久米音楽工房|声楽、ピアノhttps://liederabend.net/wp声楽、発声(久米聖一)、ピアノ(武田正子)のレッスン 神奈川県川崎市Sun, 12 Apr 2026 07:14:41 +0000jahourly1https://liederabend.net/wp/wp-content/uploads/2026/04/cropped-cropped-kumeongaku-1-32x32.png久米音楽工房|声楽、ピアノhttps://liederabend.net/wp3232 音取りの苦手な方へ~レッスンで感じることhttps://liederabend.net/wp/%e9%9f%b3%e5%8f%96%e3%82%8a%e3%81%ae%e8%8b%a6%e6%89%8b%e3%81%aa%e6%96%b9%e3%81%b8%ef%bd%9e%e3%83%ac%e3%83%83%e3%82%b9%e3%83%b3%e3%81%a7%e6%84%9f%e3%81%98%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8/Fri, 10 Apr 2026 12:16:55 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12405

新しい曲の音取りに関しては早くできる人と、とても時間がかかる人に分かれます。これは仕方のないことで能力というわけでは無く、これまでの環境が大きく影響します。高校の時の同級生の話ですが、小学生の頃毎朝聴音の時間があって、全 ... ]]>

音取りの早い人と遅い人

新しい曲の音取りに関しては早くできる人と、とても時間がかかる人に分かれます。これは仕方のないことで能力というわけでは無く、これまでの環境が大きく影響します。高校の時の同級生の話ですが、小学生の頃毎朝聴音の時間があって、全校生徒が取り組んでいたそうです。おそらくこの学校の卒業生はほとんど全員音取りが早いのではないかと思われます。それとは逆に音楽の時間でさえ楽譜を見ることは少なく、ほとんど耳で覚えてそれを頼りに歌ったり、演奏したりしていると、音取りはとても大変なことになります。さらに頭が良いかどうかも関係ありません。とても優秀な人で音取りにとても苦労される方も時々います。とにかくこれまでの環境ですので、ラッキーにも音取りが早い人はそれ以外のことに注目していけば良いし、苦手な人は1つずつクリアしていけば良いです。

音取りとは

音取りはまだ歌えない曲を歌えるようにすることだというのは明確ですが、もう少し考えてみます。当然のことですが音程とリズムを正確に再現できれば音取りは完成です。しかしそうでも無いというところから。

楽譜を読むということは本を読むことととても近いように思います。本を読むときに正確に文字を読めればそれで良いようにも思えますが、全く意味が頭に入ってこないこともあります。それでもう一度少し前から読み直してみる。そうすると文章の切れ目や言葉そのものの勘違いが修正できたり、複雑な構成が理解できたりして分かる文章に変わっていきます。ここで初めてその本が読めたことになる。これが音取りだと思います。

そして文章の意味が分かった後ももっとしっかり読んでいくと文章の奥に隠されていたものが見つかることもあります。行間を読むと言ったりもしますが、書かれていないものまで読むことになります。後半の内容は音楽解釈につながっていきますので、ここでは触れません。前半の文章が理解できるまでが音取りだと思います。リズムと音程だけ分かっても文章の意味のようなことが分からなければ音取りは終了しません。

では音楽で文章の意味が分かるような状態は何なのかということになります。音楽の場合理解できたかどうかの判断は難しいです。理解できたかどうかの判断の一つは記憶に残るかどうかだと思います。記憶に残る音楽になっていれば再現することが簡単になりますし、正しく記憶に残っていれば間違えたときにすぐ気付きます。

記憶に残る音取りのために

ややこしく書きましたが、音取りは記憶に残る音楽になれば良いと言うことなどみんな知っていることです。ただ、音取りの基本はリズムと音程を読むことにあるのは変わりません。音取りの苦手な人も白い音符は長い音だし旗が増えてくると短い音符になる位のことは知っているでしょうし、音の高さも上に行くほど高い、さらには時間はかかってもすべての音をドレミで読むことも出来ることも多いかと思います。しかし、音符から正確なリズムを読むことが難しかったり、時間がかかってしまったり、またドレミが分かったところで音の高さとは直結しないので、楽譜から音楽を読むことよりももっと手軽な方法に頼りがちになります。そこで音取りの苦手な人はほとんどの人が経験があると思いますが、録音に頼ることになります。そこではもう既に分かる音楽になった演奏が収められているので、聞いて覚える方が手っ取り早いからです。

音取りが上手くいかないときの問題点

最終的に上手く歌えれば良いので、音取りが上手くいかなくても不便ではあってもそれほど大きな問題は無いようにも思えますが、そうでもありません。

  • 新しい曲の練習に時間がかかってしまう。
  • 間違ったリズムや音程の修正が難しい。
  • たくさんの曲の勉強が出来ない。
  • 自信を持って歌えなくなる

音取りは音程とリズム

当然のことですが音取りは音程とリズムを把握する作業です。ただしそれによってメロディーの性格がつかめないと定着しない(記憶に残らない)ので、それも含めて音取りになります。楽譜を読むことは本を読むことと似ていて、文字を正確に読む作業が大切なのですが、言葉の句切りやイントネーションが把握できて初めて文章が理解できるようになります。音取りもそこを目指していきます。しかしながらとりあえず音程とリズムの2つです。そして苦手な人ほどリズムと音程を別の作業として練習した方が良いのですが、どうしても同時に行おうとします。しかし音取りが苦手な間はリズムと音程を極力分けて練習することもおすすめします。

メロディーの性格をつかむ

ある程度曲が記憶に残ることが音取りなのですが、ある程度というのが問題で、間違ったリズムや音程があってもある程度曲を把握することは出来ます。そしてこのある程度が出来ると音取りが出来たような気になってしまうものです。この繰り返しの中で正確な演奏はどこかに行ってしまい、長々と音楽に触れているにもかかわらず、音取りが難しくなってしまいます。そのため曲を把握するといった最終目標を一旦忘れることにします。そして、リズムだけ正確に取ることに専念します。

楽譜をよく見る

音取りが苦手な人はとりあえず目の前の楽譜を音にすることで大変だと思います。しかし、少し遠回りすることで格段に楽譜が読めるようになる方法があります。古典派の作曲家のピアノの楽譜(歌の楽譜だと歌詞を見てしまいますのでピアノが良いです)を用意します。例えばモーツアルトのピアノソナタアルバム等。そしてYouTubeやCDで楽譜を見ながらひたすら曲を聴いていきます。最初は途中でどこを弾いているのか分からなくなったりするかもしれませんが、慣れてくると最後までたどっていくことが出来るようになります。ソナタアルバムの曲を数曲最後まで楽譜を追っていけるようになったら、楽譜を読む力は格段に進歩しています。ぜひ試してみてください。

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拍子が必要な理由https://liederabend.net/wp/%e6%8b%8d%e5%ad%90%e3%81%8c%e5%bf%85%e8%a6%81%e3%81%aa%e7%90%86%e7%94%b1/Fri, 10 Apr 2026 06:21:32 +0000https://liederabend.net/wp/?p=13033

自然の音と音楽とでは大きな違いがあります。音楽の方が美しく、感動的だということもあるでしょうが、自然の音でとても美しいものもあります。1人公園のベンチに座って聞く葉擦れの音や、川のせせらぎの音などとても美しいと感じること ... ]]>

自然の音と音楽

自然の音と音楽とでは大きな違いがあります。音楽の方が美しく、感動的だということもあるでしょうが、自然の音でとても美しいものもあります。1人公園のベンチに座って聞く葉擦れの音や、川のせせらぎの音などとても美しいと感じることも多いかと思います。しかし自然の音には拍子と調性がありません。これが決定的に自然の音が音楽にならない理由だと思います。逆に拍子と調性が必要なければ自然の音も十分に音楽です。

各小節のはじめにアクセント

ここでは拍子について考えてみます。拍子が成立するためには各小節の1拍目、つまり小節線のあとに必ずアクセントが必要になります。これが規則的に繰り返されることにより、聴いている人は次のアクセントがいつなのかが予測できます。アクセントが予測できるということは安心感につながります。そしてこの安心感は心地よさにつながっていきます。音楽は楽しいものだけではなく、悲しいものや苦しいものも表現しますが、それでも拍子が繰り返されることにより、心地よさが感じられます。悲しい音楽で心地良いとは何だろうと思われるかもしれませんが、音楽でも演劇でも小説でも悲しいものを疑似体験していくことはとても心地良いことになります。どのような内容であっても優れた演奏は心地良いものですので、心地良いように拍子のアクセントを体験していってください。

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作曲家と演奏者2~「からたちの花」https://liederabend.net/wp/%e4%bd%9c%e6%9b%b2%e5%ae%b6%e3%81%a8%e6%bc%94%e5%a5%8f%e8%80%852%ef%bd%9e%e3%80%8c%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e8%8a%b1%e3%80%8d/Tue, 31 Mar 2026 11:26:13 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12977

「からたちの花」は6番まである変奏有節歌曲の形をしています。通常の有節歌曲はすべて同じメロディーになりますので、1番のメロディーを覚えればあとは歌詞だけ見て歌っていけますが、それぞれで結構変奏されていますので、有節であり ... ]]>

「からたちの花」の構造

「からたちの花」は6番まである変奏有節歌曲の形をしています。通常の有節歌曲はすべて同じメロディーになりますので、1番のメロディーを覚えればあとは歌詞だけ見て歌っていけますが、それぞれで結構変奏されていますので、有節でありながら複雑な形をしています。

また歌曲に特有の伴奏の形がありません。例えば和音を四分音符とか八分音符で刻んだり、分散和音を弾いていたりなどがなく、語りに近い形になっています。

まとめると、わかりやすそうな顔をしているのに、次にどう進むのか予想が難しい曲になっています。

詩について

からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。

からたちのとげはいたいよ。
青い青い針のとげだよ。

からたちは畑の垣根よ。
いつもいつもとほる道だよ。

からたちも秋はみのるよ。
まろいまろい金のたまだよ。

からたちのそばで泣いたよ。
みんなみんなやさしかつたよ。

からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。

各節が2行の短い詩で、すべて「からたち」から始まります。何も書いていないのにこれは大人になった彼が(詩は北原白秋ですので彼とします)子供の頃を思い出して書いていると想像できます。

