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芸術家って変人?~音楽について53

政治家は悪人、芸術家は変人?

 映画やドラマでいろいろな職業の人が描かれます。普通の人の人生を描くだけでもとても面白い作品に仕上がっているものもたくさんありますが、刑事、医者、政治家、芸術家など特別な人が描かれることが多いように思います。政治家は圧倒的に悪人として描かれることが多く、本来なら自分の子供がこのように育ってほしいと思うような人であるべきなのだと思うのですが、なんとも残念にも思います。しかし、実際には考えられないような多忙な中、少しでも現状を良く出来るように、自分の損得は無視して走り回っている政治家もいらっしゃると信じています。さて、芸術家はというと、圧倒的に変人に描かれます。さて現実はどうでしょうか?

実際は?

 とても失礼だったり、わがままだったり、怒りっぽかったり、急に変な言動をしたり、お金にルーズだったり、等などありそうですが、実際のところそのような人はあまり多くはいません。優れた音楽家は、素敵な人が多く、人間的にもああなりたいと思えるような人が多いです。ただ少し予想外の言動を感じることもあるかもしれません。演奏家は同じ曲を1日何時間も何日も練習し、さらにそこまで勉強した曲をまた別の機会に取り上げ、同じような熱量で取り組んでいきます。そしてこれを、もちろん大変なときもありますが、とても楽しんで続けているのです。一つのフレーズを何十分も練習し続けていたりするのは、変人に見えてもおかしくないでしょう。

長時間音を考えている人

 指揮者や作曲家はとてもたくさんの時間、頭の中で音楽を作っていきます。楽譜を長時間見続けていたり、他人から見ればぼーっと何時間も座っているように見える中で、いろいろな可能性を頭の中で試しています。

 まあこんなものです。電車が好きで何時間も電車の話をしたり、一日中ゲームをしていたりするのとそれほど状況は変わりませんので、それほど変な人ではないのですが、どうも変人に描かれることが多いように思います。ただ、少なからず、とても変な人がいるのも事実です。これは芸術がそうさせるということでは無いことがほとんどです。

環境が作り出すもの

 小さい頃から早熟な音楽の才能が現れたら、日常が変わってしまいます。毎日とても厳しいレッスンを受けることになり、長時間練習するだけでは無く、ものすごく集中した状態での、長時間練習を要求されます。しかし、一旦外で演奏すれば、喝采を浴びます。この異様な日常が安定した精神を壊す原因になることもあります。

 また、人並み外れた才能があると、多少のわがままを周りが許す雰囲気が出来ることもあります。さらにこれが逆に働き、わがままを周りが許容してくれることが、自分の能力のバロメーターだと感じることもあります。そうなってしまうとわがままを通すことがとても大切なことになってしまいますので、やっかいです。優れた芸術家は自分がどのくらいの能力を持っているのかわかっています。自分には何が出来、何が出来ないか。何がわかり、何がわからないかは自分でわかります。周りの反応でそれを測る必要は無いのですが、自分の能力がどのくらいなのかわからない芸術家か、本来の能力ほどには評価されていないと感じてしまうと、無理を周りの人が容認してくれるかが重要なことになってしまいます。異常に高いレッスン代を要求する先生も同じようなものです。その金額でも生徒が来るということがその先生のステイタスになるわけです。

 いくつかの可能性を書きましたが、どれも芸術が変人を作るのでは無く、その他の社会的な要素が、変な芸術家を作ってしまうことの方が多いように思います。このようなわがままは全く許されなくて良いのです。しかし今はコロナの影響で、ギリギリで生活してきた優れた芸術家たちが生活できなくなってきています。芸術家のみを特別視することはありませんが、それでもこのような人たちを救ってくれる社会をどうしても期待してしまいます。

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