言葉が明瞭に聞こえないときに「子音を立てて」という指示を受けることがあります。
ちゃんとしゃべっているつもりなのになぜと思う方も多いのではないかと思います。
しかし、舞台で表現する人にとって、言葉は通常よりもよりはっきりさせる必要があります。
遠くにいる人まで言葉が分かるように届けるためには普通の会話よりもはっきりさせないと、
聞いている人は言葉の内容を聞き取るために相当注意しなくてはならなくなり、
音楽に集中できなくなってしまいます。
とにかく歌にしろ芝居にしろ舞台で言葉を発する場合は、
通常に比べて相当はっきりさせる必要があります。
そして言葉がはっきり聞こえないときに「子音を立てて」と言われるわけです。
子音を通常よりも強く発音することを意味するのですが、それだけでもありません。

もちろん正しくその原語が発音されていることが前提になりますが、
それでも言葉が明瞭では無いときに次の3つのパターンが考えられます。
- 子音の発音が弱すぎる。または発音されていない。
- 母音が安定していなかったり、存在感がなかったりする。
- 子音の長さが足りない。
この中でまず最初に考えた方が良いのは2番です。
多少子音が聞き取りづらくても母音がしっかりしていると言葉は伝わりやすくなります。
逆に母音が安定していないと子音が届いていても言葉は伝わりにくいものです。
徹底的に母音だけで歌う練習をすることもあるようですが、このためです。
母音に問題があっても、言葉が明瞭でなければ子音を立ててと言われることがあります。

次に重要なのは3番です。
日本語他外国語の違いですが、イタリア語、ドイツ語、フランス語、英語など西洋の言葉は
日本語よりも長い子音が使われます。
例えば”ヴォイス”という言葉は日本でもそのまま使われますが、
最初のvの発音は日本で発音されるよりも遙かに長く、
Voiceの発音とBoiceの発音はvの音が長く発音されることによりはっきり区別されます。
よく下唇を噛むか噛まないかで違うと言われます。
確かにそうですが、それに加えて長さの違いが必要になります。
日本語には長く発音される子音が少ないので、短くなりやすいです。

最後が子音の強さです。
アクセントのある音節の前の子音は強く発音され、
それ以外は弱く発音されますが、アクセントの前の子音なのに十分な強さがないケースと、
語尾など弱くてもいい子音がほとんど発音されていないことがあります。
アクセントの前の子音が弱いときにはアクセントの母音が安定していないことが多いように思います。
しっかりとした母音の発音が出来れば解決できることがほとんどです。
語尾の子音は発音したつもりで発音していないケースも多いですので、
強さよりも発音することを心がけた方が良いでしょう。
言葉が明瞭ではないときに原因は何であれ、
「子音を立てる」ようにと言われることが多いようです。
しかし、まずは母音をしっかり歌えているか、
子音の長さは十分なのかを確認した方が良いでしょう。
子音だけを強く発音しようと頑張るのは少なからず発声器官を堅くしてしまいます。
結果的に母音の伸びがなくなるようなら逆効果です。
また、長い子音は日本人にとってはどうしても少し難しくなります。
巻き舌の練習のようにv,f,z,s等の長さが必要な子音を長く出せる練習をする必要があります。
言葉をはっきり伝えるために、
必要以上に子音を強く出してしまうことがあります。
しかし実際には、母音の響きとのバランスが整わないと、
子音だけを強調しても不自然になってしまうことがあります。
久米音楽工房では、発音だけを切り離すのではなく、
発声全体とのつながりを考えながら、
自然に言葉が伝わる歌い方を整理しています。
言葉の明瞭さ、歌曲表現などでお悩みの方は、ぜひご相談ください。
- すべての子音をはっきり発音した方が良いのでしょうか?
- そういうことはないです。
まずはアクセントのある音節の前の子音をはっきりさせることに集中しましょう。
アクセントを強調するためです。
音そのものを強くするよりも効果的なことがあります。
そしてそれ以外は全くなくなるとだめですが、
あれば良いと考えると良いかと思います。
- 子音を強く発音すると音が固くなってしまいます。
- 強くすることと固くなることはセットで起こります。
まずは長く出せる子音に注目して、
強さよりも長さを歌えるようにしていきましょう。
それから日本語にない子音は、その子音を出す筋肉を強化しなければなりません。
強くする必要のある子音は確実に発音するようにしながら、
その筋肉を育てていけると良いです。
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