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固定ドと移動ドの2種類がある理由~音楽について41

固定ド、移動ド、絶対音感、相対音感

 固定ドと移動ドは基本的に違う考えのものです。この違いについて考えてみます。絶対音感と相対音感と言ったものがありますが、これと移動ド固定ドは関係がありません。絶対音感は楽器が無くても思った音程が自在に出せたり、聴いた音が音楽と関係なく何の音か分かる能力です。相対音感は一つの音をもらえれば、それを基準にどんな音も出せるし、聞き取れると言ったものです。性格の違いではなく、基準の音をもらう必要があるのか無いのかの違いです。ほぼ同じ能力と言っても良いと思います。

 楽器の演奏の時には移動ドは不可能です。ドの音を出すそれぞれの楽器のポジション、レの音のポジションといった感じで覚えていき、必要な音程を正しいリズムで出すことによって楽器の演奏が可能になるので、ドの位置が調性によって変化するのは不便です。

絶対音感と相対音感~音楽について43

音の性格は移動ドが分かりやすい

 ということで固定ドさえあれば良さそうなのですが、固定ドではハ長調のドは主音ですが、ヘ長調だと第5音になります。音の性格が違うのです。これを解消するためにどの調でも長調であれば主音をド、短調であればラと変化させるのが移動ドになります。長調であれば常にドは安定した主音の性格、シは導音としての性格等が調性が変わっても同じように感じられるので、音楽の性格がわかりやすいという長所があります。しかし、転調の度に読み替えをしなければならず、ものすごい楽曲分析能力が必要になります。また転調ははっきりとこの時点で転調という場所が定まらないことが多々あります。例えばハ長調の主和音ドミソはへ長調の5度の和音になります。両方の性質を持つ和音を使うことでスムーズに転調させる時にどこで読み替えをするのかは正解がありません。シ♭が出たところでファに読み替えるということがよく使われますが、長々とシが出てこないこともあります。

部分的に移動ドを使ってみる

 とても音楽的な移動ドですが、結局すべての転調が把握できなければ正しく使えないのが実用的になっていかない理由です。転調しても元の調のまま読み続ける移動ドの使い方もあるようですが、転調の箇所は移動ドの意味が無くなるので、苦労して読み替えをする意味が無くなってしまいます。あまり勧められることではありません。

 1例ですが、転調のない安定した場所や、音楽が把握しづらいところだけを正しい調で移動読みしてみると言った、部分的に利用するという使い方も良いかもしれません。

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