本文へスキップ

川崎 川越 岡谷で声楽 発声、川崎でピアノのレッスンを行っています。

お問い合わせ
無料体験レッスンも随時募集しています。

ある日の声楽のレッスン




Nessun dorma!

 この曲はとても人気があります。これが歌いたくて声楽を始めたというテノールの方がレッスンによくいらっしゃいます。とてもかっこいい曲ですよね。ただし結構この曲を歌うにはハードルが高く、テノールの最高音はほぼハイC(五線の上に加線を2本加えたところのドの音)といっていいかと思うのですが、この曲はその半音下のH(シ)の音を、それも一番目立つところで使います。
 ソプラノよりもテノールの高音の獲得は難しく、G,As,A,B,H,Cと半音ずつクリアしながら発声を進めていきます。この曲が無理なく歌えるようになると、高音に関しては何でも大丈夫といった音域の完成の、少し手前まで来たことになります。






 このように最後のHの音が印象的すぎて、そこまでの音楽がおろそかになりやすいので、今日のレッスンでは音楽の構造を考えつつ、最後のHに向かってどのように劇が進展していくのかを見ていきます。






 この曲はGdur(ト長調)で始まりますが、始まってから延々と9小節ほぼ同じ和音の繰り返しでできています。この繰り返しは劇が動いていないことを意味します。この曲のように和音が何小節にもわたって繰り返されることはまれですが、ベースの音が数小節同じということはよくあります。これはこの曲のように変化が無い状態ですが、穏やかに変化が無いときにも緊張が持続していて変化が無いときにも使われます。
 とにかくこの曲の最初は穏やかです。しかし4拍目の和音は何とも不思議な響きがします。ト長調は基本的にファ♯以外は♯も♭も出てきませんが、この曲ではミ♭とシ♭が頻繁に出てきます。どなたか和声に詳しい方がこの和音の説明をしてくださるとうれしいのですが、同主短調gmoll(ト短調)の6度の和音と5度の和音(属和音)が混ざったような性格に感じられます。とても珍しい和音です。静かな中に、何かただならぬ雰囲気が感じられます。





 さらに最初の9小節に、それぞれのフレーズが下降する音形でできているという特徴が見られます。これも始まりの穏やかさと、何ともいえぬ緊張感が潜められている感じがします。最高音はFis(ファ♯)言葉はguardi(星々を)見るという部分です。





 10小節目から音楽はぐっと変化していきます。メロディーは上行形を始めます。和音もどんどん変化するし、属調Ddur(ニ長調)へ転調します。属調転調は音楽の発展を意味しますので、ここからドラマッティックに音楽は進みます。最初のフレーズで9小節目までの最高音Fisに達し、次のフレーズでそれを破りGに行き、さらに次のフレーズでその上A(言葉はbocca唇-自分の名も愛も伝える唇)までたどり着いたところで、この部分はピークを迎えます。
 17小節目でまた最初のGdurに戻り、そこから5小節最初のような音楽になります。22小節目で10小節目と同じ属調転調(シャープが一つ増える)し、そのまま最後までDdurは続きます。
 4小節の間奏で10小節目と同じ音楽を歌なしで演奏された後、歌が合流します。最初のフレーズで、前回までの最高音Aにたどり着きます。一度下降してエネルギーを蓄えたら、さいごのHの音まで一気に駆け上がります。言葉はVincero!勝利です。
 音楽を、少しずつこの構造を説明しつつ進めていきました。最後のHの音に向かう劇の移り変わりが少し見えてきたところでレッスン終了です。
 






バナースペース

川崎 川越 岡谷 塩尻で声楽 発声、川崎でピアノのレッスン

お問い合わせ

MAIL: kume@liederabend.net