1.冒頭の「からたちの花が咲いたよ」はからたちの花を見つけた子供がお母さんに知らせるような口調です。からたちの花は確かに白いですが、からたちの白い花が咲いたという情報だけでは詩にはなりません。大人である主人公が一瞬のうちに子供になり、家族と会話を始めるから詩になるのだと思います。

2.実際にからたちを見たら「とげ」の鋭さがとても印象に残ると思います。おそらくうっかり触れてしまって怪我をした記憶があるのでしょう。人を寄せ付けないような危なさもあります。

3.しかし、彼にとってからたちの垣根は避けるべきところではなく、身近ないつもそばにある存在だったようです。

4.人にとって「生と死」の問題は常につきまとっています。子供にとっても同じで、何かにつけてこのことを考えます。この詩では「死」については書かれていませんが、「生」の象徴である黄色い大きな実が描かれています。

5.子供はすぐ泣きます。とても不幸なことがあったというのではなく、ほんの少し友だちとけんかしたり、先生に怒られたり、転んで怪我したり、とにかくすぐに泣きますので、ここでは彼にとって不幸なことがあったというわけではありません。それよりも泣いてしまうようなことがあったときに、例えばお母さんが抱きしめてくれたり等が重要なのだと思います。そしてこの抱きしめてくれるような記憶のそばにいつも「からたち」があったのだと思います。

各節の始まりの比較

1番。Andante(歩くような速さで)とあります。これは「歩く(andare)」からきていますが、人の歩く速さなんで色々だしわかりにくいところもあります。言葉そのものよりもどのように音楽では使われているかが大事になります。基本的にはやや遅いテンポです。ただ立ち止まるようなものでは無く、少し進んでいくような速さになります。一番心地良いテンポです。tranquillamennteもppもsempre sotto voceも「静かに」ということです。ピアノのパートにあるdelicatissimoはとてもデリケート(繊細)にですので、とにかく小さく歌うということが目立ちます。

音もシンプルで最初のDの音を除くとHの音を中心として上下3度で揺れているだけです。リズムもほぼ八分音符で進んでいきます。和声もシンプルで、最初に主和音「はな」のところで属七「さ」のところで五度五度といわれる属和音の五度の和音が一瞬使われ、「いた」で属七、最後の「よ」で主和音に戻るといったとてもシンプルの和声で出来ています。

さてこのような情報をもとに演奏を考えていきます。とにかく「静かに」が目立っていますが、山田耕筰の真意を考えていきます。この部分は最初の瞬間から子供の頃に感覚が切り替わる必要があります。昔を思い出すときに、今耳に入ってくる現実の音はすべて消えてしまうのではないでしょうか。となると散々書いてある静かには声がとても小さいというわけでは無く、静かな空間が出来れば良いのでは無いかと思います。この冒頭を聞こえるかどうか位の小さな声で歌い出す人はいないと思いますが、これは作曲家を無視しているのでは無く、現実の音を感じさせない静かな空間を感じさせられれば十分に作曲家の意図をくみ取った音になると思います。

ちなみに単音のピアノの四分音符から始まることが多いですが、時間を遡る幕がそのたびに開いていくような音だと思います。とても小さく弾く必要は無いし、必要があれば少し長くても良いと思います。

2番。最初とほぼ同じです。「いたい」のところで音型が変わりますが、言葉のイントネーションと合っています。最初はpp「いたい」のところはpになっています。ほんの少し強くなるとも考えられるし、しかしその前にクレッシェンドがあるので、「いたい」の時に小さくするということも考えられます。迷うところかもしれませんが、「いたい」を強めに歌ってほしいのであればpは書きません。当然小さく歌ってほしいということです。つまり痛かったという思い出よりもそれも含めてやさしい思い出なのだと想像できます。

ここでもピアノの四分音符単音のDから始まりますが、さらに思い出の幕が開き思い出は深くなっていきます。

3番。ピアノの始まりが単音の四分音符から長2度でぶつかる2分音符に変わりました。この音の強さを書いていないので少し前から楽譜を載せています。この長2度は属七の根音と第7音です。少し緊張が増しppがpに変わりました。さらにメロディーもDからHだったのがDの1オクターブに上がり、in fretta un poco(少し急いで)明らかに色々な要素が生き生きとした音楽の方に変化を示しています。

実際の演奏ではfrettaのある1小節だけ速くしてすぐに戻すととても不自然な感じにもなります。生き生きとした感じが重要なのであって、テンポがどうなるかはそれほど重要では無いのかもしれません。

4番。一番不可解なところかもしれません。初めてのmfでのスタートです。f系に変わるということはとても大きな変化です。ただし、音符はDから今までで一番低いAまでしか上がりません。今までよりも強い節にしたければより高い音の方が絶対に効果的です。和声にも注目します。今まではメロディーの最初の小節はずっと主和音だったのが、今回は変わります。さらに属七だと考えられますが、一番大切なFisの音がかけています。「あき」の歌詞の部分でやっとFisが出てきて属七決定になります。属七は主和音に向かうエネルギーの強い和音ですが、その中でGdurでは導音であるFisが主音のGにいくことが一番大事なのですが、これが最初は欠けてしまっているということです。

さてでは演奏です。今までpかppでしたので、通常であれば明らかに今までとは違った声の大きさが必要になるはずです。これを書くにあたって、YouTubeでいくつかの演奏を聴いてみたのですが、この節を明らかに大きく歌っている演奏は一つもありませんでした。それどころか第3節に比べると少し小さく歌っている方が多かったように思います。ということは作曲家がミスをしてということになりますが、作曲家はこういうミスはしません。3番よりも低い音になるので、大きくなる方に間違えて強弱記号を付けるようなミスは有り得ません。もう一つ考えられることとして、次の5番がとても小さな音で歌うように指示されています。そうするとそれとの対比で一旦大きく歌った方が良いかもしれないということも考えられますが、これも面白くない。次のpppは静かに聞こえるかもしれませんが、今の瞬間の音楽が死んでしまいます。

人が思い出をたどろうとするのはどんなときでしょうか?色々考えられますが、忙しくしているときでも、とても楽しく生活しているときでも無いでしょう。何かしら立ち止まる理由のあるときだと思います。悲しいことや苦しいことがあったのかもしれない。疲れてしまったのかもしれない。どうしようも無い壁にぶつかったのかもしれない。とにかく何かのきっかけが必要になります。そしてこの4番ではいのちの誕生が歌われます。いのちの誕生は子供であっても、大人であってもとても神秘に満ちてさらに希望に満ちていることだと思います。生きる希望と共に壮大な神秘のドラマを感じているのだとしたら、mfになる理由が分かります。しかし、本当に音量を大きくする必要はありません。

5番。一番繊細になる部分です。今までに無かったpppが使われています。さらにsotto voceも加えられています。最高音のGもpppで演奏しなければならず、とても難しくなっています。この節のpppは誰もが納得するところだと思います。ただし先ほども書きましたが、何か悲しいことやつらいことがあったということではなく、涙するようなときにそばにいてくれた人がいたことと、その時近くに「からたち」があったことがポイントとなります。もしかすると今の彼もそのような人がいたらと思う場面なのかもしれません。

演奏としてはこの繊細なGの音がとても難しくなります。Gくらいであれば色々な音量で、色々な音色で歌いたいところではありますが、とても難しい事です。バリトンやメゾの人は好きな長に下げて歌えば良いのですが、ソプラノやテノールは原調のままでなければならないと思うかもしれません。しかし、無理をして苦しいGを出すよりもFdurに変えて音色を作れるようにすることがあっても良いのでは無いかと思います。

2拍子の部分「ないた」の音程が不安定になることも多いようです。不安であればドレミで歌ってみることをおすすめします。そしてもし可能であれば移動ドで、5番の最初からだと「ソレレドレラソレドレファドソ」となりますが、キレイに音が取れない人は試してみてください。ここまで音楽が深くなるとさらに次につながるものはなくなります。あとは最初に戻って終わりを迎えます。

6番。最初と同じ詩で、同じメロディーですので、曲の終わりを予感させます。ただし、今までピアノの四分音符、もしくは二分音符でそれぞれのシーンの幕開けのような音があったのですが、最後は分散和音が演奏されるだけです。つまりやさしい思い出の世界はもう完成して、新しい世界への幕開けは必要なくなったということだと思われます。

白い白いのアーティキュレーション

最後に付け足しを一つ。

1番の白い白いの部分の楽譜です。詩は少ない言葉で表現することがとても大切です。ですので、省略できるものはできるだけ削っていくことが必要になります。にもかかわらず、言葉を繰り返すのは本来ならばとても無駄なことになります。ただあえてそうすることもあります。内容は進んでもいかないし、深くなるわけでもないのですが、2つの効果が考えられます。1つは強調で、もう1つは心の中により深く刻むことです。1つめの場合は演奏は2回目をより強く演奏することになり、2つめの場合はエコーのように2回目を小さくし、より深く心に刻むような演奏をします。そしてこの曲の場合は強調です。理由は音が高くなっているからです。

さて山田耕筰の楽譜はどうかというと、最初はメゾスタッカート、2回目はレガートです。メゾスタッカートはテヌートとスタッカートの合成で音を長く、そして短く演奏してくださいといっているようなもので、わかりにくい記号です。ただし時々使われる記号でもあります。この記号は基本スタッカートです。つまり前の音と次の音の間に隙間を作ります。ただしスタッカートだと隙間は出来ますが、音そのものも短くなってしまいます。そこでこの記号が出てきます、音それぞれにある程度の長さを残したまま、次の音との間に少し隙間を作る演奏になります。音の長さを残しながら隙間を空けるので場合によっては少し遅くなることもあります。

このようにアーティキュレーションが違うということは強調やエコーではなく、違う表情の演奏ということになりますが、違う表情の根拠がどこにもないので、例えば1回目は色としての白、2回目は純粋な白となれば表情の違いは出せるでしょうが、もしそうであれば言葉を変えた方が良いところです。

少なくとも今のところ私にはこの繰り返しで表情を変える必然性は見つかりませんので、単純に強調だと思った方が良いように思えます。

楽譜をよく見るということ

楽譜は大切で、よく見て演奏しなさいと言われますが、それはそれは楽譜に書いてある記号通りに演奏することではなく、楽譜の意図を読み取る作業だと思います。その結果ppを少し大きめの音で演奏したり、逆にmfを小さめの音で演奏することも有り得るのだと思いますし、それは作曲家を無視しているのではなく、逆に作曲家の意図を考えた結果です。もちろんその後新しい発見があれば演奏は変わっていきますが、それでいいのだと思います。これとは別にpだけれども大きく歌いたいから大きく歌うとか、好きな歌手が大きな声で歌っていたから大きく歌うというのは違うように思います。

