発声で正しいとされていることを、すべて考えながら、または確認しながら発声すると、結構大変なことになってしまいます。それこそ音楽の事なんて考えるゆとりは無くなり、頭の中がとても忙しくなってしまいます。
間違った情報も多く含まれますが、一般的に良いとされるものを並べてみましょう。
もう一度書きますが、間違ったものが多いですので、真似しないでください。
お腹に向かって充分に息を吸い、あくびの喉を用意します。軟口蓋も持ち上げてから、音を出していきます。その時お腹をへこまさないようにして、あくびの喉と軟口蓋を高くすることもキープします。微笑むように頬骨をあげ、鼻の付け根に響きを集めます。その時に喉仏が下げられるように注意します。響きは前に感じ明るくします。
もっと色々あるでしょうが、こんなことを考えながら歌うことは不可能です。
これをシンプルにします。
音楽の雰囲気をイメージします。そのまま深く適度に息を吸いながら、声帯を伸ばし準備はおしまいです。後は音楽の動きを感じながら歌っていくだけです。
このくらいならできそうだと思いますが、横隔膜の動きや、あたりの場所など考えなくても良いのかと心配になるかもしれません。
息を深く吸い喉を開いていくと、誰でも無条件に横隔膜が広がっていきます。横隔膜が広がると、音楽の緊張の移り変わりを感じるだけで、それに必要な横隔膜の収縮が起こってきます。さらに喉の開くことにより横隔膜は広がり続けようとするし、横隔膜が広がり続けようとすることにより喉も開き続けようとします。繋がっているので、その後は考える必要も意識的にコントロール必要もありません。
さらに喉が開いていると、自然に響きは鼻の方に持ち上がっていきます。音楽の要請で横隔膜の収縮がほどよく起こると、声門はそれに合わせて閉じられ、響きは前に感じられます。
すべて必要なことは繋がっています。一つがうまくいくとすべてうまくいくようにできています。この自然さが歌の世界ですので、あれこれ考えるよりも、どうシンプルに捉えるかが発声のコツかもしれません。
発声練習はこの連動がうまくいかないときに、必要になります。また逆につながりが見えたらもうその練習は必要ありません。考えなくてはいけないことを増やしていくよりも、考えなくても良いように練習が進むと良いですね。
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