発声のための呼吸筋のトレーニングは必要なのかを考えてみます。
普通に話をするのと歌うことが同じものであれば特別なトレーニングは必要ありませんが、
歌う時はより強弱の幅が必要になります。
とりわけしっかりとしたフォルテを考えると、
しゃべることと歌うことには隔たりがあります。さらに、
音域はもっと違います。
歌う時には2オクターブ以上の音域が必要になりますので、
これも歌と会話では違います。
そしてこの強弱の差を歌うことと広い音域を歌うことに呼吸筋が関与しているとすれば、
呼吸筋のトレーニングは必要だと言うことになります。
このホームページでも色々と書いていますが、
呼吸筋はこれらに大きく関与しています。
結果、呼吸筋のトレーニングは必要だと言うことになります。

ここでもう一つ考えてみます。
呼吸筋のトレーニングはどのくらい必要なのか?
もしくは腹筋運動のように歌の練習以外に特別なトレーニングが必要なのかどうか?
肺活量の記事で歌えるフレーズの長さと肺活量にはあまり関係がないことを書きました。
肺活量は男女差がかなりありますので、
肺活量とフレーズの長さに関係があるとすれば、
圧倒的に女性は不利になり、
作曲家は女性の歌は男性に比べてやや短いフレーズを書くように心がける必要がありますが、
このような差は全くありません。
ある程度の肺活量は必要なのでしょうが、
それ以上に増やすことがは大切ではないことが分かります。
同じように考えると、
横隔膜をはじめとした呼吸筋も男性の方が女性よりも強いはずですので、
男性は強弱の幅を付けることも音域を広げることも女性よりも簡単と言うことになりますが、
このようなことは全くありません。
結論、呼吸筋はトレーニングされなければならないが、
とても強い呼吸筋を手に入れなければしっかり歌うことが出来ないというわけではありません。

学生の合唱部で、練習時間になると腹筋運動から始めるといった経験のある方も多いと聞きますが、
全く意味がないというわけではありませんが、
それほど有効な練習ではありません。
さらに腹筋運動が苦手な人は他の人と同じ回数や負荷をかけた腹筋運動をしようとすると、
足りない腹筋を補うのに色々な他の筋肉を使って練習メニューをクリアしていくことになりますが、
首や肩の周りの筋肉を硬直させてしまい、
腹筋運動をしなければもっと良く歌えるのに、
運動をすることにより、歌いにくくなることもあります。
歌の練習のために腹筋運動を頑張ったのに、
効果が無いばかりか逆効果になった経験のある方も多いのではないかと思います。

たまにほとんど声楽に関しては初心者にもかかわらず、
とてもしっかりとした呼吸筋を持った方もいらっしゃいます。
こうなると声楽の練習はどんどん進みそうなのですが、そう簡単にはいきません。
高い音に向かって音域を広げる練習をする時に、
少し閉鎖を弱くして、声帯の伸展筋をより活性化させる練習をしようとしても、
閉鎖が弱くならず、伸展筋が十分に働かず、なかなか音域が広がらなかったりもします。
筋肉の強さよりも微細なコントロールが出来ることが大切なのです。
ちなみに呼吸筋が強い人には水泳をやっていた人が多く、
腹筋運動よりも水泳が呼吸筋には良いようです。
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