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音取り~和音https://liederabend.net/wp/%e9%9f%b3%e5%8f%96%e3%82%8a%ef%bd%9e%e5%92%8c%e9%9f%b3/Thu, 26 Mar 2026 04:09:47 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12739

前回音の記憶による音取りについて書きましたが、今回は音を縦に感じる、つまり和音からの音取りです。和音というと難しい印象があるかもしれませんが、まずは簡単に和音について。 ハ長調の一番中心の和音(主和音)はドミソです。ドの ... ]]>

和音

前回音の記憶による音取りについて書きましたが、今回は音を縦に感じる、つまり和音からの音取りです。和音というと難しい印象があるかもしれませんが、まずは簡単に和音について。

ハ長調の一番中心の和音(主和音)はドミソです。ドの音を和音の一番基になる音(基音)として、3度ずつ高い音を積み上げていきます。なぜ3度ずつなのかとか色々と疑問があるかもしれませんが、長くなりますので、まずはそういうものだと思ってください。

和声音と和声外音

例えば1小節ドミソの和音だったとします。そうするとその小節ではドミソのどれかを演奏することが多くなります。これを和声音といいます。しかし、全部和声音しか使えないとすると、ドミソ以外の音はその小節の間使えなくなり面白くないので、それ以外の音(和声外音)も使われます。

ハモる

和声音を歌うときれいにハモった感じになります。これが和音から音取りをするときに重要な感覚になります。前回は前の音とこれから歌う音の音程差を記憶して音取りをする方法でしたが、和音から音取りをするのは記憶は関係ありません。今の瞬間ホモっているかどうかでの判断になります。この場合は少し立ち止まって実際の長さよりも長く歌った方が分かりやすいので、長い音の中でハモりを確認していきます。

和声外音

ハモるのは和声音だけです。では和声外音はどうかというと、ハモらないことを確認することになります。音がぶつかった感じといいますが、ハモらずに緊張が続く音にしていきます。ただこの緊張は長く続きません。すぐに和声音に解決することが多いですので、ハモらない和声外音からハモる和声音へ移り変わることが感じられると音取りはしっかりしたものになっていきます。

和音

ここで1つ問題が出てきます。今何の和音が使われているかということです。和音が分かれば音取りしにくいところの音が和声音なのか和声外音なのかの判断は付きますが、何の和音か分からなければこの方法は使えません。まずはピアノのパートを見ます。長い音符があればその音は和声音であることが多いので、音取りが上手くいかないと思う音符とピアノの長い音が一致するかしないかでハモるべき音かぶつかる音かの判断をします。ですので、ピアノのへ音譜表も何の音が演奏されているのか把握することはとても大切です。

さらにピアノのパートに長い音が無く、細かく動き続けている場合は和音から音取りすることは難しくなりますので、他の方法に切り替えます。

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音取り~音程(音の記憶)https://liederabend.net/wp/%e9%9f%b3%e5%8f%96%e3%82%8a%ef%bd%9e%e9%9f%b3%e7%a8%8b%ef%bc%88%e9%9f%b3%e3%81%ae%e8%a8%98%e6%86%b6%ef%bc%89/Tue, 24 Mar 2026 11:10:30 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12732

楽譜で表されているものの中で最も大切なものはリズムと音程です。その他に速度の記号や強弱の記号などもありますが、とりわけリズムと音程です。ですので、音取りもリズムと音程が課題になってきます。そしてリズムは比較的簡単ですので ... ]]>

リズムと音程

楽譜で表されているものの中で最も大切なものはリズムと音程です。その他に速度の記号や強弱の記号などもありますが、とりわけリズムと音程です。ですので、音取りもリズムと音程が課題になってきます。そしてリズムは比較的簡単ですので、音取りの苦手な人はまずリズムを徹底的に勉強するのが近道になります。そしてリズムが簡単に読めるようになると楽譜はぐっと近づいてきます。リズムが分かると知らない曲でもCDをかけながら楽譜を追っていくことが出来ます。これが出来ると楽譜はとても身近なものになります。

音の高さの記憶

子供の頃音楽の授業で新しい曲を歌うとき、先生が1フレーズずつ歌ってくださるのを生徒がリピートする形が一番多かったのではないかと思います。音の記憶を利用した音取りです。この時に絶対的な音の高さを覚えられたのではなく、ほとんどの場合前の音との音程の関係からの音の記憶です。

最初の音取り

音取りはまずこの音の記憶を利用します。そして覚えやすい部分はすぐに音取りは出来て、覚えにくい部分だけが課題として残ります。このように分類することがとても大切になります。耳コピであってもピアノを弾きながらであってもすぐ覚えられた部分は音取り完了です。しかし、なかなか覚えられないところがあったり、曲によっては覚えられないところがたくさんあったりもします。このような曲は音取りの難しい曲で、とても時間がかかってしまいます。しかし、時間がかかっていては他の練習が出来ないので、なんとか短時間で出来るようになりたいものです。

その他の方法

それでもまずは何度も繰り返して覚えられるようにする練習をしていきます。覚えるトレーニングです。この時にその部分だけでもピアノで弾けると記憶しやすくなりますが、CD等でその部分を何度も聞こうとするととても難しい作業が必要になります。さらに速くて把握しづらい部分もピアノが弾ければゆっくり弾いて確認することも出来ます。

同じ音なのに記憶できない例

一番簡単なはずの同じ音の記憶が上手くいかないときの例です。前のフレーズの最後の音と次のフレーズの最初の音が全く同じ場合、音を記憶して正しく次を歌うことは簡単なはずですが、フレーズのつなぎに2~3拍の休符があり、ピアノの和音が今までと少し違ったものが入る。さらに同じ音で始まる次のフレーズの和音が前のフレーズの終わったときの和音と違う和音になっている(転調していることもある)ときなどで音取りが上手くいかないケースがあります。一番簡単なはずの同じ音の記憶が2秒くらいで崩れてしまうわけです。ここでだめだと思っても何も進まないので少し工夫することにより、音の記憶の力を強化していきます。

まずはこの2つの音が同じ音だということをはっきり認識します。これで出来るようになれば問題は解決です。

認識しても上手くいかないときは間のブレスを無しにします。前のフレーズの最後の音をそのまま伸ばして、ブレスをせずに歌ってみます。ほとんどの場合これは上手くいきます。切れ目がなくなるので、音の記憶が容易になります。

これの応用で、ブレスはするけれど休符を無しにします。これが出来たら、少しずつ休符を長くしていきます。本来の長さの休符を入れ、、さらに和音が変わるのだから音の表情も変わりますので、そのように変化させても同じ音で歌えればクリアです。

別の方法です。音程に名前を付けてみます。つまりドレミで歌ってみます。今は同じ音程の記憶の練習なので、固定ドの方が良いです。ドレミではすぐに正しい音程が歌えて、言葉になると難しくなることもよくあります。移動ドの場合はもし転調していれば同じ音なのに呼び方が変わってしまいますので、同じ高さの把握にはなりません。そして移動ドは音の高さ記憶よりも、音階の色で高さを把握する方法なので、調性が安定しない部分には不向きです。

同じ音の音取りなんて難しいと感じたことがないという人の方が多いかと思いますが、少し長く書いてみました。音の記憶はとても大切で、その基礎には同音の記憶があります。同じ音の記憶が危ういとこれから先音取りはとても難しくなりますので、トレーニングしていきましょう。

和音で考える

音の記憶を基に前の音から次の音を考えるのが一番よくおこなわれる音取りです。時間の流れと共に横に音取りをする感じですが、今の瞬間の和音から音取りを考える、縦に見る方法もあります。和音というとぐっとハードルが上がってしまいますが、ハモった感覚で音取りをするということです。長くなりましたので、これは次回の記事で書きます。

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合唱のヴィブラートを考える3 ~声の不安定さを解消https://liederabend.net/wp/%e5%90%88%e5%94%b1%e3%81%ae%e3%83%b4%e3%82%a3%e3%83%96%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%83%88%e3%82%92%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b3-%ef%bd%9e%e5%a3%b0%e3%81%ae%e4%b8%8d%e5%ae%89%e5%ae%9a%e3%81%95%e3%82%92%e8%a7%a3/Mon, 23 Mar 2026 11:43:28 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12712

合唱ではヴィブラートはあってはならない、と言う考えには多分にヴィブラートではなく不安定な声が想定されているのではないかと思います。きれいなヴィブラートは声楽の世界では歓迎されるものですし、発声が良くなってきたときに声楽の ... ]]>

ヴィブラートと不安定な声

合唱ではヴィブラートはあってはならない、と言う考えには多分にヴィブラートではなく不安定な声が想定されているのではないかと思います。きれいなヴィブラートは声楽の世界では歓迎されるものですし、発声が良くなってきたときに声楽の先生が、「きれいなヴィブラートになってきたね」と表現されることもあるくらい、ヴィブラートは声の良し悪しのバロメーターでもあります。逆に不安定な声は何を置いてもすぐに修正されるべき声でもあります。私もレッスンの中でいつもよりも不安定な声になっていたら、他のことよりも先にその修正に取りかかります。ただ基本的には「今日の声は不安定だから修正します。」などは言いません。丹念に喉の状態、横隔膜の使い方の修正をして安定した声を作ります。レッスンの進んだ人には「今日はいつもより少し不安定になっているから少し安定させようか」と言うことはあります。問題なく修正できるといった信頼感があるからです。発声のコントロールがまだうまく出来ない人に、そのヴィブラート止めてと言うのはとても苦しいところに追い込むことにもなります。

ヴィブラートと不安定な声の違い

この2つは同じように音程の揺れだし、メカニズムも同じようなものなので、きれいに線引きすることは出来ません。単純に心地良いものはヴィブラートそうでなければ不安定な揺れだと判断できると思います。ヴィブラートは狭い音程の幅で規則的に揺れますし、あまり速くはありません。一方不安定は声は音程の幅が大きくなりますし、不規則に速く揺れます。

