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集中力のトレーニング~音楽について 27

集中した演奏

 演奏に於いて集中力とはたくさんの事柄を同時に感じ聴くことだと書きましたが、当然そうなのですが、結局しっかり練習するしかないという事になってしまいました。しかし、集中した演奏ができるためのトレーニングもありそうですので、少し書いてみます。

今集中していたものと違うものに集中する

 演奏する時には、今気になっている一つのことにのみ注目してしまいがちです。これを逆に利用して、今注目していたものでは無いもの1つに注目してみます。自分の声に注目していたとしても、声にも色々な要素があります。音程の移り変わりではなく、今の瞬間の響きにのみ集中してみます。そうするといつもより少し遅いテンポになりやすいですが、それで大丈夫です。自分の声のいつもとは違った面が見えてきます。そしてこの聴き方は伴奏のハーモニーを感じることにも関係があります。さらに音程をよくしていくことにもつながっていきます。また声の安定感も出てきます。

緊張の推移のみに集中

 もう一つ。音の緊張の推移のみに集中してみます。前の音に比べて次の音は緊張が増した方が良いか、緩んだ方が良いかのみに集中して歌ってみます。楽譜の強弱に従ってではなく、音楽の要求に合わせた変化ができてきます。そして自分で感じたメロディーの緊張の推移と、伴奏の緊張の推移を比べてみます。これだけでとても表情豊かな演奏になっていきます。

 2つだけ例を出しましたが、今までとは違う何かに集中を移してみることにより今まで感じられなかったものが感じられます。これこそが集中がもたらす最大の成果だと思います。すべてできなければと思いすぎず、集中の移動を色々と試してみて下さい。そのうち集中して感じる部分を必要に応じて、切り替えできるようになり、このことがすべてを同時に把握することにつながっていきます。
 また例で書いたこの2つの方向で音楽すべてを説明できます。空間的な今の瞬間の響きと、時間的なその移り変わりです。音楽の中で対立しながら同時に存在する大きな2つの要素が変化することによって、演奏は変わっていきます。
 是非集中する対象を変化させることを試してみて下さい。

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