コロナ騒ぎの中で、皆さんとても苦労をされていることだと思います。音楽家も同じく、すべてのコンサートなどの予定はキャンセルされ、レッスンもなかなか出来ず、とにかく早く薬が出来るのを待つしか無い状況です。他の仕事を持っているアマチュアの音楽家の方も、全く同じように活動が出来ていません。ソロの練習は可能ですが、アンサンブルは出来ない、特に歌は安心して練習できるまでにはもっと時間がかかるのでしょう。合唱団等に所属していて、歌いたいと思っているのに、なかなかかなわない方も多いのではないかと思います。
私の歌のレッスンも一時期ほぼ出来なくなり、その後オンラインレッスンを始めました。今は少しずつ対面レッスンを再開しているところです。レッスン対策を考えていらっしゃる先生方に向けて、私のやっている対策をまとめておきます。ほかに良い対策などありましたら、教えていただけると助かります。
- レッスンの前後にはアルコール消毒をしてもらう。
- レッスン室の中央に突っ張り棒を付けてビニールのカーテンを掛ける。
- こまめに換気をする。
- レッスン中私とピアニストはマスクをしたままにする。(生徒さんはさすがに歌えないので、カーテンも向こうに立ってもらい。マスクなしです)
- その他、鍵盤や譜面台等の除菌をする。
完全な対策は難しいですが、出来ることをやりながら、音楽も続けていくことを考えています。
オンラインレッスンについても少し書いておきます。「とても便利」とはいえませんが、それでもレッスンを続けられたのは良かったと思います。しかし、オンラインレッスンするにはいろいろな条件が必要になります。いくつか書き出してみます。
- 両方の家に質の良いネット環境が必要です。私の家は通常のマンションで、決して広くないのですが、レッスン室を防音工事しているため、リビングに置いてある無線LANでは少し電波が弱くなってしまいます。いつもはレッスン室に中継器を置いて、それだけで問題なかったのですが、今回は10mのLANケーブルを買って、無線LAN本体をレッスン室に置き、中継器をリビングに置きました。生徒さんの家でネット環境が整っていないところはレッスン中断のままです。通常の携帯の通信でも出来ますが、容量がどのくらい消費されてしまうのか分からなかったので、やっていません。
- スマホ、タブレット、パソコン等の機器が必要です。ガラケーしか持っていらっしゃらない生徒さんはレッスンできませんでした。
- 生徒さんの家で、ある程度声を出しても大丈夫な部屋と時間の確保も必要です。
- Zoom、Lineのビデオ通話、FaceTime等、使ってみましたが、Zoomが一番良かったように思います。Skypeもありますが、昔語学の勉強のために使っていたのですが、よく途切れていたので、今回は使いませんでした。もしかすると、以前より質が良くなっているかもしれません。
- 実際に使ってみて、思ったほど途切れたりせず、便利だったのですが、いくつか問題点がありました。一つはタイムラグ、遅れて音が届くことです。実際に検証してみたところ、1秒弱の遅れがありました。そのためこちらで伴奏を弾きながら、それに合わせて歌ってもらうということが不可能になります。1フレーズずつ弾いて、歌ってもらう。また次の音をあげて、歌ってもらうといったレッスンになります。
- もう一つの問題点は長い音が途切れてしまうことです。ピアノの音だと1秒を超える長い音はほぼ消えてしまいます。声の場合はもう少し残りますが、急に小さくなったりします。理由は良くは分かりませんが、もしかすると、通信の効率を上げるために、長い音が同じように続く場合、雑音だと判断して、カットするような機能がついているのかもしれません。歌の場合は長く同じように伸ばしているつもりでも、微妙に音程や強弱が変わるでしょうから、少し残るのかもしれません。これはそういうもんだと思って、割り切るしかありませんでした。
- 音程ははっきり分かります。音質もある程度分かります。強弱はほぼ分かりません。これも大きい音は小さく、小さい音は大きくと、ソフトが調整しているのだと思います。
とにかくやれることとやれないことがありますので、そういうものだと思って、やれることをやるといったレッスンの仕方が必要になります。タイムラグが一番大変でした。伴奏の必要の無いレッスンでしたら、演奏してもらい、気になるところを指摘するといった通常に近いレッスンが出来ますが、伴奏と同時に歌ってもらうことが出来ません。そこで、ピアノ伴奏のカラオケを作りました。生徒さんを想定してのテンポやブレスを考えて、いつも弾いてもらっているピアニストに伴奏の動画を作ってもらい、それに合わせて歌ってもらうようにしました。1曲通して歌うことが出来ますので、これは便利でした。ピアニストも同じように仕事が出来なくて困っている方も多いですので、このような仕事の発注も芸術を絶やさないことに大きく貢献できると思います。
伴奏者に楽譜を送るのは、携帯で写真を撮り送れば良いので、難しくはないのですが、動画ファイルのやりとりは工夫が必要です。メールに添付するには大きすぎますので、大きなサイズを保存できるクラウド等を使って、ファイルの共有をするなどの工夫が必要でした。私の場合はピアニストと共有できる新しいGmailを一つ作って、そのGoogle Driveにスマホで撮影した動画を保存していただき、そのファイルのアドレスを生徒さんに伝えるようにしました。ワクチンが早くできれば何の問題も無いのですが、遅くなると次の冬にまた大きな感染拡大があるかもしれません。音楽で生計を立てている方も、そうではなくても音楽を愛して誠実に音楽に向かっている方々も、続けていくことが一番大きな仕事ではないかと思います。そうすることによって次の世代にも音楽は伝わり、絶対に素晴らしい作品や演奏を生み出してくれます。もう少し早くこの記事を発信すれば良かったと思いますが、レッスンが長くストップしている方の参考になればと思います。何かご質問があればご遠慮なくどうぞ。
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