不安定な声の解消

元々安定した声のある人が一時的に不安定になっただけであればそう難しくないのですが、常に不安定になってしまっている声の修正は容易ではありません。不安定な声は音程が定まらない声になりますが、音程が定まるという事はとても繊細に声帯をコントロールしているということでもありますので、逆に言うと安定した声が出せている方が奇跡みたいなもので、その奇跡のような声を練習によって常に出せるようにするのが発声だとも言えます。声は声帯の伸展の具合と閉鎖の具合のバランスで作られます。例えば同じ音程でクレッシェンドするときには徐々に声帯の閉鎖を強くしていきます。その結果徐々に声帯は厚くなっていき、そのままでは音程がどんどん低くなってしまいます。その時に低くならないように声帯が厚くなった分声帯を引き伸ばす力を加えていくことになりますが、耳で聞こえてくる音程を頼りに、そのバランスを随時変化させながら声を作っていきます。喉の中で繊細にバランス調整をし続けているのです。このコントロールが上手くいかなくなるのが不安定な音の揺れです。

ヴィブラートを止めてという指示

繊細なバランス調整が上手くいかない人に「ヴィブラートを止めて」という指示を出すと、すべての運動を止めて固定させてしまうか、逆に力を抜いて声が聞こえないようにするかになってしまいます。どちらもバランスの悪さをもっと拡大させるばかりで、良い結果にはなりません。それから声帯は声を出している間にバランスを変え続けています。例えば同じ強さのロングトーンをするとします。まず最初、音の強さや音の高さに合わせて声帯の状態が決まります。しかしこの状態を固定させるのではありません。音を出し続けるということは閉鎖し続けなければならず、閉鎖し続けるということは声帯はだんだん厚ぼったくなるということになりますので、徐々に声帯を引き伸ばす力を増やしていかなければなりません。少し分かりづらいかもしれませんが、とにかく同じ音を伸ばすだけであっても声帯の中の筋肉は変化し続けなければならないのです。そこに止めてという指示を出すとせっかく変化しようとしている声帯の動きを止めることにもつながり、ますます歌いにくくなってしまいます。

解決策

根本的な解決策は基本的な発声の力を付けていくことですので、時間がかかるし、簡単ではありません。ただし、声帯は自由に動く状態が出来ると、無意識にバランスの取れた本来あるべき運動をしていきますので、伸展筋の緊張弛緩の繰り返し、声帯筋の緊張弛緩の繰り返しが一番の解決策になります。スムーズにこの運動が出来れば何も意識していないのに、不自然な音の揺れはなくなっています。

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のど仏を下げなくてはならないと思われている理由https://liederabend.net/wp/%e3%81%ae%e3%81%a9%e4%bb%8f%e3%82%92%e4%b8%8b%e3%81%92%e3%81%aa%e3%81%8f%e3%81%a6%e3%81%af%e3%81%aa%e3%82%89%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%a8%e6%80%9d%e3%82%8f%e3%82%8c%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e7%90%86/Thu, 19 Mar 2026 09:23:56 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12680

のど仏は甲状軟骨と言われている骨のことです。図1はのど仏を横から見た図です。上の大きな骨が甲状軟骨、下の骨が輪状軟骨です。甲状軟骨のやや下の部分に横にまっすぐな線がありますが、これが声帯です。男性は声変わりの時にこの声帯 ... ]]>

声帯はのど仏の中にある

のど仏は甲状軟骨と言われている骨のことです。図1はのど仏を横から見た図です。上の大きな骨が甲状軟骨下の骨が輪状軟骨です。甲状軟骨のやや下の部分に横にまっすぐな線がありますが、これが声帯です。男性は声変わりの時にこの声帯が急に長くなります。その結果甲状軟骨に収まりきれなくなるので、のど仏が少し出ることで長くなった声帯がきちんと骨の中に収まってくれるようになっています。長くなった声帯のために骨が変形するというのはすごいしくみですよね。

図1 フースラー「歌うこと」より引用

喉を開けるとは

図1の黒い線は通常の骨の位置で、赤い線は喉が開いたときの骨の位置です。声帯が少し傾くことによって引き伸ばされます。声帯の入っているボックス(甲状軟骨)は軟骨ではありますが、骨に囲まれていますので、そのままでは引き伸ばすことは出来ません。図のように傾けることによって初めて引き伸ばすことが出来ます。と言うより、傾けること以外に声帯を引き伸ばす手段はありません。

金管楽器奏者の唇

金管楽器を演奏するにはマウスピースの中の唇が振動しなくてはなりません。つまり声を作る声帯の代わりに、金管楽器では唇が使われることになります。そして金管楽器奏者は最初にマウスピースの中で微笑むように唇を横に引っ張って、唇の振動を作ります。横に引っ張らないと振動がきれいではなく、高い音は全く出ません。ですので、しっかりと唇を横に引っ張る練習をすることになります。声帯も同じでちゃんと引っ張ってあげないときれいな声にならないし、高い声は全くでないことになります。ですので、声帯をちゃんと引っ張る(このことを「喉を開ける」と表現しています)ことが歌うことの最初の作業になるわけです。また声帯が引っ張られると声は少し高くなりますので、しゃべるときに比べて歌う声の中心音は4度から5度高くなるのが普通です。

胸骨甲状筋の収縮

図2 フースラー「歌うこと」より引用

図2もほぼ先ほどと同じようにのど仏を横から見た図ですが、甲状軟骨と輪状軟骨をつなぐ筋肉「輪状甲状筋」が赤く書かれています。甲状軟骨と輪状軟骨が近づくように傾くことで声帯は引き伸ばされていきますが、これをコントロールするのに最も重要な筋肉がこの輪状甲状筋です。つまり喉を開けるというのは空間を広げるのでもなく、声帯の隙間を広くするのでもなく、輪状甲状筋が収縮し声帯が傾くことを指します。しくみはこのようなもので、説明できますが、輪状甲状筋を収縮させて声帯を少し引き伸ばしてください。と言ったところで当然出来るものではありません。次は実際はどのように感じられるかを書いていきます。

実際の感覚

喉を開けるというときにほとんどの人はこの輪状甲状筋の前下への運動ではなく、後上の運動を感じると思います。軟口蓋を持ち上げるとか、鼻の付け根や額に音を感じる等です。例えば輪ゴムを両手で引っ張るとします。両方の手で輪ゴムの端をつまみ、右手で右の方へ引っ張っていくとします。その時に左手は動かさないようにしても、左手は左に向かって引っ張る力を加えなければなりません。このようにある方向に力がかかると反対の方にも力がかかってきます。ですので前下に引っ張ろうとする力が入ると、反対の後上に引っ張ろうとする力も感じることになります。ではなぜ後上向きの力を先に感じるのかというと、声帯が引き伸ばされた時の音はしゃべるときよりも上、鼻の付け根あたりに感じられるからです。実際の筋肉の運動は輪状甲状筋の収縮だとしても、それをコントロールすることが分かりづらければ、その後に感じられることを優先して練習した方がよっぽど良いのです。

これが上手くいかないとき

軟口蓋を引き上げようとか鼻の付け根に音を感じようとすることによって甲状軟骨と輪状軟骨が近づき声帯が引き伸ばされれば何の問題も無いのですが、そうはいかないこともあります。ちなみに本当に必要な甲状軟骨と輪状軟骨が近づいて状態は見た目でも触っても全く分かりません。多少分かるかと思って何度もやってみたのですが、全く分かりません。私は音質の変化のみで判断します。起こるべき音質の変化があれば必要な声帯の引き伸ばし、喉を開けるという作業は出来ていますし、その音質の変化がなければ足りないことになります。

さて、後上向きの力を感じても本来必要な前下向きの運動が起こらなかったときに、なんとかして前下向きの運動を起こす手段を考えなくてはならなくなりません。ここで「のど仏を下げて」が出てきます。実際には甲状軟骨と輪状軟骨のかたまりが低い位置にあるか高い位置にあるかは声帯の傾きには関係ありません。しかし、前下に向けての力が必要なので、のど仏を下げなさいと言われるようになってしまいました。

のど仏を下げようとすときの問題点

のど仏自体を下げる必要が無いことと、のど仏を下げたところで声帯は引き伸ばされない、つまり喉を開けることは出来ないことはお分かり頂けたと思います。それでものど仏を下げる必要があると言われ続けるとそうしなければと思ってしまいます。おそらくたくさんの方が経験したことがあると思いますが、鎖骨の間にのど仏が隠れそうなくらい下げると、音が重たくなってモコモコし、高い音が出せなくなっていきます。もちろんつばを飲み込んだときのように顎の下にのど仏が隠れるくらい上がってしまっても声にはなりませんが、これは別の理由です。甲状軟骨を傾かせるのに、輪状甲状筋だけではなく 胸骨甲状筋も関与しており、これが少し甲状軟骨を下に引っ張ります。しかし、 甲状軟骨と輪状軟骨が近づき声帯が引き伸ばされるシステムでは圧倒的に輪状甲状筋が大切なのです。レッスンの中でこの前下の動きが上手くいかないときに、音が上がるときにほんの少しつま先に体重を移動するような指示を出します。少し横隔膜に力が入り、声帯を傾かせるのに役に立ちます。これが出来たら、この時の音の変化や筋肉の動きを感じてもらって、喉を開けるということについて明確な感覚を持ってもらうことが出来るようになっていきます。

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「合唱」https://liederabend.net/wp/%e3%80%8c%e5%90%88%e5%94%b1%e3%80%8d/Mon, 16 Mar 2026 06:42:42 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12639

以前は大人数の合唱団もたくさんあり、たくさんの人が合唱を通して音楽に触れていました。しかし、だんだんと少人数の合唱団が増え、さらにコロナ以降合唱から遠ざかっていた人たちの戻りの少ない合唱団は存続が難しくなり、残念なことで ... ]]>

日本での合唱と音楽

以前は大人数の合唱団もたくさんあり、たくさんの人が合唱を通して音楽に触れていました。しかし、だんだんと少人数の合唱団が増え、さらにコロナ以降合唱から遠ざかっていた人たちの戻りの少ない合唱団は存続が難しくなり、残念なことですが、以前ほどの華やかさはなくなってきたようにも思います。ただ日本の音楽会にとって合唱団の役割はとても大きかったように思います。時代は波のように繰り返しが起こるものなので、またそのうちに賑やかな合唱界が戻ってくると思っています。そしてその時は以前より進化したものになっていることでしょう。

