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音取りの時に同時にやるべき2つのこと~音取り12

音取りと音読

 音取りは本を読むのに近い作業だと思います。学校の授業で教科書を交代で音読した経験は皆さんあると思いますが、音読しながら内容が全く分からないときと、一度音読しただけで内容がよく分かるときがあったのではないかと思います。正しくリズムと音程を取ったとしても、どういう音楽なのか分かるときと、なかなか分からないときがあります。

 音取りでは正しいリズムと音程のみに注目しがちですが、それだけだと正しく音読できたのに内容が分からない読み方と同じようになってしまいます。音楽が分かるように音取りをすることが大切なのです。

基礎力を付ける

 そのためには基礎力はどうしても必要です。本読みで例えると漢字をたくさん知っていることなど、語彙力をつけることは絶対の条件になります。同じように瞬時に正しくリズムや音程を再現できることは必要な力になります。これらについては他で書いていますので、ここではそれらがある程度出来る人に、音楽が分かる音取りのためのヒントを書いていきます。

テンポとブレス

 音取りと同時に2つのこと、テンポとブレスの位置を考えていって下さい。音楽にふさわしいテンポが見つかると急激に音楽は生き生きとしてきます。自分なりの感覚で良いですので、しっくりくるテンポを探してみて下さい。簡単なこともあるし、とても難しいこともあります。この癖が付いてくると、冒頭のテンポ表示に関心がわいてきます。AllegroやAndanteやLargo等の記号ですが、単に数字的な速度の差だけではなく、表情の差も見えてくると思います。テンポを見つけていく作業は音楽がだんだんと自分に近づいてくる作業なので、楽しくやっていけるのではないかと思います。

 ブレスは本読みで例えると、句読点をはっきりさせることになります。句読点だけではなく、言葉が分かるようにさらに細かい切れ目を感じて読めることが理解につながっていきます。音取りでもブレスの位置がはっきりすると言うことは音楽がどういった単位で動いているのかを明確にしていきます。ブレスのわかりにくい部分は音楽が分かりにくい部分であることが多いのですが、そこでブレスを考えていくと、音楽の切れ目が分かって、理解につながっていきます。いくつかの可能性が出てくることもありますが、その場合でもとりあえず、ここだろうという位置を考えていきます。難しい場合もどこが考えられるかといった可能性をいくつか考えて、そのどこかでとりあえずブレスを決めて練習していきます。そのうちに一番ふさわしい部分が分かっていきます。ブレスの考え方はまたいつか書こうと思いますが、この考える作業が音楽の理解につながっていきます。

 合唱などすぐに指導者に見てもらうときの音取りでは、そのときにテンポもブレスも変更させられるかもしれないので、自分でそれらを作ろうとしないこともあるかと思いますが、自分でこれらを作っていくと音取りは格段に速くなっていきますし、新しい曲を始める楽しみが増えていきます。もちろん指導者からは自分の思ったものと違う指示が出ることもありますが、このことを通して、指導者はこの音楽をどう考えたのかを知ることにもなっていきます。

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