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母音で歌うことについて~練習例 9

 ヴォカリーズと言いますが、練習の中では歌詞ではなく母音で歌う事も多々あります。発声もほとんどがヴォカリーズです。今回はこの母音で歌うことの意味を考えてみます。 使われる母音は目的に合わせて変えられます。ほとんどはa,o,uのどれかの母音が使われ、その前にm,n等の子音を付けて、na、moのような形で使われます。

  先ほどの3つの母音が中心になりますが、目的によって使い分けていきます。

 uの母音は一番音量が出ませんので、強弱を変化させる練習には適していません。しかし、一番開いた喉を作りやすいので、音程や母音の変化で音色にばらつきがでる時などは有効です。

 aの母音は一番よく使われます。歌詞で歌う状態に一番近いので、aを使ったヴォカリーズできれいに歌えたら、歌詞での歌唱に移行しやすいです。uに比べると喉の安定した開きを維持することが難しくなりますが、声門の閉鎖が強くなりますので、強弱の変化も可能です。

 oはその中間です。ほどよく喉を開きやすく、ほどよく声門閉鎖されますので便利ですが、目標がはっきりしている時にはu,aの方が良いかもしれません。

 さらに母音だけでも良いのですが、いきなり声帯が振動するので、何らかの有声子音を付けてそれを柔らかくしたり、響きが落ちないようにします。m,nが一番多いです。

 ヴォカリーズは歌詞で歌う難しさを緩和してくれます。歌詞は歌にとって最大の武器なのですが、逆にやっかいなものです。母音が変わり、子音で途切れてしまいますので、流れや音質にばらつきが出やすくなってしまいます。またこのばらつきが耳に付いてしまって、本来のメロディーの流れが感じにくい事もありますが、ヴォカリーズを試すことによって、音楽を再発見することにもつながります。最高音の推移などもヴォカリーズだととてもよく感じられます。

 母音の前に有声子音を付けることが多いのですが、例えばnaを使うとして、音符ごとにna,na,na,naと毎回nを言い直す方法と、最初にnを付けたら後はブレスまでずっとaでのばし、n を言い直さない方法の2つが考えられます。 発声や音楽の練習のためのヴォカリーズではnを言い直すことは考えられません。音楽の流れがぼやけてしまいますし、音程が変化する時には自然な声帯の状態変化が必要なのですが、nを言い直すことにより、この状態変化を感じにくいし、nを頼っての状態変化になりやすいので、ヴォカリーズは基本母音だけ、必要があれば最小限の子音を使う方が練習の意味が出てきます。

 ただし、言葉を付けるのが難しい時の音取りで、na,na,na,naと毎回nを付けた練習をすることがあります。ヴォカリーズの練習のためではなく、音取りをしたいのに慣れない言語の音楽など言葉をすぐには入れられない時に便利ですし、通常のヴォカリーズだと音程が変わらないのに言葉が変化する部分ではロングトーンになってしまうところを、na,na,na,na,とやるとリズムも練習できます。しかしこれは音取りとして便宜上やっていることなので、ヴォカリーズの練習の時には切り換えた方が良いでしょう。

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