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良い声とは(指導者の視点)~声の診断 5

指導者は偏った判断をしてはならない

 皆さんはどんな声が好きですか。圧倒されるような大きな声、つやのある高い声、静けさを感じさせる柔らかい声、男性的な低い声・・・・。実は声を作る仕事に携わっていると、この好き嫌いをとても危険だと感じることがあります。もし指導者が、生徒さんの本来の声ではない別の声に誘導してしまったら、もしかするとある程度は歌えるようになるかもしれませんが、それ以上の進歩は望めず、プロになる可能性をつぶしてしまうこともあります。指導をするということは、自分の思っている一つの方向に誘導することではなく、問題のある部分を修正し、長所を伸ばしていく過程で、この方向が本当にその歌い手にとって正しいのかを絶えず考え、修正しながら導くことです。

羊と鋼の森~音楽について56

表現が可能な声

 私が声を判断する時の一つの方法です。その声でどのような音楽表現が出来るかを想像してみます。音が高くなっても低くなっ ても自然な音色を壊さないか。いつでも自由に強弱の変化が付けられるか。長い音を安定して続けることが出来るか。表情のある音楽にすることが出来るかなどを頭の中で想像します。大抵はすべてを網羅してはいなく、どこかに欠陥があります。そこでレッスンでは、その欠点をどういう方向に変えていくか、また、どのような手順で練習していったらよいかを考えていきます。

一人一人に合った練習法

 指導者は一つのメソードを持って、無理矢理すべての生徒にそれを押しつけているのではなく、その人に本当に大切なものを、色々な方法で、慎重に提示していくものです。ぜひその一つ一つの意味を感じ取りながら練習を続けていって下さい。

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