歌の楽譜は、元々音符や表情記号の他に歌詞が入りますので、ごちゃごちゃするのですが、慣れない言語の場合その単語の発音と意味を書き込むことになり、さらに見づらい楽譜になってしまいます。
意味以上に発音が分からないと歌えないので、カタカナで発音を書き込むことは多いのではないかと思います。

もちろん原語のスペルを見て発音できれば一番良いのですが、慣れないとなかなか難しいし、間違って発音してしまっていても、それに気づかないこともあります。そこでカタカナは便利な道具になりますが、レッスンで外国語の発音を苦手にされている人の楽譜を見せてもらうと、やはりカタカナでの書き込みがあり、さらに間違ったときにカタカナを上書きし、見にくくなったら空いてるスペースにまた書き込みされて、とてもよく勉強されてはいるのですが、残念ながら楽譜が汚くなってしまってとてもに見にくくなっていることがあります。楽譜はそのままでも情報がとても多いですので、極力見やすくしておきたいところです。

そこで一つ提案ですが、発音の書き込みのように、必要なくなることのあるものは鉛筆で書き込み、発音できるようになったものからどんどん消していくという風に、増やすのではなく、減らしていくのはいかがでしょうか。後々分からなくなったら困ると言うこともあるでしょうが、そうであればそのときにまた辞書で調べてもいいし、もしくは書き込みの多いときに写真に撮って残していてもいいと思います。全く書き込みのない楽譜で5,6曲歌えるようになったら、その言語に関してはそれほど発音に苦しむことは無いと思います。

声楽家は歌がうまいからといって言語に強いわけではないのに、相当の言語能力が要求されます。海外では英語と自分の得意とする分野の言語プラス2カ国語、自国語と併せると5カ国語くらいはある程度の会話であれば問題なく使える声楽家がごろごろいますし、コレペティ(オペラの伴奏ピアニスト)はさらに堪能です。歌を始めた頃はこんなに語学の勉強をすることになるとは思っていませんでした。

シューベルトは高い音に向かってデクレッシェンドすることについて~声楽曲19

合唱のヴィブラートを考える ~声楽曲14

「赤とんぼ」のアクセント~声楽曲20

燃えるような恋をしないとオペラなんか歌えない説について~声楽曲15

楽譜の書き込み~声楽曲 4

少しだけドイツリート演奏史~声楽曲 8

伴奏合わせ2~声楽曲 10

マタイ受難曲「最後の晩餐」~声楽曲 3

最高音の変化Lasciatemi morire~声楽曲13

伴奏合わせは難しい1~声楽曲16
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