パートごとの問題点

では今実際に合唱に取り組んでいらっしゃる方に向かって少し書いてみます。合唱団で歌っているとパートごとによく指摘されることがあるように思います。何度も言われ続けますので、努力が足りないからだとか才能が無いのかもしれないとか考えてしまうことも多いかもしれません。真剣に取り組んでいる人ほど苦しく感じることもあるかもしれませんが、よく指摘されることは指摘される理由があり、集中したからといってすぐに解決できることではないことについて。

これらはすべてやや遠い目標になりますので、すぐに出来なければならないとは思わない方が良いです。しかし、数ヶ月後には少し変わっていると良いし、1年たったらもっとはっきりと変わっていると良いと思える目標になります。それから意識したららクリアできる目標でもなく、無意識のうちに問題が無くなっていることが本当の解決になります。指揮者からの毎回の指摘はこの遠い目標を忘れないようにの忠告だと思って、気にし続けるのがベストだと思います。

音取り

合唱団にとって音取りはとても大きな問題になります。音取りがスムーズに出来ると他の練習の時間は十分に取れますが、音取りに時間がかかると練習の大半を音取りに使わなくてはならなくなります。できるだけ短い時間で音取りをクリアしたいところですが、なかなか難しい事もあると思います。合唱独特の難しさもありますが、まずは一般的な音取りについて、耳コピではなくピアノやキーボーでを使おうという話。

耳コピに頼っていると何年たっても楽譜は近づいてくれません。ピアノを習い始めた子供でも数年で楽譜を読めるようになります。大人だともっと早くできるし、楽譜が近づいてきたときの風景は今までとはガラッと変わってきます。

次の段階です。音取りはまずは音程とリズムを楽譜から読み取る作業です。その中でリズムを徹底的に練習していきましょう。

音取りに関しては耳コピではなく、とにかく自分で鍵盤を叩いて確認する習慣を付けることが最も大切で、次にリズムに関して正確に早く分かるようにします。そしていよいよ最大の難関、音程を取っていきます。音程がとにかく大変なので、音程を何度でも再現できるように鍵盤を使う必要があるし、リズムに関しては何も考えないで良いような状態にします。

音程

通常の音取りは前の音と次の音の音程差の記憶で進められます。

和音からの音取りです。

ヴィブラート

合唱ではヴィブラートは嫌われる傾向にあります。特に女性で音の揺れが目立ってきた人にとってはとても苦しいことになって、せっかく続けてきた合唱から残念ながら遠ざかってしまうということも多々あるようです。きれいなヴィブラートと不安定な音の揺れとは区別して考えた方が良いということと、揺れを止めようとして喉を固定しようとすると逆効果になってしまうことについて。

随時加筆していきます。

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音取りが苦手な人へ~キーボードを買いましょうhttps://liederabend.net/wp/%e9%9f%b3%e5%8f%96%e3%82%8a%e3%81%8c%e8%8b%a6%e6%89%8b%e3%81%aa%e4%ba%ba%e3%81%b8%ef%bd%9e%e3%82%ad%e3%83%bc%e3%83%9c%e3%83%bc%e3%83%89%e3%82%92%e8%b2%b7%e3%81%84%e3%81%be%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%86/Mon, 09 Mar 2026 06:46:46 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12634

音取りの得意不得意は個人差がとても大きいです。また曲によって簡単だったり難しかったりもしますが、音取りの苦手な人はほぼ全員ピアノを使わずに、もしくはあまり使わずに音取りをしているようです。つまりCDやYouTube等を使 ... ]]>

音取りが苦手な人

音取りの得意不得意は個人差がとても大きいです。また曲によって簡単だったり難しかったりもしますが、音取りの苦手な人はほぼ全員ピアノを使わずに、もしくはあまり使わずに音取りをしているようです。つまりCDやYouTube等を使っての耳コピです。もちろんピアノを使っていても音取りの苦手な人もいますが、ほとんどの人がどんどん早く音取りできるようになって、数年後には音取りの問題はほぼ無くなります。逆に耳コピで音取りをする人は何年たっても音取りは難しく、さらに間違って覚えてしまった音程やリズムの修正に数週間から遅い人は数ヶ月かかることもあります。大きな差です。ピアノがあれば一番良いのですが、難しかったら、ピアノと同じ鍵盤のある電子ピアノ、さらにそれが難しければ3オクターブ以上あるキーボードをぜひ買ってください。スマホのアプリでキーボードの代わりになるものもありますが、とても使いづらいので、中古でも良いので、ぜひキーボードを買ってください。

耳コピの問題点

基本的に耳コピはとても難しいです。良く例で話すのですが、他人の作った原稿を使って人前でスピーチをしなければならないとします。通常紙やデータで原稿をもらってそれを覚えようとしますが、もしそれを誰かが読んでくれた録音だけもらって覚えなければならないとしたらどうでしょうか?文字データをもらってスピーチするよりも何倍も時間がかかることになるでしょう。もちろん文字は元々読めるけれども楽譜はそうはいかない人にとっては同じではありませんが、耳コピは苦労するということに関しては同じです。

まずはキーボードに慣れる

ピアノに慣れていない人は音取りのためというのを一旦忘れて、歌える曲のメロディーをキーボードで弾く練習をしましょう。知っている曲だとリズムを考えなくてすみますし、音を間違って弾いたときにすぐに間違いに気付きます。楽譜をドレミで読んでその音の鍵盤を弾くと曲になりますので、歌える曲を片っ端から弾いてみてください。ここまで来れば音取りで鍵盤を使うことは苦ではなくなるし、耳コピよりもはるかに簡単で早いことが実感できると思います。

まずはキーボードを買ってください

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合唱でよく指摘されること~バスhttps://liederabend.net/wp/%e5%90%88%e5%94%b1%e3%81%a7%e3%82%88%e3%81%8f%e6%8c%87%e6%91%98%e3%81%95%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%ef%bd%9e%e3%83%90%e3%82%b9/Mon, 09 Mar 2026 05:39:00 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12632

バスのパートはテノールのような発声の大変さはあまりありません。もちろん良いバスになるのは容易なことではないですが、目の前にある音を歌うということに関してはそう難しくないと思います。アルトもそうですが、とても良いバスのいる ... ]]>

バスは遅れる

バスのパートはテノールのような発声の大変さはあまりありません。もちろん良いバスになるのは容易なことではないですが、目の前にある音を歌うということに関してはそう難しくないと思います。アルトもそうですが、とても良いバスのいる合唱はなかなか魅力的ですね。

さてバスは合唱の練習で遅くなるとかリズムが悪いと指摘されることが多いように思います。テノールが速くなってバスが遅くなるとアンサンブルは壊れてしまいます。

遅くなる理由

バスが遅くなる理由は正確には分かりませんが、ヴァイオリンとコントラバスを比較したときに、ヴァイオリンは音の立ち上がりがはっきりするので、遅く聞こえることはありませんが、コントラバスは音の立ち上がりがやや明確ではなく、少し遅れて聞こえやすいように思います。現実オーケストラではコントラバスが遅れるといった指示は結構多いようです。つまり低い音は立ち上がりが遅く聞こえるということだと思います。

バスは速いパッセージが苦手

コロラトゥーラという言葉があり、本来は速いパッセージを演奏することを指しますが、今ではソプラノでとても高い声を出す人をコロラトゥーラ(ソプラノ)と呼んでいます。本来の意味からするとコロラトゥーラバスがいても良いのですが、聞いたことがありません。実際にロッシーニ等のオペラでバリトンが速いパッセージを歌うことがありますが、結構苦労しているように感じられます。中にはやや遅れてしまっている演奏も数多く見られます。結局高い声の方が速いパッセージは歌いやすく、低い声は歌いにくいのだと思います。ただ申し訳ありませんが、その理由はよく分かりません。

対処方法

バスは正しく歌おうとしてもやや遅れて聞こえてしまうものだと自覚しましょう。そうすると解決策は簡単で、常にほんの少し早めに歌おうとすることです。慣れないと難しいですが、まずはフレーズの始まりだけほんの少し早くを気にしながら歌ってみることだと思います。どのくらい早く歌えば良いかは自分では判断は難しいので、これは指揮者に丸投げしても良いかと思います。自分で正しいと思うタイミングとは違うタイミングで歌うわけですから、それが良いのかどうかは自分で判断は難しくなりますので、他人に判断を委ねた方が良いです。そのうちにどのくらい早めに歌った方が良いか分かるようになりますので、その後は慣れていくと思います。それから音取りがあやふやだとどうしても少し遅めに歌ってしまいますので、自信を持って歌えるような音取りも大事なところです。

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合唱でよく指摘されること~テノールhttps://liederabend.net/wp/%e5%90%88%e5%94%b1%e3%81%a7%e3%82%88%e3%81%8f%e6%8c%87%e6%91%98%e3%81%95%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%ef%bd%9e%e3%83%86%e3%83%8e%e3%83%bc%e3%83%ab/Sun, 08 Mar 2026 12:58:27 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12626

合唱のテノールはどちらかというと2つのタイプに分かれるような気がします。一つはしっかりした声で割と高い声も出せるものの、小さな声は難しい人、もう一つは柔らかい小さい声では歌えるが大きな声は出ない人。これはテノールの高音の ... ]]>

テノールの高音は難しい

合唱のテノールはどちらかというと2つのタイプに分かれるような気がします。一つはしっかりした声で割と高い声も出せるものの、小さな声は難しい人、もう一つは柔らかい小さい声では歌えるが大きな声は出ない人。これはテノールの高音の難しさが原因です。fでもpでも歌えるテノールは貴重です。

テノールは走りすぎる

強い音の人と柔らかい音の人がまざると当然のことですが、音の強い人がリードすることになります。しかし高い音は出るもののやや無理をして歌っているので、高い音を持続させるのは難しくなります。そうなると無意識に速く歌ってしまおうとしてしまいます。結果テノールは速くなりすぎるということになります。落ち着いてゆっくり歌ってという指示になるでしょうが、なかなか難しいです。

対処方法

難しい高音をできるだけ楽に出せるように練習することが最善の方法になります。しかし時間がかかる難しい練習になります。多少苦しくてもテンポ通り歌うことは可能なので、基本的な練習以外にテンポをしっかり感じる練習も出来ると良いと思いますが、母音唱は結構有効です。言葉で歌うと次の音節またその次にと進めていかなくてはなりませんが、一つの母音ですべてを歌うとそれぞれの音の長さを感じやすいので急がずに歌えることもあります。

