のことも考えられますので、加えておきます。大きな声を出したいと思って、強く声帯を閉じようとしたとします。これは何の問題も無いのですが、この場合条件が付きます。声帯がしっかりと引き伸ばされている土台の中で強く閉める必要がありますが、それなしに閉鎖だけ強くしてしまうとまず音が下がってしまいますので、必要な音程を出すのにとても苦労します。そして声帯が引き伸ばされていない状態で強く閉じると声帯はバタバタと不規則に振動しますので、汚い声になるし、疲れやすくなります。それでも続けていると一時的に声が出なくなってしまいます。声帯が腫れてしまうのです。
声帯を伸ばす筋肉と閉じる筋肉は別のものですので、これを同時にやることは可能になります。(開いて閉じるのは不可能です)これらには矛盾はないので、出来るはずですが、なかなか難しいところでもあります。声帯を引き伸ばすときにはこれに集中して、それ以外のことは無視するし、閉鎖を強くしていくときには声帯の伸展を常に確認しながらの練習が必要になります。指導者はそれを明確に分けて判断する必要があります。
- 「喉を開ける」というのは空間を広げることだと考えてしまうのですが。
- 発声に限らず言葉が不明瞭だったり、間違っていても日常で使われ続けると、それはなかなか修正されないもので、迷うこともあります。茶碗でごはんを食べるし、湯飲みでお茶を飲むし・・・。「喉を開ける」=「声帯をほど良く引き伸ばす」だし、「腹式呼吸」=「横隔膜と声帯がしっかりと連動する声の出し方」のように変換をしてしまった方が早いように思います。茶碗を目の前にした時、お茶ではなくごはんを想像するように。
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