横隔膜を広げることは発声において重要なことの一つです。
しかし、これを練習すべきかどうかは別の問題のように思います。
発声指導者によってはとても大切な練習の一つとして、
しっかりと練習することになるし、
別の指導者は全く触れないこともあります。
大切なのですが、
無意識に出来ることも多く、
また意識することによって、
変に堅くなったりもしやすい部分です。

実際に私のレッスンではそれほどたくさんこの練習をすることはあまりありません。
ただし場合によってはある程度時間をかけて取り組むこともあります。
つまり人と状況によります。
というのはしっかり喉を開く準備が出来ると自然に横隔膜は広がります。
結局のどの練習をしていると出来てしまうことも多い練習です。
しかし、この連動があまり上手く働かなかった場合は、
別に横隔膜を開く練習をして、
少しずつ喉を開く練習とつなげるようにしていきます。

お腹に手を当てた時、
親指付近に当たる部分が広がっていく感じです。
小指付近が膨らむのとは感覚が違います。
そして、正しく横隔膜が広がると首の位置が安定するのも感じられると思います。

ここで一つ注意をしなければならないことがあります。
横隔膜を広げることと、
お腹が膨らむことは違います。
お腹を膨らませようとすると大きく間違うことになりますので、
少し書いてみます。
まず位置です。
横隔膜は肺と胃や肝臓等の臓器を隔てている筋肉の膜ですので、
肋骨の一番下付近にあります。
通常考えるお腹よりももっと上です。
肋骨が広がらず、
お腹だけ膨らむのは全く意味がありませんので、
正しく把握する必要があります。
逆に横隔膜は広げてもお腹をへこませることは出来ます。
ヨガの熟練した先生たちはとてもきれいにこの形を見せてくれたりします。
さらにお腹は膨らませても横隔膜が広がらないようにすることも出来ます。
とにかくお腹ではなく、
肋骨の下部だということです。
少し練習すると肋骨の下部は簡単に広げることが出来ることに気づくと思います。

なぜ横隔膜を広げる必要があるかを最後に書いておきます。
横隔膜は、音を出す時、
強くする時、
高い音を出す時など、
強く収縮する必要があります。
この動きの反対の運動として横隔膜は広がる必要があります。
よくトランポリンの例で説明をしています。
トランポリンは真ん中に集中して体重をかけることにより、
高く弾むことが出来ます。
このときトランポリンの真ん中に向かって力が集まっていきます。
これが横隔膜の収縮です。
そしてトランポリンの縁の部分はとてもしっかりとしたバネがついていて、
真ん中に集まる力に対して、
外に広がろうという力が働きます。
この力(バネ)がしっかりしていないと、
トランポリンの真ん中にどんなに集中させて力を加えても、
高く飛ぶことは出来ません。
このトランポリンを広げているバネのような働きをするために
横隔膜は広がっていなければなりません。

横隔膜を広げることは
声帯がしっかりと引き延ばされていれば
自然に準備できるものです。
意図的にやろうとすると間違えることも多いので、
位置を正しく把握した上で、
喉との連動を中心に見ていけばいいように思います。
そして基本的な発声がしっかり出来た後で、
さらに可能性を広げる時には意識的に練習した方がよいこともあるかもしれません。
しかしこのときは横隔膜の広がりはほぼ分かった状態になっています。
そのため間違った練習にはなりにくいと思います。
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