遅くなる人もいる

音の強い人が高音になれてくると逆に遅くなることもあります。高い音を歌うのは基本的に気持ちの良いものです。高い音が気持ちよくなってくるとそれを持続したくなりますので、遅くなります。こうなると速い人と遅い人が出てきてテンポが定まりにくくなってきたりもします。

テノールはいつも速い

テノールはいつも速くなってしまうと他のパートから苦情が来ることもありますが、テノールの高音は大変だからと少し大目に見てもらうゆとりもほしいところです。その中でどんどんと次を歌うのではなく、音を出している今の瞬間をもっと味わって歌うような習慣が出来ると良いですね。

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合唱でよく指摘されること~アルトhttps://liederabend.net/wp/%e5%90%88%e5%94%b1%e3%81%a7%e3%82%88%e3%81%8f%e6%8c%87%e6%91%98%e3%81%95%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%ef%bd%9e%e3%82%a2%e3%83%ab%e3%83%88/Sun, 08 Mar 2026 11:39:22 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12624

アルトは音が小さい、汚いと言われることが多いようです。それには色々な問題があるのですが、その原因を書き出してみます。 音楽大学ではソプラノとアルト(ここではメゾソプラノはアルトに分類します)の人数には均等ではなく、圧倒的 ... ]]>

アルトの問題

アルトは音が小さい、汚いと言われることが多いようです。それには色々な問題があるのですが、その原因を書き出してみます。

アルトの人数は少ない

音楽大学ではソプラノとアルト(ここではメゾソプラノはアルトに分類します)の人数には均等ではなく、圧倒的にソプラノが多くなっています。つまりメゾソプラノを含めてアルトの人数は元々少ないのです。ただし、合唱の場合はほぼ同じ人数のソプラノとアルトが必要なので、本来はソプラノだろう人がアルトのパートを歌っている現状があります。

合唱曲のアルトパートの音が低い

合唱のアルトパートの音域がとても低いことが次の問題です。アルトといっても実際はメゾソプラノの人が多いのですが、メゾは多分にソプラノに近い音域を持っています。しかし実際のアルトの楽譜は五線の下の方が多く、低すぎます。この2つが重なることにより、本来はソプラノだろう人がとても低い声を無理して歌っている現状があります。

胸声を嫌がられる

五線の下の方からは胸声を使っていかなければならないのですが、なぜか合唱では胸声が嫌がられる傾向があります。そのため低い音であっても胸声を使わずに歌うように要求されることが多いようです。

解決策

これらのことから本来の出しやすい音域よりも低い声を出さないといけないわけですので、どうしてもパワーが足りなくなります。当然小さくなって、いつもアルトは聞こえないと言われてしまうことになります。ただ合唱団に一人でもしっかり声の出せるアルトがいると状況は変わります。ですので、解決策の1つは良いアルトを一人見つけるということになります。これはしかし他のアルトのメンバーにしてみれば面白くない解決方法となります。

胸声を練習する

残りの解決策は今のアルトのメンバーが胸声をしっかり使えるようになることです。ただ使い慣れていない声区の練習は大変です。声帯を少し厚く準備すると低い声がしっかりした声になります。それほど難しい事ではないのですが、使い慣れていない人が胸声を使おうとすると、声帯の厚さに対して十分な伸展筋が入りにくく、音が濁ってしまったり、そこまでではなくても低くなりやすくなります。さらにしっかりとした胸声になればなるほど中声へのチェンジが難しくなりますので、声区の入れ替わりのコントロールがききづらくなります。つまり慣れるまでは不自由な声を我慢しなければならないことになります。これが我慢できないと胸声を使わないように指示されてしまい、こうなると胸声は開発されないままになりますので、声は小さいままになってしまいます。

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合唱でよく指摘されること~ソプラノhttps://liederabend.net/wp/%e5%90%88%e5%94%b1%e3%81%a7%e3%82%88%e3%81%8f%e6%8c%87%e6%91%98%e3%81%95%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%ef%bd%9e%e3%82%bd%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%8e/Sun, 08 Mar 2026 02:20:51 +0000https://liederabend.net/wp/?p=11855

合唱の練習で指摘されることについてパートによって特徴があるので、それぞれ書いてみようと思います。何度も指摘されると練習不足なのだろうとか、能力が無いのかもしれないなど思ってしまうかもしれませんが、指摘されやすい理由があり ... ]]>

それぞれのパートで指摘されやすいこと

合唱の練習で指摘されることについてパートによって特徴があるので、それぞれ書いてみようと思います。何度も指摘されると練習不足なのだろうとか、能力が無いのかもしれないなど思ってしまうかもしれませんが、指摘されやすい理由があります。意識すれば解決するようなものではありませんので、日々の発声練習が大切になります。まずはそれぞれのパートでよく指摘される部分です。

ソプラノは音程が下がる。そして喉が締まっているとかもっと開けてと言われることが多いかと思います。その他には叫んだような声にしないなど。

アルトは声が小さい、もしくは喉声になっている、声が汚いとか。

テノールは走っている、もしくは音程が下がる

バスは遅れる、もしくはリズムが悪い

もちろんそれぞれの合唱団や個人で違いますが、割と多い指摘をまとめてみました。

無理矢理パート分けしなければならない

合唱団に入るとすぐにパートを決めることになります。女性の場合混声だとソプラノかアルト、女声合唱だとソプラノ、メゾソプラノ、アルトのどれかを決めなくてはなりません。ここに大きな問題があります。本来の女性の声はソプラノが圧倒的に多く、最終的にメゾソプラノに落ち着く人は結構少なくなります。ですので、大学でのソプラノの人数はとても多いのに、メゾ、アルトの人数は極端に少なくなります。この問題はまたアルトの記事で書いていきます。とにかくまだパートがはっきり決められないときに決めてしまわなければならないのが、合唱の難しいところでもあります。

ソプラノは音程が低い、または喉が開いていない

高い音を出すのは発声において最初の大きな課題になります。無理をしてもまずは出すことが大切だったりしますが、楽に高い音が出せるのが目標になります。そのためには声帯が十分に引き伸ばされなければなりません。弦楽器が糸巻きを締めるように声帯に張力を加えていくのですが、なかなか難しいものです。それでも楽譜に高い音が書いてあると無理をしてでも出さなくてはなりません。この声が喉が開いていないと言われる声になります。また当然音程は届きにくくなりますので、低くなりやすいです。

対処方法

指揮者からちゃんと集中して喉を開け、音程を高く歌いなさいといわれたりもするでしょうが、酷なことです。努力が足りないわけでも、集中していないのでもなく、声帯を引き伸ばす練習に慣れていないだけなのです。まずは短い音で声帯を引き伸ばす練習をして、少しずつそれを長い音に出来るように練習していきます。これがいつでも出来るようになると、曲の中で高い音を伸ばしても無理の無い音に変わっていきます。逆に言うとこれができない限り、どんなに集中しても解決にはなりません

叫ばない

「叫ばないで」というのもソプラノ特有の指示だと思います。他のパートでもあっても良いのですが、圧倒的にソプラノへの指示のようです。叫ぶ声には2つの要素が考えられて、一つは大きすぎる、もう一つは音が汚い。この中で音が大きいのは声楽にとっては目標の一つでもあります。つまり「叫ぶ」声には良い面も含まれているということが前提になります。しかし、汚くなってしまってはよくありませんので、ここを修正していきます。汚い声とは何かということになりますが、これは雑音が多い声になります。さらに雑音とは何かというと、出したい音とは違う周波数の音です。雑音というとない方が良いようにも思えますが、雑音の入り方で音色が変わってきますので、大切なものでもあります。ただし多すぎると汚い声と言われてしまいます。そしてさらに雑音が多くなるとだんだん本来の音程が分からなくなります。とにかく雑音はなければ良いものではありませんが、多すぎると音楽を作る声にはならないということになります。ちなみにこの雑音が多い音はクラッシックではほとんど許容されていませんが、他のジャンルではよく使われています。ハスキーヴォイスなどもその一例です。ハスキーヴォイスは調べてみても正確な原因は分からなかったのですが、おそらく声帯が傷ついてガタガタになっているため、声帯をちゃんと引き伸ばしても雑音が混ざった声になってしまうのではないかと思っています。クラッシックでは使われないのは、マイクを使わないと音量が出ないのと、ppを出すことが難しいからではないかと思います。

対処方法

例えばピアノの鍵盤を1音だけ汚い音を出そうと強く叩いても決して汚い音にはなりません。複数の音をめちゃくちゃに同時にならすと汚い音を作れますが、先ほどの雑音と同じ効果です。声は1音でも汚く出せるのに、ピアノはそうならないのは、とても強い力で弦を引き伸ばしているからです。こうなると対処方法はわかりやすいと思いますが、先ほどの「音程が低い、喉が開いていない」と同じで、声帯にその音を出すのに必要な張力を正しく加えられるかどうかということになります。こうなるとよく言われている「喉を開ける」と言うことがどれだけ大切なのかが分かると思います。

喉を開ける

発声の2大課題は喉を開けることと声帯を閉じることです。この中でソプラノ固有の問題は喉を開けることがうまく出来ると克服できる部分がたくさんあります。そして喉を開けるとはどういうことかを実感するのは決して難しくありません。下の記事でまとめていますので、読んでみてください。

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「呼吸」https://liederabend.net/wp/%e3%80%8c%e5%91%bc%e5%90%b8%e3%80%8d/Thu, 05 Mar 2026 12:17:03 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12608

歌のためには腹式呼吸が大切だと言われすぎているように思います。腹式呼吸の正式な定義はありません。まずはここから。 それでもこれだけ腹式呼吸が大切だと言われていると、腹式呼吸は絶対に必要なもので、ただ自分にはまだ腹式呼吸は ... ]]>

腹式呼吸の定義

歌のためには腹式呼吸が大切だと言われすぎているように思います。腹式呼吸の正式な定義はありません。まずはここから。

腹式呼吸をしようとすることが発声をゆがめてしまうことがある

それでもこれだけ腹式呼吸が大切だと言われていると、腹式呼吸は絶対に必要なもので、ただ自分にはまだ腹式呼吸は習得できていないし、これが出来ると発声がとても良くなると考えてしまうこともあると思います。つまり、腹式呼吸は絶対に必要なもので、それを疑うことは出来ずに、正しい腹式呼吸は何かを追求することになります。しかし、曖昧な用語は曖昧な答えしか出してくれないものです。

