あごに力が入るしくみ~発声のしくみ20

 あごに力が入っていると感じたり言われたりすることも多いものです。改善すべき課題だと考えられていますが、どのような状態なのかを解明していきます。

 音を作るためには声帯の長さ(薄さ)と厚さのコントロールが必要になります。声帯を前後に引っ張ることによりより薄い声帯になり音程は上がりますが弱い音になります。声帯筋により左右から声帯が閉じる方向に力が加わると声帯のふれあう部分の面積が大きくなり、低く力強い音になります。この2つの運動を組み合わせることにより、様々な種類の音程や強さの音を作っています。

 さてあごに力が入るしくみです。これは声帯のを引き伸ばす筋肉の使い方に関係があります。引き延ばしには声帯を下向きに引っ張る筋肉(輪状甲状筋、胸骨甲状筋など)が必要になります。これらの筋肉の働きが弱いと高い音が出ませんので、それでも高い音を出そうとすると他の筋肉に頼ることになります。声帯を下から引っ張るのではなく、上から押し下げるような筋肉(舌骨筋)が強く働いてきます。その結果ある程度声帯の薄さは出来ますので、やや高い音も出せます。しかし下から引っ張るほど声帯は薄くなりませんので、その人が出せるであろう最高音までは行き着きません。さらに声帯を少し伸ばした状態で固定させてしまいますので、柔軟性がなくなり音色音程の変化がやや難しくなります。さらに舌骨筋に常に硬直しますので、発音にゆがみが出てきます。声帯周辺の筋肉については発声のしくみを参考にして下さい。

 まとめると、声帯を薄くのばすために、下から引っ張るのではなく舌骨筋で押し下げてしまうために起こる現象。やや高い音も出せ、音量もあるが、ピアノが難しく、細かな動きや音質の変化が難しくなり、母音にゆがみがでるという事です。

 無理して高い声を出そうとして起こる現象ですので、高い声の人、特にテノールに多く、小さめの声で歌っている人より、しっかり声を出している人に多く見られます。この状態であごの力を抜くと、高い音は全く出なくなりますので、単に力が入っているのだから抜けば良いという話ではありません。声帯を下から引っ張っている筋肉を使うことや強化することが必要です。

 レッスンでは症状が軽ければ、正しく喉を開く練習と、狭い音程の変化でも常に音程が変わる時には声帯の伸展筋が活発に運動するような練習をしていきます。症状が重いようであれば、それらの練習には反応してくれませんので、もっと基礎的なこと、息を深く吸い自然な息の流出による声の出し方を再発見するなどの練習が必要になります。

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