濁音の発音の時に鼻にかけたように発音することを鼻濁音といいます。この鼻濁音を利用した発声もいろいろと便利です。同じような発声でNGを使った発声もあります。進行形のingの途中のような発音の仕方です。この2つは同じものですので分けて考える必要はありませんが、鼻に抜ける音は絶対に必要です。鼻母音やHGのように舌の奥の方を上顎にくっつけて、口には全く全く抜けない方法と、フランス語の鼻母音のように鼻に抜けるものの、舌の奥を上顎にはつけずに、口の方にも抜けてくるものの2種類の似た発音の仕方があります。
音のポジションで一番バランスがとれているのが、鼻の付け根に感じるポジションです。ここに音を感じられると、発声で重要な声帯の伸展と、声門閉鎖の両方がバランスよく働いた音が出せます。これが鼻濁音で感じられる音です。このとき顎はやや下に引っ張られるような力を感じます。声帯が伸びる時に不可欠な力です。また首の後ろも引っ張られるような感じがし、さらに首の後ろを触ると振動を感じられます。これは声門閉鎖がしっかりと行われている証拠です。
鼻濁音になる場合と鼻母音になる場合、舌の奥が上顎に付くか付かないかの違いはあまり大きくはありませんが、鼻濁音の方がより閉鎖が強くなりますので、力が必要です。慣れないと難しいかもしれませんが、慣れたらわかりやすいと思います。鼻母音の方はわかりにくい人もいるかもしれませんが、無理な力がいりませんし、そのため通常の母音への移行もスムーズに行いやすくなります。
この練習の欠点もあります。閉鎖が強くなりますので、過度に力が入ったり、閉鎖が強い時の特徴ですが、音のなりに耳が向かいやすくなりますので、伸展筋の動きが悪くなることがあります。そうなってしまうと、しっかりとしたなりのある音以外は出せなくなったりもします。つまり色の変化や強弱の変化に乏しくなってしまうということです。とても有効な練習ですが、閉鎖の強くない伸展筋の練習も混ぜることが大切です。
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