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音を飛ばすのは息を飛ばすことでは無いことについて~発声のしくみ41

音を遠くまで飛ばすために息を遠くまで届かせようとすると

 「2階席まで音を届けるように歌おう」とよく言われます。こうなると息をたくさん出そうと考えてしまうかもしれません。しかし、息が音を届けるのではありません。口から出た息は大型扇風機のような風が出ていない限り2階席まで届きません。さらに息が2階席まで届いているのならば、客席には常に結構な風が吹いていることになります。考えてみると当然なのですが、一生懸命息を増やそうとしてしまうのも理解できます。

音が遠くまで届くことと息がたくさんでることは全く関係がありません。逆に息が多すぎると遠くに飛ばない音になってしまいます。

音は波。波はその場での振動が伝わっていく

 音は波です。波というと海岸で寄せては返しの波がまず思い浮かびますが、足の届かないくらい沖に出て行くと、単に上下運動をしているだけだと分かります。沖の海水がそのまま海岸まで届いているのではありません。上下運動が伝わっていくだけです。音も空気がその場で振動をしているだけです。まずは音を飛ばすことと息の量は関係がないことを理解しておきましょう。

音量、音程と音の届く距離

 遠くまで飛ぶ音はどういった音かについては申し訳ありませんがよく分かりません。物理学的には音の大きさは音圧(デシベル)で決まり、音圧が大きいほど遠くまで届きます。さらに高い音よりも低い音の方が同じ音圧でもより遠くに伝わるようです。こうなると遠くに届かせたければ大きな音を出すしかなさそうですが、2階席まで音を届かせるように歌うこととは違うように思います。またソプラノの声はそれほど音量がなくても音程がしっかりとれていればよく聞こえてきますが、アルトになると結構頑張って歌ってくれないと埋もれてしまいます。低い音の方がより遠くに届くというのとどうもズレを感じてしまいます。しかし、もしホールではなく、広い空間のある外で歌っているのを遠くに離れて聞くと、離れるにつれておそらくソプラノの音から聞こえなくない、バスの音が最後に聞こえなくなるのでしょう。実験したことはありませんが、おそらくそういうことだと思いますが、ホールでよく届く音とは少し違うように思います。

 大学での音響学の授業で教授がストラディバリウスの数億円のヴァイオリンと初心者用の5万円のヴァイオリンを分析したところ、全く同じ数値だったので、高い楽器も安い楽器も同じだとおっしゃっていました。しかし、さすがに確かに音が違います。その時の音響学で使われていた装置で計っても現れなかっただけで、もっと別の機械が作られたら測定できるのかもしれません。今の科学で分からないからと言ってないと断言するのはどうかと思ったことを覚えています。音量は同じでも遠くまで届く音の正体は分かっているのかどうか知りませんが、私たちの耳が捉えたものを大切に考えていくと良いように思います。

 長くなってきましたので、とりあえず音を飛ばしたいからといって息をたくさん出すのは違うということ、おそらく科学的に証明するのが難しい現象ですので、感覚を大切にして捉えていくことというお話で、また次回。

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