横隔膜の役割

それでも横隔膜は発声においてとても重要な役割を果たします。大きく2つの意味があり、1つは横隔膜の収縮と声帯の閉鎖。もう一つは横隔膜の広がりと声帯の伸展。

呼吸法の原則

呼吸についての原則をまとめてみました。呼吸の話が出てきたらどれにあたるのかを考えてみると、分かりやすくなります。

加筆していきます。

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「リズム、拍子」https://liederabend.net/wp/%e3%80%8c%e3%83%aa%e3%82%ba%e3%83%a0%e3%80%81%e6%8b%8d%e5%ad%90%e3%80%8d/Fri, 27 Feb 2026 09:28:20 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12595

音楽といえば調性と拍子は外せません。その中で拍子についてまとめてみました。まずは拍子とは何かということから。 さらに拍子の意味を考えてみます。 拍子があることで音楽に安心感が感じられ、それが心地良さにつながるといった話。 ... ]]>

拍子

音楽といえば調性と拍子は外せません。その中で拍子についてまとめてみました。まずは拍子とは何かということから。

さらに拍子の意味を考えてみます。

拍子が必要な理由

拍子があることで音楽に安心感が感じられ、それが心地良さにつながるといった話。

リズム

リズムはほぼ問題が無い人ととても苦労する人に分かれます。苦手な人はとにかく正確に2分割です。リズムが苦手な方のレッスン風景です。

2分割、3分割について。

リズムの音取りについて。

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拍子を考えるhttps://liederabend.net/wp/%e6%8b%8d%e5%ad%90%e3%82%92%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b/Fri, 27 Feb 2026 07:00:17 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12587

音楽の中で調性や和声などの音程の構造は難しく感じるかもしれませんが、拍子は割とわかりやすいと思います。今回はその拍子について考えてみます。 拍子感のある演奏と無い演奏では結構な違いが出てきます。そして拍子は基本的に2拍子 ... ]]>

拍子は分かりやすい

音楽の中で調性や和声などの音程の構造は難しく感じるかもしれませんが、拍子は割とわかりやすいと思います。今回はその拍子について考えてみます。

拍子感のある演奏と無い演奏では結構な違いが出てきます。そして拍子は基本的に2拍子か3拍子です。それ以外は2拍子と3拍子の複合かもしくは特別な場合のみです。これに関しては後述します。楽典的には2拍子は強、弱。強、弱。・・と繰り返されるものであり、3拍子は強、弱、弱。強、弱、弱。・・・と繰り返されるリズムのことです。つまり1拍目に常にアクセントがあるということですが、音楽を聴いていてそんなに1拍目にばかりアクセントを感じることはないと思うこともあると思います。

拍の性格

繰り返しになりますが、拍子を感じている演奏と感じていない演奏では明らかな違いがあります。前奏や間奏のあとの歌の出だしを間違えると、出落ちしたと言われたりしますが、例えば3拍目から出るときに、拍子感のある人は1小節早かったり遅れたりはしても3拍目から出ますが、拍子感がしっかりしていない人は2拍目から出たり、1拍目から出たりすることもあります。つまり強弱だけで表現できるものではないものの、1拍目とそれ以外では違った性格があるということです。オーケストラで50小節休みがあってその後出なければならない曲があったとします。4拍子の曲だとしたら、1234,2234,3243,4234,5234といった具合に50小節数えることになりますが、慣れないと途中で分からなくなったりもします。でも拍子感があると少し分からなくなってしまっても、1拍目だけ50回カウントできれば出落ちすることなく演奏できます。

1拍目の感じ

1拍目はどんな感じなのかを言葉で表現するのは難しいのですが、例えば一本締めで「ヨーオポン」のタイミングで手を叩くとします。この手を叩く感じが1拍目になります。手を叩くのでアクセントになりますが、手を叩かなくても全員で手を叩くタイミングを共有できます。そして手を叩きたくなる感じとそうではない感じが1拍ごと交互に出てくると2拍子ということになりますので、アクセントにしなくても良いのです。そして拍子感のある人は前奏を聴いているときも、歌っているときも、苦しい音を歌っているときでさえこの1拍目を常に感じています。

ですので拍子感がある人は1拍目に毎回手を叩くことが簡単にできますが、まだ拍子感がしっかりしていない人は油断すると1拍目に手を叩けなくなったりします。集中しなくても簡単にできるということが大切です。そしてこの1拍目の感じが1拍おきにあれば2拍子、2拍おきにあれば3拍子になります。

その他の拍子

4拍子:4分の4拍子を例に取ります。4分の2拍子だとしたときの1拍目2拍目の揺れ2分音符で考えたときの大きな1拍目2拍目の揺れが同時に起こってきます。楽典では強、弱、中強、弱と表現されたりもします。

5拍子:3拍子と2拍子の複合になります。ほとんど3拍子、2拍子の順番で、2拍子、3拍子になることはほぼありません。理由は簡単で、3,2は安定しますが、2,3は不安定になるので曲としては3,2が使いやすいからです。

6拍子:ほぼ3拍子が2つです。つまり3連符2つといった拍子になります。一番良く使われる8分の6拍子は1小節に8分音符が6個入りますが、3つずつに分けて1拍目と4拍目にアクセントが来ます。4分の2拍子にして3連符で書いても同じなので、この2つには差はありません

2拍子を3つということも出来そうですが、ほぼありません。例えば4分の6拍子で4分音符6個を3,3に分けずに2,2,2に分けたいとしたら、2分の3拍子にします。2,2,2との差別化もあるのかもしれませんが、6拍子は必ず3,3です。

その他:9拍子、12拍子も時々あり、3,3,3と3,3,3,3になります。6拍子の延長です。それ以外もありますが、極端に少なくなります。そしてやはり2拍子と3拍子の複合になりますので、それぞれで考えてみると良いでしょう。

3拍子

1拍目は強拍だと言われますが、強いとは限らないという話をしました。例えば到達点、始まり、一瞬立ち止まりたい音、長く伸ばしたくなる音、一番高くしたい音、等など色々と感じられると思います。しかしややこしいので便宜上1拍目を強拍ということにします。2拍子は強拍と弱拍が交互ですので問題は無いのですが、3拍子だと弱拍が2つ続いてしまいますので、2拍目と3拍目の弱拍にも性格の違いが出てきます。2拍目は1拍目の強拍の余韻の弱拍ですが、3拍目は次の1拍目を予想させるために動きのある音になります。よく日本人は3拍子が下手だと言われたりしますが、この3拍目の動きの感覚が欠けてしまうと3拍子らしい音楽にならないことが原因です。

3拍子についてもう一つ

曲のテンポはアクセントと次のアクセントとの間隔で感じられます。ですので、同じテンポでも2拍子と3拍子だと3拍子の方が1音増えるために速く感じられます。古い音楽では最初の部分があって、少し違った真ん中の部分があり、最後にまた最初に戻るような3部形式の曲がたくさんあります。ダ・カーポ形式とも言われます。そして真ん中の部分だけ速い曲にしたい場合、そこだけ3拍子にするケースがたくさんあります。アクセントの間隔での曲想の違いを使ったものです。そしてその逆も考えられて、遅い3拍子の曲の場合アクセントから次のアクセントにかけて2拍子よりも時間が必要なため、さらに遅く感じられます。とてもゆっくりな音楽にもよく使われます。

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表現の始まり~歌心についてhttps://liederabend.net/wp/%e8%a1%a8%e7%8f%be%e3%81%ae%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8a%ef%bd%9e%e6%ad%8c%e5%bf%83%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/Wed, 18 Feb 2026 10:10:23 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12578

歌心があるとか、無いとか言われることがあります。はっきりと定義できる言葉ではないので、あまりこだわることもないのですが、便利なのでよく使われます。とても優れた演奏に対して歌心がある、無いと言われることはありません。まだあ ... ]]>

歌心とは

歌心があるとか、無いとか言われることがあります。はっきりと定義できる言葉ではないので、あまりこだわることもないのですが、便利なのでよく使われます。とても優れた演奏に対して歌心がある、無いと言われることはありません。まだあまり経験の無い人に対しての言葉です。

具体的にどのようなことを指すかというのは割とはっきりしています。例えばフレーズの始まりが始まりとして聞こえるし、ピークがピークに聞こえる、また終わりが終わりに聞こえるというようなことです。

逆に歌心がない歌とはどんなものかと言うと、一番分かりやすいのが、ロボットがしゃべるような感じの歌です。ロボットのようにしゃべるとは強弱を付けず、音程も変えないしゃべり方になりますが、言葉は出ているのに全く表情がないしゃべり方です。音楽もさすがに音程やリズムは楽譜通りに変化しますが、強弱や色合いの変化、また緊張感の変化がない歌は歌心が無いと言われてしまいます。

表現は難しい事ではない

音楽表現のスタートは始まりが始まりに聞こえるし、終わりが終わりに聞こえる、緊張感のある部分がそのように聞こえるし、穏やかな部分もそのように聞こえるといったことが大切になります。別段難しくはないのですが、声を出すことや音程をちゃんと歌うことなどにぎこちなさがあると、それどころでは無いということにもなります。歌心があるというのは基礎的な音楽表現が出来る余裕があることだし、さらにもう一つ、音楽を楽しんでいる印でもあります。

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呼吸法の原則https://liederabend.net/wp/%e5%91%bc%e5%90%b8%e6%b3%95%e3%81%ae%e5%8e%9f%e5%89%87/Sat, 14 Feb 2026 05:18:04 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12566

息が閉じた声帯の間を通ることにより声帯が一旦こじ開けられて、直後また閉じます。そしてまた息が通ることでこじ開けられ、再び閉じます。このように声帯がぶつかり続けることによって声が生まれます。と言うことですので当然のことなが ... ]]>

息が声を作る

息が閉じた声帯の間を通ることにより声帯が一旦こじ開けられて、直後また閉じます。そしてまた息が通ることでこじ開けられ、再び閉じます。このように声帯がぶつかり続けることによって声が生まれます。と言うことですので当然のことながら息が動かないと声は生まれません。第1の原則です。息は流れ続ける必要がある。

息が多いと・・・

息が流れることにより声は生まれ、息が止まると声も止まります。しかし、息が多いとどうなるでしょうか?声帯が開いている時間が長くなり、閉じにくくなりますので、苦しい割には音にならない、つまり効率が悪くなります。第2の原則です。息の量は少ない方が良い。

それでも息が少ないと音は飛ばない?

