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発声のための体の準備~練習例11

体を歌える状態にする

 先日「発声でチェックする項目」の最初に体の準備について書きましたが、このことについて少し書いてみようと思います。

 器楽の演奏家にとって楽器のメンテナンスはとても大切なことです。そのために時間もお金もかかります。ピアノの調律もその一つで、調律師さんにチューニングだけではなく、様々なメンテナンスを頼むことになります。これはお金がかかるだけではなく、信頼できる調律師さんを探すことも、さらにその調律師さんとしっかりコンタクトを取って、理想の音に近づけていくことも大切なことです。毎日長時間かけてリードを削ったり(オーボエなど)、楽器の保管や移動もなかなか大変です。

 声楽家にとってこれらすべてが自分の体ですので、体を良い状態に保つことは大切なことですが、なかなか難しいことでもあります。では理想の状態はどんな感じでしょうか?

  • 凝りなどなく、首や肩腰など様々な部位が自在に動かせること。
  • それでいて抜けてしまった状態ではなく、力を入れようとしたらすぐに入れられること。
  • 声を出してもそのまま無理なく動かないでいられること
  • 声帯に腫れやキズなどなく、常に柔軟性を持ち、強い振動にも耐えられること

 ざっと4つほど出してみましたが、すべて問題がない日などほとんどないのが現状だと思います。しかし、慢性的に疲労が溜まっていて、首や肩が常に硬直していて、お腹にもあまり力が入らないのに発声を頑張ろうとしてもなかなか進歩していかないのも事実です。

 気にしすぎることもないですが、改善できることはやるといったスタンスが良いかと思います。いくつか例を挙げてみます。

凝りがひどい場合

 多少の凝りだったら、発声しながら改善していく。ひどい場合は5分か10分ほど何もせずに脱力してみる。その時は頭も休めます。テレビや音楽も聴かない方が良いです。場合によってはシャワーを浴びたり、短い時間の入浴も効果があります。

力が入らない場合

 これも凝りから来ることが多いので、凝りを取ることも必要です。それ以外では、歌いたくなるように気持ちを作ることも大切です。人間の横隔膜は特別な訓練をしていなくても結構な強さがあります。これが動いてさえいれば、歌い続けることでどんどんトレーニングも出来ていきますが、本来動くものを動かないようにしてしまっていると、練習していってもなかなか育っていきません。難しいことかもしれませんが、歌いたいと思うことが大切です。

変に動いてしまう場合

 自然に手が動いたり体が多少動くことはあまり気にしない方が良いです。しかしそれ以上に動いてしまったり、動かないで歌おうとするととても歌いづらい時は、体のバランスが悪いため動くことによりバランスの調整をしていることが考えられます。体のゆがみや凝りの発見につながるかもしれません。

声帯の疲労など

 声帯の状態も日々変わります。声帯そのものが腫れていたり、傷ついたりすることと、声帯の伸展等の運動が上手くいかないことがあります。これも何の問題もないことの方が少ないので、多少の違和感は気にせずに練習していった方が良いです。伸ばしたり戻したりの運動を繰り返していくと、段々血行がよくなってきて、振動もきれいになっていきます。あまり神経質にならずに、違和感のある時には伸展筋をまずはしっかり働かせるようにしてください。

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