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歌詞について2(Im wunderschönen Monat Mai)~声楽曲 2

「詩人の恋」美しい5月にの歌詞

 今回は少し難しい話をさせて頂きたいと思います。音楽用語がたくさん出てきますが、詳しくない方でも全体の意味は分かるように書いていきますので、読んでみてください。シューマンの「詩人の恋」の第1曲目「すばらしい5月に」は次のように始まります。

驚くほど美しい5月、
すべてのつぼみが開く時、
私の心の中にも、
愛が生まれた

不安定な始まり

 ハイネの詩ですが、内容は分かりやすいもので、春になり色々なものが新しい生命を持ち始めるのと同じように、私の愛も芽生えた、といったものです。これに曲を付けるとしたら、愛の始まりの喜びが真っ先に感じられるところでしょうが、何とも不安定にこの曲は始まります。
  前奏は長調なのか短調なのかはっきりしない。例えばfis-moll(嬰ヘ短調)の特徴であるEis(ミ#)は出てきますが、Fis(ファ#)に解決しな いし、長調と考えても属和音から主和音への解決が無く曖昧な状態です。歌が始まって、やっとMonat Maiの歌詞のところで、EからAへのベースの動きが出てきて、A-Dur(イ長調)だったのだと分かります。(それでもD音のCis音への解決は遅らさ れているので、すっきりと安定してくれません)それからピアノのパートも歌のパートも上行する音型が目立ちます。安定させるには上行するメロディーがピー クを迎えたら下行すること、または逆に他の声部に下行音型があることが必要ですが、特に後半はすべてが上へ上へと向かいます。さらに最後は主和音で終わっ ていないので(最後の和音はfis-mollの属和音)、この曲だけでは終わりを作れないため、常に次の2曲目にすぐつなげて演奏されます。少しややこし い話になってしまいましたが、とにかくこの喜びにあふれた詩を前にして、シューマンはとても素敵な女性に出会って、どきどきしている繊細な詩人の震えるよ うな気持ちを、不安定な音の中に表現しています。

 このように詩が音楽になる時、詩をなぞっていくだけで、詩の意味を変えていくでもなく、詩の深みに連れて行ってくれるような気がします。
 繊細な心の震えを女の子に分かってほしいと思っている素敵な男性諸君が、現代でもきっとたくさんいる事だと思います。

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