レッスンの時間には色々な指示を出すのが指導者の仕事になるわけですが、
その時に理由を説明することが多くあります。
理由も伝えずにもっと速くとか、そこではブレスをしないとか、
その音はアクセントで、とか指示を出すのはあまりにも失礼な気がして、
私のレッスンでは可能な限り理由を伝えます。

例えば1つのフレーズでピークになるところが2カ所あったとします。
その時に2回目のピークをより強くといった指示を出すとします。
そこで「2回目のピークをより強く歌いましょう。」だけではなく、
「2回目のピークの方がより高い音で書いてあるので、
1回目のピークよりも少し強く歌いましょう。」といった感じになります。
どの先生のところでもよくあるレッスンの風景だと思います。

これを生徒さんの立場から考えると、
プロの歌い手は常に2つのピークがある場合には
どちらの音が高いかを考えてそちらをより強く歌っているように捉えられるかと思いますが、
実はそんなこと考えていません。
意識しては考えていないのに音の高い方を強く歌ってしまうのです。

では指導者の頭の中はどうなっているかというと、
まず演奏を聴いて、何らかの違和感を感じるところの理由を考えます。
先ほどの例でいくとフレーズの中の緊張のピークに違和感を感じるわけです。
そして次に緊張のピークの位置のずれを考えます。
さらにその後でなぜそう思ったのか考える訳です。
そこで初めて2つめのピークの方が音が高いからそちらにより緊張が感じられる必要があると考えます。

つまり生徒さんに先に理由を言って指示を出しますが、
先生の頭の中は後で理由を探します。
この順番は結構大事で、先ほどの例を真面目に考えすぎると、
すべての箇所で音の高いところは低いところよりより強く演奏し続けなければならなくなります。
間違いではないかもしれませんが、
これではとても窮屈な演奏になってしまうでしょう。
さらに、今の例のように強弱だけが目立つ演奏になった場合、
指導者は、強弱はよく付いているけれども、
他の要素にも目を向けてみようと提案をしていくことになります。
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