声の分類は通常の声の高さだけではなく、
重さでの分類もよく使われます。
分類することの良い面、悪い面それぞれありますが、
知識として知っておくことは有効なことが多いので、
ここで分類してみます。
声の種類に、通常のソプラノ、アルト、テノール、バスなどの音の高さの他に、
レッジェーロ(leggiero)、リリコ(lirico)、スピント(spinto)、ドラマティコ(dramatico)等の名称も使われます。
これは音の重さを表す用語で、レッジェーロが一番軽く、だんだん重くなり、ドラマティコが一番重い声を表します。
例えばソプラノでは「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナはレッジェーロ、
「ラ・ボエーム」のミミはリリコ、「蝶々夫人」の蝶々夫人はスピント、
「トゥーランドット」のトゥーランドットはドラマティコといった感じで分類していきます。
このような声質の違いは、言葉で理解することはできても、
実際に自分の声でどう現れるかを判断するのは難しい部分です。
声の重さの違いは、発声や身体の使い方によって変化して感じられることも多く、
独学では判断が難しいケースが少なくありません。
レッスンでは実際の声を確認しながら、
それぞれの声の特性を整理していきます。

分類には常に長所と短所があります。自分の声に合った曲を探すのには便利ですが、決めてしまうことにより可能性を狭くしてしまうことにもなります。

ではこれらの声の違いはどのような声帯の状態の違いから出てくるのかの説明をしていきます。
まず一人でいろいろな役柄を演じ分けるためには声の重さを少し変える必要があります。
声帯はきちんと閉じられた状態で、
適度の張力で伸展させられていることが発声においては必要な要素であることは今まで何度も書いていますが、
それともう一つ触れ合っている声帯の面積も声の状態を変化させるのに重要な役割を持っています。
この面積が広いと胸声、小さいと頭声になり、通常は音程に合わせてこの面積も変化させています。
このバランスが大きく変化するところがチェンジになります。
高い声を出すときは極力薄い声帯を作ると出しやすくなりますが、
これだと軽い声、レッジェーロにしかなりません。
それで、ほんの少し厚くした声帯のまましっかりとした張力を加えて高い音を出せるようにすると
リリコの声になっていきます。
同じ要領でさらに厚くするとスピント、しっかり厚くしたまま高い音まで歌えるとドラマティコとなります。
無理なく声を出すにはレッジェーロがふさわしく、
ドラマティコな声を出すためには結構声帯に無理をさせることになります。

練習によって徐々にレッジェーロからドラマティコに変化していきますので、
最初からドラマティコを狙うのはあまりおすすめできません。
さらに、ドラマティコな声に向かって練習しているときに、
レッジェーロな声が出なくなったら、一度中止して、
レッジェーロの練習をした方が良いと思います。
ということですので、個人の中では多少の重さの差は出せても大きな変化は出せませんので、
声そのものだけではなく、
歌い方や演技など含めてドラマティコのように感じられる演奏を目指していくことになります。

声帯は一人一人違いがあります。
長さや筋肉の厚みなども個人差があります。
そのため通常より長く厚みのある声帯であれば、ドラマティコの可能性があり、
逆に短く薄い声帯の場合はレッジェーロもしくは女性の場合はコロラトゥーラの可能性が高くなっていきます。
ですので、練習によってレッジェーロからドラマティコに変化すると先ほど書きましたが、
元々の声帯の違いが大きく影響しますので、誰もがどんな声も出せると言うことではありません。

コロラトゥーラも声の分類に1つですが、元々はアジリタやメリスマといわれる速いパッセージを歌う技巧的な声を指す言葉です。ただ現代ではとても高い声を出すソプラノを指す言葉になっています。レジェーロよりもさらに軽い声と言うことになるでしょうが、ソプラノ以外では使われません。

声種の分類は長所も短所もあります。
自分の声が軽い声だと思うときにはレッジェーロの役の歌を練習すると良いし、
少し重さが出てきたらリリコの役柄に挑戦するなど、
無理せずレパートリーを増やすのに役立ちますが、
レッジェーロと決められてしまったら、重い声のアリアは全く練習できなくなってしまいます。
重い声の役であっても音域が問題なければ軽い声で歌う練習をするのは何の問題も無いと思いますが、
おそらくその役柄はスピントだからあなたは歌ってはいけないなどといわれてしまうこともあると思います。
しかしこれは可能性を狭くしてしまうことにもつながっていきます。
個人的な意見ですが、音域に問題がなければ、無理して重い声にせず、
自分の声で歌ってみても良いのではないかと思います。
声のタイプは一度決めて終わりではなく、
発声や使い方によって変化していくものでもあります。
自分の声がどの方向にあるのか、どのように伸ばしていくべきかは、
実際に確認しながら進めることがとても重要です。
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