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Wanderers Nachtlied(さすらい人の夜の歌)

 シューベルトにはWanderers Nachtiedというタイトルの曲が2曲あります。どちらもゲーテの詩ですが、違う詩です。ここではWandererは何者かという事を通して、どちらにも当てはまることを考えてみます。





 まずWandererをさすらい人と訳しました。辞書では徒歩旅行者とかハイカーなど出てきます。単語そのものの意味は歩いて長距離の移動する人を指します。日本だと少ないですが、海外ではバックパッカーの旅行者はとても多いです。学生の間、もしくは卒業してすぐ、場合によってはある程度仕事をしたあとで必要最小限のものだけリュックに詰めて世界中を旅していきます。色々な体験をし、今までの人生で作られた価値観をもう一度見直してから、これからの人生を生きていくことになるのだと思います。新卒でないと就職が厳しい日本だと、このようなことは簡単ではないですが、大切な時間なのではないかと思います。





 現代のことを少し書きましたが、シューベルトの時代はもっと生きていくのは大変でした。お金のない人たちが旅行なんてできるわけもなく、Wandererはもっと別の人たちを指しています。
 ドイツ、オーストリアではマイスター制度があります。手に職を付けるためには技術を習得する必要がありますが、その道のプロ(マイスター)の所で修行し、ある程度技術を身につけたらまた別のマイスターのところでさらに技術を身につけるということを繰り返し、しっかりと仕事ができるようになったら、その人がマイスターとなり、次の世代の職人を育てていくというものです。次のマイスターを探すために修行中の職人は旅をしなければなりません。例えばこのような人たちがWandererなのです。
 

  

 美しき水車屋の娘の1曲目もWandererの歌ですが、希望に満ちた生き生きとした歌です。しかし、Wanderers Nachtiedは随分と様子が違います。職人としてどんどん仕事を覚え、キャリアアップしながら生きていければとても幸せなことですが、そう簡単ではありません。仕事もうまく行かず、恋も破れ、職人仲間ともうまくいかなくなってしまったとすれば、自分の居場所はここではないと思い、逃げるようにその街を出て、次の仕事場を探すことになります。これが何度も繰り返されると、どこにも自分の居場所はないと感じてしまうでしょう。このような人が、旅の途中、山の中で野宿をする時に、孤独の苦しさから死による救済を考えます。これがWanderers Nachtiedなのです。誰しもふとした瞬間に孤独を感じることがあります。その孤独を彼の孤独に溶かした時に感じられるものを歌に乗せられると良いですね。

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