合唱のアルトパートで、
「声が出にくい」「音域が狭くなる」「響かない」と感じている方は少なくありません。
頑張って出そうとしても聞こえないと言われたり、
それでも出そうとすると汚い声になってしまうこともあります。
色々な対処法がありますので、
考えていきましょう。
合唱の練習に立ち会わせてもらうと、
それぞれの団で特徴があり、
その時の目標に向かって頑張っている姿が見られ、
とても力をもらうことがあります。
そしてどの団でもそれぞれのパートにやや似た特徴があります。
バスはしっかり声が出ているところが多いものの、
やや遅くなりやすいとか、
テノールは高音で苦労しているところもありますが、
そうでなければバスと反対でやや速くなりがちです。
そしてアルトはしっかりと音取りが出来て、
音楽的な表現もあるのに音が小さいことが多いです。

今回はアルトの声が小さくなりがちなことを考えてみます。
混声合唱では女声はソプラノとアルトに分類しますが、
声種を分ける時にはソプラノ、メゾソプラノ、アルトの3つに分けることが多いです。
そして実際にはアルトの声に相当する人はとても少なく、
低い声の人はほとんどメゾソプラノで、
さらに日本人の声はソプラノが圧倒的に多く、
つまり多数のソプラノと少数のメゾソプラノ、
めったにいないアルトの割合になるわけです。
実際はこの割合なのに、
合唱ではソプラノとアルトは同じくらいの人数がほしいので、
元々とても難しい事が分かります。
こうなると本来はソプラノだろう人がアルトに回らなければならないということになります。
さらに合唱のアルトのパートはメゾソプラノにとっては少し低いことが多く、
メゾソプラノであっても多少無理をすることがあります。
ということで本来アルトのパートを歌うのに適していない人がたくさんアルトを歌っていることになりますので、
アルトが弱くなってしまうのは仕方がないことでもあります。
現状ではおそらく発声の練習が進むとソプラノになるだろう人が、
今のところ高い音は大変だということでアルトを歌っていたり、
または高い音も出せて明らかにソプラノなのだけれども、
人数の関係で、低い音も出せて音取りも上手な人がアルトに回っているということです。
なかなか難しい問題です。

そしてもう一つ。アルトの音域は胸声区の音をたくさん使いますが、
頭声区の練習はとてもしっかり出来ているのに、
胸声区の練習はあまり進んでいないのが現状です。
胸声にはもう一つ地声という呼び方があります。
本来は同じものですが、
きれいに出ている低い音は胸声、
汚い胸声は地声という風に使い分けられているように思います。
地声は未発達な胸声に対する悪口というわけです。
不思議なことに頭声にはこのような呼び方はありません。
つまりきれいに出せない低い音を強く嫌う傾向にあるように思えます。
ここで問題が出てきます。胸声区の練習はなかなか進んでいないが、
楽譜にはたくさんの胸声区の音が書いてあると、
アルトの人は胸声の練習を始めなければならない。
しかし、練習のはじめにきれいな胸声は出るはずもなく、
それは地声だから止めなさいと言われてしまう。
そうするとまた胸声の練習はストップしてしまいます。
しかし、楽譜には出てくるので、
また練習をし始めても同じことの繰り返しで、
結局頭声の延長のような胸声になってしまいます。
当然のことですが、
か弱いアルトの完成になるわけです。

元々人数が少ないのはどうしようもありません。
またソプラノだろう人がアルトを歌う時にはあまりしっかりした胸声を求めるべきではありません。
本来の声よりも厚めの声帯にして歌い続けることになりますので、
無理をしてしまいます。
声帯を薄くして声を出す時間をどこかで確保すべきだと思います。
そして胸声の練習の初期は胸声を出すことを最優先にし、
徐々に音質を良くする練習をしなければなりませんので、
初期の音質や音程の悪さには寛容である必要があります。
少なくとも禁止してはいけません。
それでも本番が近いと難しいところはありますが、
全員がこれを理解し、
例えば直近の曲の練習ではあまりしっかりと胸声は使わないものの、
別の時間にしっかりとした胸声を使った練習をすることも考えられます。

ソプラノも胸声は必要ですが、
楽譜の中で胸声が使われるのはわずかで、
それほど大きな声が必要なこともあまりありません。
しかしアルトのパートは曲によっては3分の1くらいが胸声区で、
しっかりとした声が要求されることも多々あります。
常にというわけではありませんが、
日本の合唱曲のアルトのパートは低い部分が多い気がします。
アルトにとって胸声区の練習と、
胸声から中声へのチェンジの克服は避けては通れない問題です。
一時的な不安定さの容認もとても大切だと思います。
胸声の使い方や、どのように響きを作るかについても疑問に感じている方が多いと思います。
レッスンでは、実際に声を出しながらその違いを体験していただけます。
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