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オペラの特殊性~オペラ4

楽譜をよく見る

 オペラは音楽と演劇の融合だという特殊性はありますが、ここでは違う側面を考えてみます。通常クラッシックの音楽家は楽譜をよく見るように指導されます。楽譜に慣れていないと、楽譜から音譜を読めたとしても、テンポや曲の雰囲気、さらにテンポや強弱の変化を決めること、つまり生きた音楽にしていくことが難しいこともあります。そのためにCD(今はYouTube)等を使って、プロの演奏を参考に練習をしていくことも多いと思います。

 しかしもうすでに出来上がったプロの演奏を聴いてしまうと、その演奏を少なからず真似してしまいます。そうすると音楽の本質の追究がおろそかになり、表面だけの真似になりがちなので、先生からCDは聴かずに、楽譜からだけで音楽を作りなさいと指導されることになります。このことはとても大切なことで、音楽の奥に隠されている真実を、演奏で形にするためには誰かの真似ではなく、楽譜を深く読んでいくしかないのです。もちろんオペラも例外ではありません。

楽譜だけでは分からないオペラ

 ここまではどの分野でも同じですが、オペラに関しては早い時期にCD等で他の人の演奏、出来れば複数の人の演奏を聴く必要があります。というのは楽譜の通りに演奏されないことがとても頻繁にあるからです。音やリズム、長さを変えて演奏されたり、何も書いてないところでテンポを変えたり、ある部分を全く演奏されなかったり、とにかく楽譜と違う演奏の方が通例になっていて、楽譜通りに演奏されることは全くない部分もたくさんあります。

 オペラ以外ではこのようなことはほとんどありません。色々な理由がありますが、オペラの作曲は演劇の台本づくりに似ているところもあります。公演が決まっているばかりではなく、誰が歌うかも決まっている場合も多く、そうするとその歌手の特性に合わせて作曲していきます。さらに作曲家が練習に立ち会うことも多いので、その段階で、楽譜を変えていくこともあり、さらに2回目、3回目の公演の時には違う歌手が歌いますので、さらに変更を加えることもあります。また後の時代にもっと技巧的な華やかな演奏をする歌手が現れれば、その歌い方がその後の常識になっていくこともあります。とにかく楽譜だけではどのように歌うべきかが分からないことが多いのはオペラの特徴でもあります。

 基本的には楽譜よりも高い音や複雑な音で演奏される場合はそのように演奏した方が良いと思います。ただし、とても難しく感じる場合は無理しない選択をすることもあり得ます。それでも基本は楽譜にあることに違いはありません。CDのみに頼らず、どのように演奏すべきか分かったら、その後は楽譜から音楽を探していくことは同じです。

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