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間違った声の診断 2

良い声の条件

 声の診断に有効な方法として、前回以下の4つを書きました。
1.心地よい声である
2.広い音域が出せ、なめらかにつなぐことが出来る
3.音をある程度長く伸ばすことが出来、それが楽である
4.ある程度の大きさの声を出せ、強弱を自在に変化できる
 すべてがある時に完璧に出来るわけではありません。時々これらの要素を冷静に考えて、前回の練習の時と比べてどうかという審査をしてみるのも良いかと思います。前回と同じくらい出来ていればそれだけでも十分だとも思ってください。良い状態で発声し続けていると、歌っていくだけで、どんどん発声は進歩していくものです。

思い込みが邪魔をする

 声の成長を邪魔する要因の一つとして、思い込みによる声の診断というのが考えられます。良くある例では、とにかく高い声が出た方が良い、大きな声がでなければいけない、もしくは重い声が良い、逆に細い繊細な声でなくてはいけない、ヴィブラートが付かなければいけない、逆にヴィブラートが付いてはいけない等々色々な思い込み、もしくは好みがあるようです。

声作りは目標の音色に近づけるのではなく、自然な発声をしたら出来てしまうものです。表現のための音色作りと元々の声質を作ることとは別のものだと考えてください。

 発声には声を作る色々な可能性がありますが、その人の本来の声以外の目標を持つと成功しません。極端な例ですが、元々非常に高いテノールの声を持っているのに、バスバリトンのような声が男っぽく魅力的だと思ったとしても、そうはいきません。せいぜい中途半端なバリトンに落ち着くのがやっとです。

バランスを欠いた練習

 絶対に高い音を出したい、と思う方は結構多いですが、高いポジションに喉が固定されてしまい、低い音が出なくなるのはやや危険な方向の練習になります。この場合お団子声といわれる声になりやすく、短く鋭い声帯を作ってしまうために、詰まったような、音量の変化の出来ない、延びのない音になっていきます。高い声がでるのは良いことですが、バランスを欠いた声作りの一例です。

 もう一つの例です。薄くて軽い音への指向性が強い場合、せっかくレッスンで喉が開いてきて、音域も広がってきたのに、次のレッスンの時にはまた、か弱い細い音に戻っているというケースもよくあります。ちょうど大学1年生と4年生の音質の差のような感じです。この声の特徴は音の安定感はありますが、強弱や音色の変化がほとんど付かず、表現力が乏しくなります。繊細な声はもちろん良い声ですが、楽器を小さくして繊細なものを作るのではなく、しっかり開いた喉で、薄く声帯をふれあわせることで繊細な音を作っていけた方が、表現の可能性が広がります。繊細な声は子供に戻るような声作りではないと思います。

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