音が遠くに飛んでいくということに関しては2つの要素が考えられます。1つは音量が小さい。もう一つは音が広がって感じられない。この2つは違う要因で起こりますので、まとめてしまってはいけません。音量が小さいのは声帯の閉鎖の弱さが原因です。音の広がりが不足するのは声帯の伸展不足です。どちらにしても息の量は全く関係ありません。第3の原則です。音の飛びと息の量は関係がない。

息が客席に届いて声が聞こえるのではない。

考えてみれば当然のことなのですが、息が届くことによって声が届くと考えてしまうことも多いようです。声帯の振動で生まれた音によってその周辺の空気が振動します。その振動のみが伝わっていきます。空気はその場に居続けます。ちなみに音の速さは約秒速340mです。時速に換算すると3,600秒をかけ算しますので、1,224,000mつまり時速1,224kmになります。飛行機がたしか時速900km位だったと思いますので、それよりも速いということになります。第4の原則です。息は客席に届いていかない。

音量は声帯の閉鎖の強さ

Singenより引用

少し遠回りして声帯の閉鎖の話をします。通常声帯の写真は上から撮られたものが多いですが、この図は後から描かれたものです。上からの写真で声帯は白い筋ではっきり見えますが、このように後ろから見ると、弾性円錐(d)の上端に声帯(b)があることが分かります。声帯筋(a)はしっかりとしていて、声帯を閉じるためにとても大きな仕事をします。また声帯が弾性円錐の逆V字型の上端にあることが重要で、下からの息に関してはどんなに声帯をしっかり閉じていても簡単に息は声帯から上に抜けることが出来ますが、上からの息に関しては強く閉じてしまいますので、ほど良く開閉させることが難しくなります。声帯を開閉させるられると声が出ますので、息を吸いながらでも声は出ますが、長く出し続けるのはなかなか難しいです。これはこの形状に因ります。

横隔膜の中央に集まるような力を感じると声帯が閉じます。もちろん声帯筋(a)が収縮すると声帯は閉じますので、それだけでも良さそうなのですが、この時に声帯は縮まりやすくなります。声帯を強く閉鎖させると声帯が縮んで喉っぽい声になってしまうので、強い声も出したいけれどのそうすればするほど喉っぽい声になってしまうし、きれいな声を維持したければ声量を控えるしかなく、どちらの選択も中途半端になってしまいます。そこで横隔膜の中央の緊張が大切になります。横隔膜の中央の緊張が声帯筋をしっかりと閉鎖に向かって動かしてくれて、さらにこの時には声帯があまり縮まらないようになっています。申し訳ないのですが、このしくみについてはよく分かりません。解剖学の本に書いてあるものがあるかもしれないし、もしかしたらまだ無いかもしれませんが、経験的にこの現象は知っています。重いものを持ち上げるときや、つまずいた瞬間に横隔膜の中央に力が入ることは簡単に体験することが出来ます。そしてその時に声帯が閉じることも分かります。場合によってはその時に声が出ることもあります。第5の原則です。横隔膜の中央が収縮すると声帯が強く閉じられる。

横隔膜の広がりと喉が開くこと

第5の原則で横隔膜の収縮を書きましたが、収縮を無限に続けることは出来ません。ある程度で限界が来てこれ以上は収縮できないところに結構速く行き着いてしまいます。しかしこの運動を息のある限り続けられる方法があります。それは横隔膜が収縮するときに横隔膜が広がろうとすることです。このことによりお腹はほとんど変化していないように見えながら、中央の収縮と周囲の拡大が同時に感じられます。横隔膜に関しては声を出しながら広がった方が良いという人がいる、逆にだんだんしぼんでいった方が良いという人がいる、そして変わらない方が良いという人がいます。どれも正しくないように思えます。正しく書くとすれば広がりながら収縮するということになります。

ではこの横隔膜の周囲が広がることが声帯にどういう影響を与えるのかということになりますが、これは声帯の伸展につながります。これに関してもどのようなしくみなのかは分かりませんが、例えばあくびをするときに横隔膜は広がりますし、その時の喉の奥が広がった感じとやや高めの声になることは簡単に体験できます。第6の原則です。横隔膜が広がると声帯は引き伸ばされる。

まとめ

呼吸に関して6つの原則を書いてみました。

  1. 息は流れ続ける必要がある。
  2. 息の量は少ない方が良い。
  3. 音の飛びと息の量は関係がない。
  4. 息は客席に届いていかない。
  5. 横隔膜の中央が収縮すると声帯が強く閉じられる。
  6. 横隔膜が広がると声帯は引き伸ばされる。

声楽の先生によっては呼吸法ばかり教える先生や、逆に呼吸に関しては何も触れない先生もいます。呼吸が正しく出来ると声帯の状態が良くなるし、声帯の状態が良くなれば、良い呼吸になりますので、どちらも可能になります。ただ生徒目線で考えると、呼吸の方がわかりやすい人もいるし、声帯のコントロールの方が得意な人もいますので、どちらからでもアプローチできた方が良いように思います。

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作曲家と演奏者https://liederabend.net/wp/%e4%bd%9c%e6%9b%b2%e5%ae%b6%e3%81%a8%e6%bc%94%e5%a5%8f%e8%80%85/Thu, 12 Feb 2026 07:51:51 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12563

国語の試験問題を作者自身が解いたときに、あまり良い点数が取れなかったというのを何度か聞いたことがあります。色々と考えることが出来、面白いところです。作家がその文章について一番良く知っているはずなので、試験というものはたい ... ]]>

国語の問題

国語の試験問題を作者自身が解いたときに、あまり良い点数が取れなかったというのを何度か聞いたことがあります。色々と考えることが出来、面白いところです。作家がその文章について一番良く知っているはずなので、試験というものはたいして価値がないものだとも考えられるし、逆に作家が作品の構造を分からずに書いてしまっている等も。ただこのようなどちらかに非があるとか未熟であるといった見方はあまり面白くありません。作家は何度も何度も推敲を重ね余分なものを省き必要なものを言葉を尽くして表現しているし、出題者はその文章が出題に値するほど優れていることを見抜いて試験に取り上げているはずです。つまり双方が完璧な仕事をしながら、答えがずれるところに面白さがあると思います。具体的にどのような設問があり、作家がどのように間違えたのかは書かれていなかったので、はっきりとしたことは分かりませんが、全力で作品を作る人とそれを全力で解釈する人の中でずれが出てくるのはとても興味深いことです。たとえば作家は自分の体験を元にしたり、知り合いの体験だったり、全くの創造だったり、全くの創造だとしてもその元になっているものが何かについてはよく分かっています。出題者はそれに関しては分からない、文章から読み取れることのみで出題していきます。出題者は元になっているものを正しく分かっている必要はありません。文章のみと対峙すれば良いのです。例えばこのような違いから来るのかもしれません。

演奏者は解釈者

作曲家と演奏者の関係もこれに似たものがあるように思います。作曲家は自分の頭の中にあるものを楽譜の形にします。しかしこれでは音楽として完成だとは言えません。演奏者がそれを解釈し音にすることで完成します。ソルフェージュ能力の高い人は楽譜を見ただけでどんな音楽か分かりますが、しかしこれだけだとまだ音楽として完成しません。例えばベートーヴェンの第9交響曲の4楽章の有名なメロディーを想像してみます。おそらく簡単にできると思います。さてそれはバスの声だったのか、ソプラノだったのか、もしくはヴァイオリンの音だったのかと言われてもはっきりしないと思います。つまり具体的な音ではなく、音のイメージが頭の中で流れているのです。この段階ではまだ音楽は完成していないので、演奏者が必要になります。文学の場合は本を朗読されないと完成しないということはありません。本になった時点で完成です。これはほとんどの人が楽譜から音楽を読むことが出来ないから演奏が必要なのではありません。演奏者が音にして初めて音楽は完成するので、文学の場合は作品があったら、そのまま読者にそのイメージの解釈は委ねられていきますが、音楽は作曲家のイメージをまず演奏者が解釈して音にし、それを元に聴き手はさらに解釈していくことになります。

解釈のずれ

とても優れた作品を作曲家が作り、素晴らしい演奏者が音にし、細部までよく聞き取れる聴き手がそれを聞いたときにも、それぞれでずれが起こります。そしてこのずれはそれで良いし、だからこそ面白いのではないかと思います。作曲家が作品に対して何かを語ったとしても、聴き手はそのように聞かなければならないというわけではなく、さらに何か違ったものを感じたときに、もしかすると作曲家も気付いていなかったその作品のもっと深いものを感じ取れていた可能性すらあります。例えばベートーヴェンの「運命」は元々運命と副題が付けられていたわけではなく、最初のテーマについて質問されたときに、「運命はこのように戸を叩く」といったという逸話から来ているそうです。この運命はどう考えても悲劇的なものでしょうが、それが礼儀正しくノックして、「どなたかいらっしゃいますか?」「入っても良いでしょうか?」とやってくる必要はないです。そして運命だとすれば受け入れるか、目をつむってやり過ごすかになりそうですが、彼は必死に戦っているようにも思えます。

勝手な解釈

こうなると好きなように解釈してしまっても良いように思えるかもしれませんが、そうではありません。冒頭の国語の問題のように、出題者は作品を考え尽くして、こうでなければならないといったものを出題していきます。どちらにでも取れるといった段階で問題にして良いわけではありません。演奏者も考え尽くして、その結果たどり着いたものが大切なのだと思います。そしてそれが作曲家が考えたものとはずれがあったとしても、それで良いのだと思いますし、時を経て見方が変われば解釈も変わっていきますが、これもそれで良いように思いますし、このように変わっていくからこそ面白いと思います。

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「声楽レッスンのすすめ」https://liederabend.net/wp/%e3%80%8c%e5%a3%b0%e6%a5%bd%e3%83%ac%e3%83%83%e3%82%b9%e3%83%b3%e3%81%ae%e3%81%99%e3%81%99%e3%82%81%e3%80%8d/Mon, 09 Feb 2026 12:26:29 +0000https://liederabend.net/wp/?p=12484

レッスンのお申し込み、ご質問等は以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。最初は無料の体験レッスンになります。 レッスンの詳細と最初のレッスンについてです。 ステージで歌って喜んでもらえたりするととても嬉しい ... ]]>

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ステージで歌って喜んでもらえたりするととても嬉しいものですが、それよりも日々の練習にたくさんの時間をかけることになります。その練習を楽しんでいくことや、その他気になりそうなことをまとめてみました。

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