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発声練習は先生の言葉より練習メニューの方が信頼できることについて~声の診断14

発声理論は結構間違っている

 とても素晴らしい発声指導者はたくさんいらっしゃいます。色々な先生が色々な練習メニューを使ってレッスンされていますが、そのような先生であっても間違ってしまうことはあります。ですので、そこまでは勉強できていない指導者が間違ってしまうことは仕方のないことのように思います。もちろんそれができるだけ少なくなり、最善の方法を探りながら日々勉強していくことが必要なのだと思います。こう書いてしまうとレッスンを受けている方は不安になってしまいますが、今回はそうでもないという話です。

 例えば喉を開けるということは共鳴するためのスペースを広げるためだと思い込んでいる先生がいたとします。本当は喉を開けるのは声帯の伸展であり、スペースではないのですが、声帯が十分に引き伸ばされると声がよく響くようになるのでそのように思い込んでしまってもおかしくありません。

それでも良い発声練習が出来る理由

 1,このような先生のありそうなレッスンの一例です。「共鳴のスペースを作るためにもっと喉を開けなきゃだめだよ」という話をし、上行形を含んだ音型で高い音に向かって「もっと開けてもっと開けて」とレッスンは進んでいきます。響きのいい音が出た時に「それそれ」ということになり、もっと高い音に向けての練習になっていきます。

 2,スペースを作るのであれば、上行形の音型は必要ありません。音を出すとどうしても声帯を閉じるためにどこかしらスペースは狭くなります。スペースを広げることが最善だとすると息を吸う時にできるだけ色々なところを広げて、その状態を崩さないように声帯だけ閉じて音を出せば良いのです。上行形は必要ないですので、単音で息を吸ったままの形をキープしつつ声を出します。こうしてできあがる声は息の多い吠えたような声です。バタバタと不規則に声帯は振動し、そのままでは高い声はほとんど出ません。

 1で挙げた架空の先生のレッスンでは2のようなことはありません。レッスン自体は十分に良い内容です。先生の「それそれ」が本当に声帯の伸展がきれいに行われた時に出てきたのであれば、この間違った理論からちゃんと生徒は進歩していきます。2のようなレッスンもあったと思います。スペースを広げることが目的だとしたら、1のレッスンは思いつきません。2のレッスンを考える方が正しいでしょう。よく考えた先生が2のレッスンをすることになるのですが、全く効果が出ないか、真面目に長期間やってしまうとたくさんの音声障害の生徒を生み出すことになってしまいます。結局2のレッスンはなくなってしまうのです。

 このように練習メニューは効果のあるものしか生き残れないので、そこに間違った理論が差し込まれたとしても、先生の耳が正しく機能していれば、ちゃんと良いレッスンになります。1のレッスンはドレミレド、ドミソミドのように上行形を含んだ音型が使われます。スペースだけが必要ならこの音型は出てきません。さらに音が上がるにつれて開こうというレッスンになります。下がる時に開くということにはなりません。そのあたりが、すぺて空洞を作ろうということではなく、声帯を伸ばすことにつながっていきます。そして先生が、声帯がきれいに伸ばされた時にOKを出し、そうでなければNGを出していけば声帯を引き伸ばすための正当なレッスンのスタイルになり、理論は全く違っていますが、とても良いレッスンになっていくのです。

 これはこれからも起こり得ることです。今正しいとされている理論が実は違ったとされるかもしれません。しかし、効果的な練習メニューはそれでも生き残り、結局解釈だけが違ってくることになるでしょう。

 頭で考えたものより、感覚的に知っているものの方がより真実に近いのかもしれません。

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