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長い音で苦しくなる仕組み~発声の仕組み32

 速い曲を歌う時より遅い曲の方が苦しく感じたり、長い音が出てくると息が続かなくなるほどの長さではないはずなのに、苦しく感じることがあるかと思います。これには理由があります。

 長い音を途切れないように伸ばすためには、声帯をしっかりと閉じ続けなければなりません。息はまだまだ残っていたとしても声帯が離れてしまうと音は途切れてしまうので、閉鎖させ続けることが絶対に必要になるのですが、閉鎖させようと頑張ると声帯を引き伸ばしている力がそれに負けてしまいます。このことにより、音に伸びがなくなり、場合によっては雑音が混ざるような響きになり、それ以上伸ばすことが困難になっていきます。結果息がなくなってしまっているわけではないのに、音が途切れてしまいます。

 これを解決するために、さらに閉鎖を強くすることも考えられます。こうなると音が途切れることもないし、声帯がしっかり閉じられることにより、息も無駄に消費されないので、なんとか歌えるようになっていきます。しかし、残念ながら音質が悪くなるし、音量や音色の変化は不可能になってしまいます。別の方法を使うしかありません。

 答えは簡単で、閉鎖させようとする力が、伸展筋の働きを弱くしてしまうので、さらに伸展筋を働かせ続ければ良いのです。これが出来ると音は常に広がりを感じる響きになり、音色や音量の変化が可能になります。

 伸展筋の動きはできるだけ早い段階で把握できた方が発声のコントロールが可能になります。普通に歌えている以上伸展筋も働いているものですが、自分で把握できてコントロールできるかどうかは、声を自由にする上でとても重要です。

 この現象は音が細かく動いていればあまり気にならなくなります。強く閉鎖させなくても音が途切れる心配が無くなり、伸展筋が閉鎖に負けないからです。速い曲は言葉が大変になったり、リズムを合わせる難しさがあるのですが、発声的にはゆっくりした曲の方が圧倒的に難しいです。ゆっくりした曲が苦手な人は根気のいる練習になるかもしれませんが、絶対に練習した方が良いです。