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冬の旅よりWasserflut「あふれる涙」2ー楽譜研究の1例

3連符と付点のリズムの問題

3連符と付点のリズムについて前回のWasserflutの記事で書いていますが、

今回は手書きの楽譜がありましたので、

これをもとに考えていきます。

シューベルトの手書きの楽譜

同時に演奏してほしいような書き方

まず1枚目の最初の小節を見てみます。

ピアノの右手の3連符の最後の音と左手の付点音符の次の16分音符は本来なら3連符の方が先に演奏され、

16分音符の方がやや遅く演奏されるのですが、縦に並んでいる、つまり同時に演奏されるように見えます。

シューベルトの頭の中にずらしてほしいという思いがあれば、

はっきりとずらして書いたのではないかと思われます。

後で演奏される音符が先に書いてある

さらに3小節目のピアノの右手を見てみます。

ここにも3連符と付点のリズムが同時に出てきます。

この小節の最後の音です。

下から3連符のFis(ファ♯)A(ラ)H(シ)と並んでいます。

A,Hが音符が重なって見にくくなるので、

少しずらして書いてあります。

本来なら3連符が先に演奏され16分音符が後に演奏されるので、

ラよりもシの方が後ろに書かれるところですが、逆になっています。

ずらして演奏してほしいと思う時にこのように書くことは考えられません。

同様に2枚目の最後の小節の1小節前も同じように書かれています。

8分の9拍子ではないこと

すべて3連符だとすると、

今度はなぜ9/8(8分の9拍子)で書かなかったのかということも考える必要があります。

9/8で書かれると基本的にリズムが、4分音符8分音符のペアの繰り返しになり、

心地よい流れがあり、やや優雅にな音楽になっていきますが、

この曲の場合はあちこちで立ち止まります。

立ち止まる瞬間音楽は次の一歩を考えながら進むことになりますが、

この立ち止まり考えながら進む音楽が、3拍子の選択になったように思われます。

手書きの楽譜だからこそ読み取れるものがある

印刷された楽譜を見ただけだと発見できなかったことが、

このように手書きの楽譜を通して発見できることがあります。

楽譜研究の1例ですが、このことから、

他のシューベルトの曲でも3連符と付点のリズムが同時に演奏されることが多々あるのではないかという仮説が立ち、

シューベルトだけ特別というのも変なので、

同時代の他の作曲家の作品も改めて考え直すと言うことになっていきます。

このように楽譜研究が進むことになります。

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