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音取りの苦手な方へ3~音取り10

レコードやCDを聴かない

 学生の頃、新しい曲に取り組む時に、決して録音を聴かないようにと言われていました。レコードやCDで販売されている演奏は、どれを取ってもある程度以上の完成度があり、それを聴いてしまうと少なからず真似をしてしまうので、自分で音楽作りをしなくなってしまうと言うのが理由です。楽譜のみから音楽を作り出すようにしなさいと言うことです。多分に正しいところもありますが、結構難しいです。

録音を聴くこと

 音取りが苦手な人がこのように録音を全く聴かずに歌っていこうとすると、新しい曲に取り組む時のハードルはとても高くなってしまいます。ですので、曲の雰囲気をつかむまでは聴いても良いのではないかと思っています。特にテンポ、音の強さ、大まかなブレスの位置を把握できるように、先人の素晴らしい演奏を聴くことは音取りを効率よく、簡単にしてくれると思います。

録音に頼った音取りの欠点

 しかしこれからが大切です。録音を聴くことで全く楽譜を見なくても歌詞さえあれば歌える部分が多いですので、録音に頼りすぎてしまいがちです。これでも問題なければこのままで良いのでしょうが、次の点で問題が大きくなっていきます。

  • 自分で歌うときの伴奏は録音と全く同じではありませんので、細かい部分でテンポのずれが起こり、修正が難しくなります。
  • 聞き取りにくい細かい音、例えば装飾音などが正しく入れられないことが多々あります。
  • 難しい音程の練習がしづらい。
  • 音取りに時間がかかりすぎます。

スピーチは絶対に録音で覚えない

 例えばスピーチ原稿があって、1分間くらいのスピーチをするとします。通常は原稿をもらって一生懸命覚えることになりますが、原稿はもらえず、他の人のスピーチの録音だけもらって覚えなければならないとしたら、とても大変なことになると思います。録音だけで音取りをするのはこのような作業です。時間がかかりすぎるのです。

楽譜のみの練習にだんだん切り替えていく

 そこで、曲のイメージが分かったら思いきって録音を聴かずに楽譜のみで練習していく習慣を付けることをおすすめします。楽譜を読むことが苦手な人にとっては結構大変なことだと思います。スピーチの例で考えると、文字の読めない人や何らかの理由で文字を把握できない人にとっては、時間がかかっても録音を何度も聞くしかないのです。しかし楽譜は文字よりも簡単なところがあり、音が高くなると音符は上に書かれ、下がると下に書かれます。どのくらい上がるのか下がるのかは難しいのですが、上がるのか下がるのかはとてもわかりやすく書かれています。リズムも旗が多くなると速くなる、白い音符は長い音というのは視覚的にわかりやすいですので、楽譜を見る癖を付けるだけで、段々と楽譜を読めるようになっていきます。

楽譜が近づいてくる

 最初は大変だと思いますが、曲を把握するまで録音を聴いたら、その後はできるだけ聴かないようにする。また分からなくなったら、少し聴いて、また聴かないようにする。この習慣が付けば、少しずつ楽譜が近く感じられると思います。

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